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ヘンリー・ジェイムズ「ネジの回転」のように、真木が死ぬのか?と、ストレスを感じながら読んだのできつかった。
著者は、「モルグの番人」の主人公のような乖離系マネキン美人が好きみたい。
世話係として雇われた遊佐が、全身全霊の奉仕をするのは、
乖離して人形のようになった真木。
罪と、良い子の言葉に反応して発作を起こすと、
「自分の罪は消えない」と、自分の首を絞める真木。
不幸は、真木が大学進学の為に独り暮らしを希望した日から 起きていた。
目の前に落ちてきた母の自殺と、母の言葉と、母から長年受けていた虐待のショックが原因。
父親は、妻を疎んで愛人宅に行った切り戻らない。真木達を斬り捨てている。
真木の母を愛した医師も真木を苦しめる。
結末は、意外とは言えない、やっぱりそうか、と思う展開。
地獄のような状況から抜け出せてよかった。
秘書の田中さんと、遊佐の愛が勝利して、ホントによかった。
あまり好みじゃないけれど、よく練れた構成だと思うので神。
複雑な家庭環境、ある事件をきっかけに身も心も壊れてしまった青年を、自分なりの正義感と誠実さと、心の触れ合いで元の人間にもどしてやろうと努力するお話です。
その背景は、あまりにドロドロで理不尽で”そんなのアリなの!?”と思わずにいられない設定をしつらえてあります。
読み終わった時に、『そんなの偽善よ』と思うか『よかった』と思うか『もちょっと他の道はないの?』と思うか、それぞれの感想を持たれるかとは思います。
自分としては、このエンディングはやっと一歩を踏み出した始まりの序章だったと思います。
主人公・省吾は逃げた姉が町金で作った借金の返済の為に昼は清掃・夜はホストとして真面目に働いています。
ここで彼の性格がよくわかるのですが、借金に対しても自分の物でもないのに、逃げるのも面倒だからと昼夜問わず身を粉にして働くことも厭わず真正面から返済に向き合っています。
ホストの職業もそれなりの地位に登りつめ、客の女性を騙したり酷い目にあわすこともなく、それなりにあしらいながら真面目にやっているのです。
この彼の性格と勤労態度が、冒頭「社長令息の世話係をしてほしい」とスカウトされる理由です。
その息子・眞木は自分の殻に閉じこもり約3年、満足に言葉も発せなければ感情表現は時折起きる自殺発作(てんかんのような)生きた抜け殻の人形のような青年です。
秘書の田中の「とにかく眞木さまだけを見てください」という言葉を自分なりに解釈し、眞木の殻を破ろうとする省吾。
意識するのは、眞木の自慰を手伝ったことから、次第に欲情に変わる。
頭に書いたように、省吾は真面目な性格ですから、どんどんと眞木に近づいて踏み込もうと、敵である看護師の三島や息子を全く顧みない実父から護りたい、そして自分の足でこの家を出てほしいと強く願う。
その為に努力するうちに生まれた信頼関係から、眞木も自らのトラウマと過去に向かい合い、克服しようとする。
眞木の母親がとんでもない人物で、その為に眞木がここまでになったかと思うと呪われた血であるかもしれないと思う。
茨の檻を出た眞木と、彼の力強いパートナーになる省吾に幸せあれ。