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男くさくてデリカシーのない刑事・住吉と
物静かだけど住吉にだけツレない臨床心理士・東宮の恋物語ですが
患者であった一人の青年が亡くなった真相を解き明かすことも重要なので
ただ単に大人のラブストーリーというわけではありませんでした。
住吉が東宮にアプローチしても東宮が相手にしてくれないので
なんで一度だけでも関係を持ったんだろう…と序盤は思うわけですが
東宮の回想シーンが来て納得です。
住吉のそれまでの行いの悪さが原因なのでまさに自業自得といいますか。
そもそも住吉に感情的になる段階で素直に認めたらいいものを
認めたくないあまのじゃくなところがいとしい東宮です。
住吉の、本当は強引にでも距離をつめたい気持ちを
これ以上嫌われたくないと抑える健気さ、
がさつな刑事なのに東宮のことが好きでたまらないのは
冷たくされたせいなんじゃないかと思ってしまいました。
もしすんなり振り向いてもらえたらこんなに夢中になってないかもしれない。
とにかく今後は東宮だけにして欲しいものです。
東宮は住吉を甘やかしたらダメだ、すぐ調子こくから!ww
青年の死の真相というか心の闇が悲しかった…。
いつまでもとらわれたままの苦しみから解放されないんだろうな。
彼らだって幸せになれたはずなのにと思うと切ないですね。
2009年発表の、作者様3作目の作品。
デリカシーなし、威圧感あり、がさつな刑事と、繊細で潔癖な臨床心理士のカップリングです。
刑事、となれば当然事件ものでもあるのですが、本作で起きる事件は、ある美しい男がハッテン場でゆきずりの男とのSMプレイの最中に死んだ…というもの。
その犠牲者・植村道生が主人公の臨床心理士・東宮のカウンセリングを受けていたために、刑事の住吉が聞き込みにくる、という冒頭。
ただし、住吉と東宮には元々接点があって…
以前事件の検挙時に発砲した住吉にケアとしてのカウンセリングが命じられ、その担当となったのが東宮。
そんな関係性の2人だが、今東宮は過剰なくらい住吉を嫌っている。そのワケは…?
…と、物語が進むにつれて以前何があったか、両視点の心理状態を取り混ぜて明かされていくような手法で書かれています。
また、事件の被害者・道生には双子の兄がいて、双子ならではの濃密な2人の関係性、そこに絡んでくる事件の真相、真相に近付き過ぎた東宮に及ぶ身の危険、などなど、後半スピーディに事態が動いていきます。
BL観点でいえば、住吉は節操なしの結果としてのバイ。だけど清楚でお固い東宮に初めての本気の恋をしています。
固い固いガードではねのける東宮に諦めず想いを告げる住吉。
気遣いながらも強引に行為を進めていく住吉と、嫌がる気持ちと感じていく心と躰に揺れる東宮のセックスシーンはかなり官能的。
住吉は想いを遂げましたが、東宮のツンデレは多分変わらないのでしょうね。東宮に何を言われても惚れた弱みで苦笑いする住吉が目に浮かぶようです。