李歐

李歐
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神23
  • 萌×23
  • 萌3
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
6
得点
137
評価数
30
平均
4.6 / 5
神率
76.7%
著者
高村薫 

作家さんの新作発表
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媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
講談社文庫
発売日
価格
¥743(税抜)  
ISBN
9784062630115

あらすじ

惚れたって言えよ。
美貌の殺し屋は言った。その名は李歐。
平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。
ともに二十二歳。
しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた。
『わが手に拳銃を』を下敷きにしてあらたに書き下ろす美しく壮大な青春の物語。(裏表紙より)

表題作李歐

本職金儲け
阪大生

レビュー投稿数6

比類なき 美しき 長編BL

1992年刊行の「我が手に拳銃を」を、文庫化にあたって改稿改題した作品。
1999年の出版だが、今更ながらに手に取り、
どうして今まで読んでいなかったのか!?と歯噛みをし、
以来頭も魂も鷲掴みにされて日々が過ぎる。

これは、文革と東西冷戦の時代の1970年代後半、
22歳で運命的に出会い、時代に翻弄され
それぞれの場所で必死に戦い抜きながら、
15年目見えることなくとも、魂の絆を繋ぎ続けた男達の話だ。

一人は、日々虚無を抱えて生きている工学部の学生・吉田一彰。
もう一人は、彼の前にある日現れた美貌の殺し屋・李歐。



クライムノベルともいおうか、屍累々。
主人公の一顕は盗みも入獄もするし、
殺人も陰謀もテロもゲリラもあり、決して明るい話ではないのに、
桜のモチーフに象徴されるように、パッと目の前がそれ一色に染まるような
夢のように美しい読後感の物語。

幾多の痛みを覚えながら読み進めた最後の
中国の大地での情景の美しさときたら!
腐女子だったら、萌え死にしそうな終わりだった。

ただし描かれている二人の関係は、直接的な描写はなく
むしろ女性との関係を描くシーンはあり、結婚や子どもも出てくる。
そういうのが苦手なBLファンには地雷があるかと思うので、
ご用心。



ところで、紹介文の「平凡なアルバイト学生だった吉田一彰」はいかがか?
6歳にしてオルゴールを組み立て、当時聞いた中国語や朝鮮語や
起こっていた出来事を記憶し、現役で阪大の工学部に入り、
そこで学んだ中国語を不自由なく話し(おそらく英語も)、
文学部助教授の愛人から教えられた漢詩を諳んじ、
夜は怪しい高級クラブのボーイをする一彰が平凡ならば、
平凡じゃない人っていうのはどういう人なのか?

その答えは一つだけ思いつく。
一彰をすら平凡に見せる類稀な非凡な人間、
それが李歐だ。
美しい黒髪の整った美貌、日英中朝露の5ヶ国語を自在に操り、
迷いなく敵を撃ち抜く射撃の腕、ファルセットで朗々と歌い、舞う。
巨万の富を稼ぎ、超大国を相手に渡り合い
そして、未来に開かれた夢を見る男。

あまりに艶やかで鮮やかな李歐という存在に、
出会ったが最後、惚れて心を奪われてしまうのだ。
一彰も、私も、そしてきっと貴方も!!

16

ピピン

snowblackさま
作者の高村薫さんは、まーーったく狙ってなかったらしいんですね。それはそれで凄いと思いました。

一目惚れ同士の15年愛

マザコン(ゆえに年増好き)・機械フェチの一彰と、歌って踊れる謎の美形中国人・李歐が出会い、お互いに惹かれ合いながらも別れ、そして再会するまでの15年を描いた物語です。
『わが手に拳銃を』より、ラブ度がアップしていますよ。
以前住んでいた所が舞台のひとつとなっているので、個人的な思い入れもあるのですが、それがなくても大好きな作品です。

母親の駆け落ち相手の男を捜すため、ナイトクラブでバイトをする一彰。
そこで殺人事件に巻き込まれ、人生を狂わせていく。
一彰の目の前で、2人の男を正確に射殺した李歐。
しかし一彰が彼に対して抱いたのは、恐怖ではなかった。
李歐が持ちかけた密輸拳銃を盗む計画に協力。
いつか中国大陸へ連れ出すことを約束して、李歐は国外へ逃亡。

