キスして。

キスして。
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神1
  • 萌×20
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
2
得点
11
評価数
3
平均
3.7 / 5
神率
33.3%
著者
玄上八絹 

作家さんの新作発表
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媒体
小説
サークル
27000Hz〈サークル〉
ジャンル
オリジナル
シリーズ
しもべと犬
発売日
価格
ISBN

あらすじ

【茨姫は犬の夢を見るか】番外編

表題作キスして。

傭兵
分析官

レビュー投稿数2

犬姫派必読、珠玉の掌編集

わんこシリーズの番外編同人誌。
掌編が五つ収録されており、いずれも犬姫寄りの内容。

【茨姫の檻】約20P
冒頭で、犬姫がデータの書き換えをしてるのですが、
既に脳の容量を超えるデータ量なので、書き換えには命の危険が伴います。
それでも、禪を守るためのデータを必死に抱え込もうとする犬姫が健気で…。

書き換えが終わって、禪のいない犬姫の日常。
掃除するんだ!?夜中のロードワーク?ジム〜??
寝てばっかりいる印象だったので、ちょっと驚きました。

禪が日本に滞在中は、果物と蜂蜜を手ずから与えられて、キスされて…
非戦闘時の禪の犬姫甘やかしっぷりの一端が垣間見えます。
しかし禪に戦場からの連絡が入り、日本を発つ日が近づいてきます。

本当はまた付いて行きたい…
でも、禪の足手まといになりたくない…
脳を圧迫するデータさえ無ければ一緒に戦えるけど、
このデータこそが禪の命綱だから手放せない…

犬姫の抱えるジレンマが切なすぎます。。
禪がいるときといないときの犬姫の日常はこんな風に流れてるのですね…。


【いばらひめとわんこ。】約11P
禪の留守中、庭に迷い込んできた子犬相手に禪の自慢をしたり、
仕方なさそうな素振りで子犬に餌をやったり、
犬姫は寂しそう…。
自分が倒れた時のことを考えて、信乃に電話するなど
子犬に情が移ってきたところで、飼い主が現れます。

お迎えが来た子犬と、禪と遠く離れた自分の境遇を引き比べ、
また寂しくなったところで、禪からの電話でちょっとだけ救われるというお話。


【犬姫とのろいのわら人形】約21P
禪がようやく帰ってきて幸せを噛み締める犬姫からスタート。
すぐに一水視点に切り替わり、
禪がどれだけ《犬》の主として素晴らしいのか、じっくり説明されます。

犬姫と一緒にいる間は、
生活、栄養、投薬管理、心のメンテナンスは文句の付け所がなく
定期点検にも必ず付き添うなど、犬姫の身体についての関心も高い。

絶対的な支配という心身コントロールと
愛情という薬と栄養をふんだんに与え、
『いる間は』やり過ぎなくらい完璧で膝から降ろさぬ勢い。

半端ない甘やかしっぷりと拷問すれすれの躾で
完璧なまでの『飴と鞭』。

その結果、犬姫は禪を唯一として身も心も捧げ尽くして愛しています。
ところが、そんな犬姫を放り出して、禪は戦場に行くんですね。
愛させるだけ愛させておいてポイ。
その落差たるや……!
犬姫にとっては残酷すぎるアップダウンであることが示されています。

禪が日本にいる間に、
留守中に繰り返しなぞっても潰れない特別な思い出を作ろうと
ディズニーリゾートに行く計画を練る犬姫ですが、
無情にも禪の携帯に父親の居場所を知らせる連絡が入ります。
禪に隠れて着信を消す犬姫ですが、即バレて酷いお仕置きが。。

お仕置き後、犬姫を顧みることなく熟睡する禪を置いて庭に出た犬姫は、
見よう見まねで枯れ草でわら人形を作り、泣きながら庭の木に打ち付けます。

『禪の父親が死ねばいい、
 死なないまでもこの呪いで胸が痛んだ隙に撃たれればいい』

拾った石で釘を打ち付けようとする犬姫を
禪が後ろから深く抱きしめて、
『……すまない、犬姫』
『すまない、もう少しだけ、……待ってくれ』
禪にも犬姫の痛みが分かってるし、
犬姫が悲しむのを見るのは辛いんです。

犬姫が泣きながら眠ってしまうまで、抱きしめてキスして、
また、寝ている間に戦場に行ってしまった禪…。
そして、犬姫は一人ディズニーであかんべをした写メを
戦場にいる禪に送りつけるのでした。


