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そうやって男の旨さを覚えるんだ
choukoushi no kaoru wana
さほど期待もせずに積んであった本作ですが、読み始めたら面白くて一気にいってしまいました!
話術が巧みというか、Mっ気をうまくSが誘導してという心の引き出し方がうまくて、また主人公の成長という部分もきちんと周到されていて、最後まで飽きさせないストーリーでした。
外見も頭もそこそこだと自負さえある春生は、もう6年目になるのに、ちっとも責任のある仕事を任されないことに不満をもつゲイの男子でした。
そんな時、新しいフレグランスの発表の為にフランスから世界的な調香師・芦森が一カ月滞在するということで、その準備に任命された春生。
一目で春生のM気質を見抜いた芦森は、アシスタントが来日できなくなった事を理由に春生に住み込みアシスタントをやらせる。
周囲には完ぺきなほどイイ男をしているのに、春生にはとても嫌味で意地悪な発言ばかりして、春生の印象は最低。
芦森が、ズバリと春生の欠点を指摘していることも不愉快でしかない。
しかし、キスされた時それが拒否ではなく、性的な目で見られる事をしっている態度だと、ゲイであることを見抜かれる。
不遜な態度の芦森にすっかり翻弄されて、初エッチも奪われてしまう春生。
しかし、彼の仕事に対する真剣な態度、自分に対する意見など、彼と生活するうちに春生は自分がどうするべきか、周りからの指摘ですがうっすらとわかるようになってきます。
ずっと春生が好きだった先輩の君嶋に、芦森との仲を嫉妬されて初めてわかる、自分が芦森を好きだという気持ち。
芦森といたことにより、春生は恋も仕事も自分から欲しいものを掴む為に動かなくてはならないことを学習するのでした。
芦森の言葉責めはとても自然で、何だか清々しいというか気持ちのいいものでした。
気の効かない春生ですが、イラっとするより、その姿勢が、そうそう、こういう目的を持たない受け身の態度わかるよな、と身近に感じられます。
頭の悪くはない春生ですから、今後の二人の関係が楽しみなカップルでした。