「惚れたって言えよ。」と一彰にしつこく迫った李歐。
のたうちまわりたくなるようなセリフを吐いてくれます。
言うことクサいしやること派手だけど、李歐だから許されますね。
お金大好き、陽気な自由人の李歐は、とても魅力的なんです。
(平気で殺人しますけど・・・。)

本当は李歐は一彰を連れて行きたかったし、一彰も付いて行きたかった。
それなのに今度は一彰の方が「惚れた?」と尋ねて李歐の激情をかわします。
二人の別離のシーンはすごく切ないですよ。

15年の時を経て、李歐は約束通り五千本の桜で一彰を大陸に迎えます。
そこに至るまでには様々な犠牲がありました。
一彰の盾となり守り続けてくれた男・原口。
そして子供の一彰に優しくしてくれた女の子・咲子。
年上という理由だけで彼女に惹かれた一彰ですが、ちゃんと愛情が存在していました。
一生離したくないと思った矢先の出来事。
旧作から大きく変更となった点のひとつですが、ここが一番哀しい場面です。

同性愛者である川島と、李歐も一彰もそれぞれ関係を持ち、さらに一彰は服役中に原口とも関係を持ちました。
それなのに肝心の李歐と一彰の決定的な描写がありません。
一彰は惚れていると認めていたけど、李歐の方はまさかの家族愛!?
「心臓に接吻した」という箇所を深読みしてもいいんですよね?


ところで髙村作品は男性読者が多いだろうに、時々男に惚れる男が登場しますね。
普通の推理小説だと思って『黄金を抱いて翔べ』を読んでいたら、突然幸田とモモがデキてしまってびっくりしました。
「俺のアパートに来いよ。」という会話を交わした二人が、その後何をしていたかなんて、北川が聞くまで気付かなかったです。
どうせ男に走るなら、春樹を選んであげて欲しかったな。

11

出会いのシーンが良い!

ちょっとー!情報登録しようと思ったら既に他の姐様によってレビューまでついていました。やはり腐女子センサーに引っかかる作品というのは呼び寄せられてしまうのですね。

今一般小説のBLっぽい話にハマっていますが、「聖なる黒夜」などとは違い、ガチエロシーンはないのですが、中国人の絶世の美青年の殺し屋・李歐とものづくり大好きな工学部系日本青年・一彰は出会った瞬間にお互い惹かれ合った運命の2人。BLじゃないので2人の女性遍歴とか妻子も描かれてるのですが、2人の関係はそれらとは別次元。15年の時を経ても変わらない唯一無二の愛にしびれまくりです。

22歳で出会った青年2人の会話が素晴らしい。

一彰「あんた、名前は?」
李歐「惚れた?」
一彰「名前を聞いただけだ。」
李歐「つまらん返事だな。惚れたから名前を教えろ、って言えよ。言ったら教えてやる。」

ここのくだりが1番好き。この後のやりとりも素敵すぎてクラクラします。自信満々の李歐がイイ!私は女王様受けのつもりで読んでたけど。ここの表示は攻めなのですね。一彰も幼い頃母に捨てられた暗い過去を持ち優秀なのに無気力な青年だったけど李歐に出会って人生が動き出したというか覚醒した感じがドラマティックで良いのです。

15年離れていても他の恋人がいてもお互いの事を全く忘れていなかったし、誰にも入り込めない特別の関係っていうのがニクいわ。こんな萌え爆弾がたまに紛れている一般小説って恐ろしい。

一彰が刑務所にいる時、ヤクザのイチモツを咥えたシーンはあったけど(出所後もその人とはお友達)本命カップルの李歐とのエロシーンは無し。ラブな会話とかお互い大好きっていう感じはすごく伝わってくるけど。途中はハードだったり悲しい事件がたくさんあるけど最後はなんと…BL風エンド?だって天蓋付きのベッドで男2人と片方の男の幼い息子と3人仲良く眠っていますから!