【憧れの人。】約14P
珍しく信乃視点。タイトルはもちろん犬姫のことです。
信乃の目から見て、
いかに犬姫が美しく、《犬》として優秀で、禪に愛されてるか
が描かれています。

犬姫の整った容姿、玲瓏な声、美しい身のこなし、
禪に一心に捧げる愛情、禪から慈しまれ愛される幸せ…。
こういった様子が、
玄上さんの詩的な文章で美しく綴られているのを楽しむ掌編です。


【Nervous Ruby】約14P
本編でもちょっと触れられている
犬姫が信乃を嫌いな理由がわかるお話。

容量オーバーのためデータの書き換えが上手く行かず、
ナーバスになっている研究所滞在中の犬姫が、
新しい《犬》がもうすぐ完成し、五係に納品されることを知ってしまいます。
犬姫は自分が新しい《犬》(=信乃)とすげ替えられると思い込み、
培養中の信乃を殺そうとします。

犬姫は試作品(プロトタイプ)で、信乃はその完成品な訳ですが、
一水曰く、
犬姫はその時点で最高の技術を注ぎ込まれたオートクチュールで
信乃は予算や使い勝手を考慮して加減(減もある)された『製品』。

つまり、プロトタイプである犬姫が完成品の信乃に劣ってる訳ではない。
だからと言って、信乃が全くの無害かというと、
いつでも犬姫の代わりをつくることはできるという事実を
《犬》である信乃の存在は示しているわけで。。
だから犬姫は信乃が嫌い…、なのです。


甘いタイトルにも関わらず、痛々しい内容も含みますが、
犬姫と禪をより深く知ることができる珠玉の掌編集なので
他の犬姫の長編同人誌と並んで、犬姫派必読の一冊です。

2

複雑なんです・・・(個人的な感覚で)

商業誌『茨姫は犬の夢を見るか』(+『しもべと犬』)の番外編同人誌です。
犬姫(受)中心の『犬姫本』です。

ゴメンナサイ、私は『わんこシリーズ』そのものは好きなんですが『茨姫』CP(サブCP?)である禪×犬姫(の特に禪)が生理的に許容不能なんです。もう無意識に拒絶反応が出るレベルで。
というわけで、同人誌の中でも犬姫本はどうも読んでて気が入りません。


1編目『茨姫の檻』

ギリギリの状態まで追い詰められた犬姫。でも、これが犬姫の日常。
《犬》が求めるのはどこまでも(自身よりも)主なんです。

・・・私は『SM(的なものすべて)』がものすごく苦手というか大キライなので、禪と犬姫のHには嫌悪しかありません。読み飛ばしてもツラいです。


2編目『いばらひめとわんこ』

そのままです。

古い教会で禪を待つ犬姫のもとに(本物の)仔犬がやって来ます。
それなりにほのぼのテイスト。

本題じゃないのに、何より印象的だったのは《犬》缶でした。ゴメンナサイ。


3編目『犬姫とのろいのわら人形』

禪が帰って来て幸せいっぱいの犬姫。
でも、禪を呼び戻すメールが・・・

この2人のHは無理。普通(?)でも無理なのに、お仕置きモードは読まされるこっちが拷問かと思います。


4編目『憧れの人。』

犬姫と信乃(『しもべと犬』の受)の《犬》としてのお仕事風景です。

何が『憧れ』かと言うと、信乃→犬姫です。

信乃はホントに素直でピュアで、危ういくらいに智重(『しもべと犬』の攻)が好きなんだね、という話。
この本の中ではいちばん楽に読めるかな。


5編目『Nervous Ruby』

本編でも出て来た『犬姫は信乃の試作品(プロトタイプ)』『代わり(新しい《犬》)ならいくらでも』という、犬姫が信乃を嫌いな理由の詳細になるのかな。
犬姫の想いが切ないです。


冒頭で書いた通り、犬姫メインはいろいろ痛々しくて楽しむところまで行きません。

でも、じゃあつまらなかったかというとそうじゃないんですよ。そこがまた複雑なんですけどね~。

シリーズとしては確かに好きなんですが、この禪関係の扱い(評価)に困って商業誌本編のレビューが長いことできませんでした。
それが、去年の秋にようやくレビューして、そのときに『これで同人誌レビューが』的なことを書いたのに、もう4か月も経っちゃってるよ・・・

1

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