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aiyoku no ori
「イリーガル・キス」と「イリーガル・ラヴ」を先に読んだので、「ストックホルム症候群」という言葉を見るたびに、「またかい?!」ってつっこまずにはいられなかったです(苦笑)
キャラはとても魅力あり、エッチシーンを読んで悶々としてしまいました<-おい!
監禁された受け様は快楽に流されず、ちゃんと理性を保ちました。
きれいで芯が強い受け様は非常に好みです。
拗ねて攻め様の名前を呼ばないところは可愛かったですよ!
楽しく読ませていただきました。
攻はマフィアのスポンサーでアメリカ人投資家のワルター・ランバルディ。
受はキャリア管理官でありながら、ノンキャリアとよい関係を築こうと努力している小笠原誉人。
投資詐欺にかかわる事件への捜査協力として、ワルターと誉人は出会います。
ワルターは誉人を食事に誘いますが、勤務中ですので…と断る誉人。
この出会いの会話が、後々まで気になっている2人です。
特に誉人は、あの時に食事の誘いに答えていたらどうなっていただろうか、と考えることになります。
(恋愛面でも、仕事面でも)
大掛かりな摘発現場で、指揮官でありながらマフィアを追った誉人は、一人のマフィアを捕らえたものの別のマフィアに殴られ捕らえられてしまいます。
意識を失った誉人が殺されようとしたところで、
「どうせ殺すなら、私にいただけませんか?」
と救ったのがワルター。
命は救われましたが、囚われとなった誉人はワルターに陵辱されます。
衣服を奪われ、手足をつながれた状態で囚われに。
監視カメラが常に誉人を監視し、逃げ出そうとしたあらゆる努力もすべて阻止され、道具や武器になりそうなものはすべて排除されてしまいます。
ワルターを憎み、必ず逮捕してやると誓う誉人。
(殺してやる、ではないところが彼の警察官らしさをあらわしていますね)
監禁し陵辱するワルターですが、誉人の好きな紅茶を用意したり、熱が出たときに風邪薬を調達したり。
マフィア幹部がワルターの目を盗んで誉人を襲おうとしたときに止めに入るなどのワルターの行動に、監禁者と被監禁者だけではない何かの感情が誉人に生まれはじめます。
セックスしていないときにできるのは、考えることだけ。
身体が快楽に慣れ溺れてゆくのは、隣で無防備に眠るワルターを攻撃できないのは、ストックホルム症候群なのだろうか?
自分の感情に悩み、悔い、屈辱を感じ、惑う。
ワルターに対する沢山の「何故」とともに、誉人の気持ちははっきりと固まってゆきます。
犯罪者とキャリア警察官と。
ロミオとジュリエットのような関係ですが・・・結末は、なるほど、という決着。
途中からワルターは本当は○○なのでは?と想像していましたが、当たらずとも遠からずでした。
ちょっとご都合過ぎるかな~とも思いますが、実際にワルターの立場になったら相当の覚悟が要るだろうし、命張ってるなぁと思うし。
その上で誉人をああいう風に扱ったのですから、只者ではないかな、と思います。
ワルターの正体がわかった上で再読したら、どれだけ一目惚れだったんだか…とワルターに呆れます(笑)。
BLお決まりの展開ではありますが、楽しく読めました。
BLを読み始めてから、いろんな雑学に強くなった気がします。
知らなかったような職業を知ったり。
で、今回は心理学のお勉強をした雰囲気。
ストックホルム症候群はよく聞きますが(これもBLで知ったような気がします)、これは被害者側の意識の変化ですが、リマ症候群なるものを初めて知りました。
こっちは犯人が被害者に感化されるというものらしい。
いやぁ、奥が深いなぁ、BL。
心理的な描写がふんだんに盛り込んであるため、ちょっと重いかなぁ~? という気もしました。
が、誉人が監禁されている間はほぼハダカなのと、ワルターも色気溢れる男なので、エロがそこここに色気とともに溢れてます。
そのエロの間に、ワルターの優しさも垣間見られるので、なんだ、この男は? という伏線にもなっているわけですね。
本名まで明かされたときには、なんだ、それ……って、力抜けちゃいました。
いや、いいんですけど。
この本を読まれますときは、先入観なしに、スコーンと頭を空っぽにして読まれるのが吉かと。
たぶんあちこちにばらまかれていると思う伏線を(私はほぼ回収出来ずに読み終わっちゃいましたが)しっかり拾い歩くのも、楽しいかと思います。
あとこの題名、気になっちゃうんですよ、うまい!