大作で若い頃に別れた2人はなかなか出会えなくてモダモダするけど最後にご褒美があるので腐女子の皆様にもぜひとも完読してほしい作品です。母を訪ねて三千里?くらい道のりは遠いけど最後には幸せが待ってる。

6

二人の人物像に惹かれる

あらすじによると、美貌の殺し屋と平凡な学生。日本の学生一彰視点。

一彰は「平凡」の皮を着ているだけで、中身はかなり非凡。地頭が良いというか、かなりIQが高そう。
顔色ひとつ変えずに暴力を行使するところとか、奔放な女性関係とか、冷静に静かにぶっ壊れている感じがある。
個人的に、こういう人物にとても惹かれるのでわくわくした。

一方の李歐は、「殺し屋」というか国?からの任を負って暗躍する人という感じ。
殺しの場面は(間近すぎて)視界の限られた一彰視点で見てもとても鮮やかなのがわかって惚れ惚れする。
人となりは明るく自由な印象。

自分は、当時の国際情勢に疎くてあまりピンと来ない部分も多かったけど、国同士やそれぞれの裏社会、各個人の思惑が絡まりあう背景をちらつかせつつ、一彰の目にうつるのは町工場の日常で、非日常になり得る拳銃や原口のことが逆に日常に組み込まれてしまっているの、不思議な感じで面白かった。

一彰と李歐は一夜のスリリングな悪巧みの後本当に15年間離ればなれで、それぞれ妻子をこさえたりなどするけど、それでもお互いに強烈に惹かれ合ってるのはわかる。
李歐の唯一の泣き所認定される一彰、とても良い。

残りのページ数が少ない中での千枚漬け(←読めばわかる)にはびっくりしたけど、静かに収束して大団円よかった。

1

大陸の風と美しき殺し屋に魅了された男

匂い系一般小説して必ず紹介される本作。
長編で、時代設定も内容的にもハードルの高さを感じつつも読み始めました。
読みにくいのかなと思いきや、案外スルスル読める。
ただ話の大半が工場を舞台としたお話で、機械の名前や部品、銃の仕組みなどは私には難しく「何となく」で読みました。

あらすじにある"平凡な大学生 吉田一彰"ですが、平凡とは…。
普通の大学生のようで、中身はからっぽ。恐れを知らず死に対しても大きく心を動かされるような若者ではありません。
そんな一彰が中国の殺し屋、李歐に出会い、その美しさや凛とした内面、只者ではない風格に惚れて、心酔するお話です。

一彰と李歐が実際に会ったり、喋ったりする期間はほんの少しなのですが、一彰にとってその短い期間がその後の人生に一度も絶えることなく心に留まり、李歐に会いたい、ひたすらに会いたいと願う様は胸がキュッとなりました。
なんであの時、李歐と一緒に行かなかったんだろう。

お互いに妻子を持ったりもしますが、李歐から中国に誘われた一彰はその夢に抗えるはずはなく。
なかなか上手くいかず、すぐに会えないのがもどかし過ぎました。
長い年月の中で出会いや別れ、中には本当に残酷な別れもあります。
父親になった一彰が、大学生当時のように何事にも何者にも興味を持たず、ただの重力のある存在ではなくちゃんと家族を愛せる男に成長しているあたりもジーンとしました。

中国に渡ってからもしばらくは会えず、ページ数も少なくなった頃にやっと再会。
しかもあっさりしてて、BLを読み慣れている自分としてはやはり物足りなさはありました。
ドラマティックな感動の再会欲しかったー。
別に絡みがなくてもいいからもっと2人で居る場面を読みたかったー。

誰にでも勧められるようなお話じゃないし、ページ数もかなりあります。
会えなくても心で繋がっている、あいつが生きているそれだけで幸せだ、というようなブロマンスをお求めでハードボイルドストーリーもお好きな方には是非に読んでいただきたい作品です。

6

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期待をして読んだら、  中核派の闘士の物語だった。

著者は、左寄りなんですね。

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