藍より甘く

藍より甘く
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神61
  • 萌×235
  • 萌36
  • 中立6
  • しゅみじゃない13

--

レビュー数
31
得点
559
評価数
151
平均
3.8 / 5
神率
40.4%
著者
一穂ミチ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
雪広うたこ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
価格
¥552(税抜)  
ISBN
9784344817944

あらすじ

大学入学以来三年、友達として側にいた遙から、突然「好き」と告げられた暁行。受け入れることも突き放すこともできずにいるが……?
出版社より

表題作藍より甘く

大学生。
大学生。

その他の収録作品

  • 藍より青く
  • あとがき
  • 愛より甘く

レビュー投稿数31

丁寧なのにしっくりこなくて

身も蓋もない言い方をすれば、女から男に乗り換えるノンケ男のお話。何も簡単には進まないし心理描写も丁寧なのに、暁行が遥を“恋人”として選ぶ流れに納得感がない。リアルとファンタジーのバランスがいまいちに感じた。

合間合間に暁行の独白ブログを挟む、懐かしさあふれる雰囲気。彼女の真希と友人の遥とはもうそれなりの長さの付き合いで、どちらとも関係は深い。物語の始まりは、遥が暁行に告白したところから。

BLだから仕方ないが、描写もその丁寧さも最初から遥にだけ寄りすぎで、違和感がある。自然に結婚を思い描くような彼女という設定なのに、暁行の心理描写の中で真希は全く存在感がない。さらに遥が性欲の対象外である点への踏み込みもない。

丁寧に書けば書くほど作者のBLに持って行きたい圧が見えてくるようで、キャラを捻じ曲げていないか不安になる。読みたいのは無理矢理男同士をくっつける話でなく、キャラ本人の感情で相手を選んだと思える恋物語。

描写不足に不満を抱く場面は何度もあり、でもここをきちんと描くとBL読者のウケが悪くなると分かってしまうところばかりで、BLというジャンルの縛りの多さを実感した。そもそも暁行のノンデリ程度で賛否分かれそうなとこあるし。

一夜の過ちを犯す心境が分かると言っていた暁行は、その伏線を回収するかのように、いつか自身の言葉通り“うっかり子どもをつくって”しまいそう。遥との十年後より、そちらの未来の方が容易に想像できると思った。

表題作の終わり方と、そこから遥視点に切り替わる構成がとても好き。

0

友情の延長線上にある関係や恋が好きな人におすすめ

直接的なネタバレはありませんが、踏み込んで語るためネタバレの設定をします。
友としての「好き」なのか、恋としての「好き」なのか、曖昧な関係を描いた青春物語の傑作です。
行き過ぎた友情の延長線上にある関係や恋が好きな人におすすめです。

両刀やらゲイがたくさんいて男同士の恋愛も問題がないなど、BLに都合がいい世界観の作品がたくさん出版される中、本作はマイノリティへの心の拒絶が残されており、生々しさが切なく歯がゆいです。

家が裕福で美人な彼女を持ち、就職も一流企業への内定が決まっている、まさに理想的な人生を送って来た攻めがひょんな事から受けに告白をされてしまいます。

人生で初めてぶつかった壁が「良い友人」だと思っていた男からの恋慕。
友情なのか恋愛なのかわからずとも、受のことを大切に思っている事だけは確かで、恋愛対象でないはずの男性に対しての想いや葛藤、これから先の人生への迷いが描かれていきます。

受けは生来のゲイであることに苦しみを抱えています。
昨今は多様性などと恋愛対象がノーマルでない事への理解を認めようと努力する社会になっていますが、心の内では隔たりがまだまだあります。
さらに社会に多様性が認められたとしても当事者が「自分は普通でない」と理解したときの苦しみがなくなるわけではありません。
ノーマルの相手が自分を愛してくれるようになるわけでもありません。

そんな心の孤独を抱く受けからの愛情を受け入れることができず、
だからと言って大切な相手からの感情を拒絶することもできす、どうする事もできない板挟み攻め。
そのあいまいな関係や、内に秘めた激情を丁寧に描いています。
攻めの葛藤にやきもきしながらも、受けへの確かな愛情を感じて萌えます!

受けを大切に思っているが、その「大切」という感情は今の自分の恵まれた人生を捨てられるほどのモノなのか?
攻めが本当に一番大切に思っているものは何なのか?
長い葛藤の先にたどり着いた答えが尊い…

尊すぎて「エッチシーン要らないんじゃないか」と思うぐらい、
攻めと受けの二人の曖昧な関係は思いやりと真心で出来ています。
あるならありがたくいただきますが、エロがなくても良いと感じるBLは珍しいです…。

一穂ミチ先生の比較的初期の作品ですが、登場する人物の職業や生活などのディテールが細かく、しっかり下調べを行ったであろう作品の土台と、
言葉にできないあいまいな感情をも表現する筆力はこの頃から健在です。
どこまでも青い夏の田舎の情景を想像しながらお楽しみ下さい。

0

静かに想い続ける強さ

夜の観覧車のなか、親友からの突然の告白。
…という、そのまま流されるか?気持ちが揺れるか?というBLにありがちなシチュエーションから始まるけれど。

暁行は清々しいほどに『ノンケ』で、
遥から想いを告げられても良くも悪くも意識は何も変わらず。
でも決して遥の気持ちを軽々しく扱わないところに誠実さが見えていたのかな、と。
ただデリカシーの無い発言にはかなりモヤっとしてしまい、どこか線を引いているような暁行が許せないかも。と思った部分もありました。

でもその場の雰囲気に流されたり簡単に気持ちを変化させたりせず、あくまでも自分を貫くところこそ暁行の良いところなのだと気付かせてくれるストーリーになっていて、
彼への印象も変わるし遥が好きになったのも理解できるような展開だったなと思いました。
そして。あえて多くを望まないようにしている、控えめな遥の健気な想いに触れたとき。
暁行の感情が一気に爆発したのがすごく良かったです…!

どうやったってこえられないと思っていた壁を乗り越えたあとの暁行は潔くて強くて、
ブレない想いで遥を見ているのが伝わってくるのがすごく嬉しかった。
そしてこれまでひとりで何もかもを抱えてきた遥が幸せになってくれて本当に良かったなと思いました。

1

藍より甘く

遥のいじらしさに泣いたー。
とはいえ、遥自身の心はとても強くて、人の心の機微もわかり、愛想はなくても人を傷つけることなく真っ直ぐに生きている子だなと感じた。
暁行は素直、初めて知った遥の想いに戸惑いながらも真摯に友達付き合いを続けて。
決して、簡単な恋愛ではないし、諦めから始まったような恋が、少しづつ暁行の心に染まっていく。
いや、気付いたのかも。
潜在的に暁行も恋をしていたのかな?気付いていなかっただけで。
遥の梯子は強かった、末長く幸せで。

1

大丈夫かちょっと心配になるけど

終始独特な雰囲気に包まれた作品で、とても惹き込まれました。

p.64の"時々、自分があの透明な〜"という台詞が胸にグサッと刺さりました。
他にも付箋を貼りたくなるような表現が沢山。

(これはどうでもいいんですが)表紙の手前のキャラの指が青く染まっていて、あらすじに"爪の先をいつも青く染めている遥"とあったので、てっきり手前の子が遥だと思って「ビジュアルが一般的な組み合わせと逆で珍しいな」と思いながら読んでいたんですが、違いました...笑

〜以下、私情〜
暁行のデリカシーの無さとフラフラしてる感じが何とも...
遥が健気受けすぎるくらい健気受けで、暁行のことでいくら傷ついても一途に想い続けていたからこそ、暁行の気持ちがそれに見合っていない気がして不安になりました。
本当に同情じゃないのかな?と。
ただ、最後の描き下ろしは二人ともラブラブで惚気ていたのでその調子で愛し合っていてほしいです!☺︎

1

健気受が尊い

内容がわからないまま作家買い。

最初読んだ時は攻を好きではありませんでした。
受と彼女の間で揺れすぎって思ってましたが、ノンケが男を好きになって付き合うなんて選択をすぐにできるわけないですよね。
もともと親友だし、異性愛者が同性に告白されたからって恋愛対象として見られるかと言われたら、絶対にできないし。

でも、自分の気持ちに気付いて、受の所にすぐに行った攻はとてもかっこ良かったです。

書き下ろしは本編とは真逆で甘々なのも良かった。
一穂さんの小説は言い回しが綺麗で読みやすいし、好き。

2

こんな受が好き

暁行は、夜の観覧車で遥から好きと言われた。
三年間友だちとして一緒にいた同性からの告白。気持ち悪さはないが、同性からの告白を受け入れることはできない。自分には彼女もいるし。。。でも遥との友人関係は心地よい。
その悩みをblogで綴るようになる。

暁行があまりにノンケすぎて、この話は悲しい終わり方をするのでは?!と思うくらいでした。
受け入れてもらえると思っていないから、今まで通りでいいと言う遥。それってかなり辛いよ。
表情や言葉で表さない分、遥は色々と諦めがちな性格。でも変に意志は固く、そんな遥には藍色という色がにぴったりでした。

全く受け入れられないと思っていたはずの暁行が、遥の身に何かあったのでは?!と、どしゃぶりの中走って訪ねたり、夏の1カ月近くを、遥の実家の手伝いに行くなど、少しずつ心惹かれていったのかなぁ。
何度か、このままくっつくの?と思う場面があるのですが、そんなにアッサリいかない所が、三年間も友人をしていた間柄を物語っていると言うか、そうそうすぐには、受け入れられないものだよなぁと、現実味帯びていて良かったです。
特に作中出てくる暁行の彼女。早々別れるかと思いきや、かなり後半まで付き合っていました。何度、別れちゃいなよ~と思ったか(笑)

遥サイドから見るお話もあり、最後はラブラブになった後のイチャイチャ話。
この先、二人はずっと遠距離なのかなぁ。二人で家業を継いじゃえばいいのに。とか読者としては、甘々な事ばかり考えてしまう、そんな終わり方もいいなぁと思いました。

2

受けの儚さが良い

攻めの入江視点なので、彼女と遥(受け)の間で揺れ動く様子がよく分かります。
遥が気になりつつも彼女が好きだと必死に思い込もうとしてる感じが、すでに両想いなんですよね。
攻め視点で感情が見えすぎるからこそあまり入江を好きになれなかったですが、等身大の男の子って感じでリアリティはありました。

受けの遥は健気で一途でいじらしくて儚い、受けの鏡です。
入江を想って泣く場面は思わず一緒に泣いてしまうほど。
入江に告白はしたものの全然押し付けがましくはなく、でも入江の思わせ振りな行動に振り回されてる様が切ない。

入江が遥に惹かれる気持ちはとても分かるんですが、遥がそこまで入江を想い続ける決定的な理由というかきっかけがいまいち弱くて、そこがもっと共感できたらもっと萌えられたと思います。

言葉のチョイスや表現の仕方がすごく綺麗で、そこはさすが一穂さん!と思わずにいられません。

2

藍ゆえに

ラスト数ページの甘い部分が凄く好き。
「だって自慢したいじゃん」お互いに惚気ける姿が非常にかわいらしく、
二人の仲の良さというか、距離感を感じられたのが良かった。
思わずクスっと笑ってしまうラストに乾杯((´∀`))

ただ本編に関しては正直気持ちのせきれず・・・というのが正直な感想かな。
こればっかりは文章と私の相性なのかしら。。

二人の近づくきっかけは、藍色の指をした受を見たところから。
インク漏れてるよ?そんな言葉からのスタート。
ゲイであること、攻のことが好きだということ。
打ち明けてしまった受とそれをどう受け止めればいいのか葛藤する攻を主体に描かれるお話し。
最後まで読めば、きれいにまとまっており、
楽しそうな二人を見ればよい話だとおもうんだがなー・・・

5

自己完結愛の成就

攻め:友人に告白されて動揺する大学生 暁行。
受け:弾みで片思いしていた友人に告白してしまった藍染の家業を手伝う大学生 遙。

遙は、うっかり告白してしまったとはいえ暁行に彼女がいることを知っているし恋の成就は期待していないのです。
そのせいか、遙がとても生きる気力が希薄で消えそうに儚い感じがしました。

暁行にとって遙は、友人として好きだし気心も知れて一番心を許している存在だけれど彼女もいるし恋愛感情は皆無。
だけどそばにいて欲しい。
受け入れられないのに中途半端に気を持たせるような接し方は相手にもいけないこととはわかっていても、友人付き合いをやめたくないと思う自分の感情に困惑する暁行です。
そんな感情をどこかで発散したくて『王様の耳はロバの耳』のように吐き出そうと思いついたのがツイッターで密かにつぶやくというのが面白い。
同性から向けられる恋愛感情を嫌悪したり忌避するのではな真面目に受け止め友人として普通に付き合おうとしている暁行に好感を持ちました。

暁行にとって告白された時がほのかな恋の初まりだったような気がします。
出会ってすぐ想いを自覚した遙に対して、スタートに時差があったことと同性との恋愛が想定外だったために遙の想いについていけずジタバタしているのがよくわかります。
時に切なく時に笑いを誘うような感情表現で想いの変化が読み取れて思わず背中を押したくなりました。
遙が危ない目にあっているかもと思った時の動揺や切迫感がもはや友人というより恋人の危機を救いに行くかのようでした。もちろんそんな自覚はありませんけど。

遙の側から見ると、恋を自覚した時に失恋しその後ずっと彼女との仲のいい姿を見続け惚気られるのですから切ないです。
初めから想いが報われることもましてや告白することなど思っていず、最後の最後に思い出をもらってそれがいいことなのかかえって悲しみを増すことになったのか自分でも答えがでず、一人で実家の部屋で泣き濡れる姿が不憫でした。

以前暁行が買いなよと軽く言っただけのアイスクリームのディッシャーを密かに買ってたことを引越し荷物の中に見つけた場面で、好きな相手のためにいつ来ても喜ばせるように用意するなんてところにきゅんとしました。

和名の色の名前がとても綺麗で詩的でした。

3

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