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melancholic libido
「センチメンタル・セクスアリス」は未読、
全然問題なかったです。
千夏史の片思いについての描写が素晴らしいです。最初の数ページから胸がギュッとなりました。
日和佐のそばにいるため、今まで理由もなく日和佐の家に行ったり、ハウスキーパーになったり、もらった一万札を大切にしたり、犬のおもちゃのお土産を生大事にすることなどの一挙一動で、胸がいっぱいになりました。
そして、日和佐からの2度も冷たい態度で拒否され、千夏史の気持ちは胸が痛いほどわかる!
自転車置き場での2人の出会いは、ほのぼのとした気持ちになりました。
日和佐と由多夏の関係も切なかったです。
由多夏は図書館からずっと日和佐のことを見ていていたこと、日和佐を手に入れるためにコインを使ったり、吸わないタバコを買ったことと、箱の中の写真、屋上の想い出、日和佐が自転車置き場で由多夏を待つ時の空など、泣くほど切なかったです。胸に響くほど両思いだったね。
日和佐は、由多夏のことを恋慕の情を抱くほど、愛していたに対して、千夏史のことを少しずつ知っていって、ほっとけなくだんだん好意が生まれた。
由多夏もういないから千夏史に移るなんてひどく思うかもしれないけど、別の考え方として、由多夏もういないからこそ、これからずっと由多夏に執着していても何もならないから、新しい恋が始まって幸せになって欲しいと思います。
日和佐が「急」に千夏史が好きの所から一気に神度が下がったけど、実は、酔っ払いになったあと一晩の介護されたとか、自分から犬のおもちゃのおみやげを生大事にすることを知ってから、知らないうちに好きになったと思います。もう取り戻せない由多夏への気持ちがわかって、やっと由多夏の気持ちも気づいたから、今度こそ大切な千夏史を失われたくないという解析したら、納得しました。
日和佐、千夏史、由多夏、それぞれの切ない気持ちもはっきりと伝えられました。
胸が熱くなって、神にしました。
なんだろなー。
「センチメンタル・セクスアリス」の日和佐はチャラそうに見えるけど、実は包容力があっていい男って感じで好きだったけど、こっちは彼を知れば知るほどどーでも良くなってしまった感……。
千夏史を子供だとあしらう様子とか(特に初エッチ時の冷たさ)あれこれはぐらかす様子が好きじゃない。
あと。
大変申し訳ないんだけど、日和佐の昔の恋人であり、千夏史の兄である由多夏(故人)のキャラがあまり好きではなく……。
優等生を演じつつ小悪魔キャラだったり、コインの表裏で付き合うかどうか決めるというエピソードから、うわ、何を気取ってんだか……と思ってしまったんですよね。
ガキが精一杯背伸びしてるなぁみたいな印象しか抱けなくて。
そしたら、まさにその通りで。
だからといって何かの感慨をもたらすということもなく……。
過去の呪縛から解放された攻めが、受けに告白するんです。
そこのくだりが私からすると最悪で……。
ずっと兄を忘れられないと知ってる受けは、
「でも、兄さんは?明さんが好きなのは、今でも兄さんじゃないの?」
とが聞くんです。
それに対して攻めは
「そうだな、好きだよ。けど、あいつはもういない」
と答える。
「そりゃあいないけど……、でもいなくなっても明さんはずっと……」
と聞くと、
「もしあいつが目の前に現れたら、俺は前と同じに惚れるかもね。けど、いない事実はもう変わらない。絶対にだ。それを論じるのはおかしいだろう?」
と言って「お前が好きだよ」というんです。
あいつが生きてたらあいつを選ぶかもしれないけど、あいつはもういないんだから、お前が好きだ!みたいな消去法で言われても全然嬉しくないし、私ならこんな告白されたら自ら恋に終止符打つわ……!と思ってしまいました。
全然自分には響かなかったなぁ……しょぼん。
春巳を見かけて「きっとおしゃれなセックスをしてるんだろう」と思う千夏史には笑いました。
切ない片思いのお話。
二十歳になった千夏史には、十一年思い続けている男がいる。出会いは九歳、相手は九歳年上の兄、由多夏の同級生で現在はカメラマンをしている日和佐明。
日和佐は自らも色情狂上等!とばかりに、男女構わずセックスがお盛ん。彼自身が魅力的なのはもちろん、綺麗な人間がひしめく華やかな業界に身を置いているせいもある。出会った頃から子供は嫌いだと豪語している日和佐は、二十歳になっても未だ子供っぽい千夏史が、自分に思いを寄せているのをおそらく知っている。
日和佐の千夏史に対する扱いは酷いものです。千夏史は日和佐との微妙な関係を繋ぎとめようと、日和佐が住むマンションの近くにバイトを決め、新たなバイトとして日和佐のハウスキーパーを始めようと必死。
なのに、日和佐は千夏史の存在が面倒で厄介だと感じている。まるで嫌がらせのように千夏史に自分の情事後の片付けをさせたり、海外出張のお土産といって犬用のオモチャを買ってきたり…
日和佐にはずっと直面するのを避けてきた思いがあって、その辛さから目を逸らさずに見つめ直すきっかけをくれたのが、皮肉にも自分が遠ざけようとしていた千夏史でした。
好きだった人が若くして死んでしまったショックのせいで、長いこと心の柔らかい部分が麻痺していた日和佐。高校生の時に何枚も撮った由多夏の写真を久しぶりに目にした時、もっと大人だと思っていたその人はあまりにも幼くて、彼が二十二歳で亡くなってから自分の中でずっと時が止まっていたことに改めて気づかされるのです。
そのうちの一枚。由多夏が日和佐を撮った写真を見返して、日和佐とは遊びだと冗談ばかり言っていた彼の本当の思いを知ります。このシーンで描かれる日和佐の心情に触れると、彼を一方的にロクデナシと決めつけるわけにはいかなくて、逆にポロポロ泣けてしまいました。
ようやく気持ちを整理し少し大人になった日和佐は、やっと千夏史と向き合うことができます。子供が嫌いという人は、本人が子供だからよ!という日和佐の遠縁で元同級生、ついでにお節介な紗和の意見に納得です笑
一見、千夏史ばかり辛い片思いをしているようですが、日和佐も恋人の死で終わってしまった片思いに、十年間蓋をしてきていました。そして同じように由多夏も…
恋をすると自分の気持ちばかりで精一杯。だけど人を動かすのはやはり人の思いであったり、誰かの思いに気づくまでにはとんでもなく時間がかかったりもする。そう思い知る頃には、すでに状況が変わってしまっているかもしれないけれど…、日和佐は千夏史が子供みたいに純粋で一途だったからこそ、幸運に見舞われたのかもしれません。
本作は『センチメンタル・セクスアリス』のスピンオフで、両方とも本当にタイトルが素敵だなと思います。わたしは千夏史、日和佐、由多夏それぞれの思いとその関係性が切なくて、キュンキュンどころかズキズキするこちらにメチャクチャ萌えました。砂原先生の作品の中でも特に好きなお話です。
「センチメンタル・セクスアリス」に登場したカメラマン・日和佐を主人公にしたスピンオフ作品です。「センチメンタル・セクスアリス」がとても好きで砂原糖子さんも好きな作家さんの一人なので期待して読んだのですが…あれー??萌えどころがイマイチ分かりませんでした。
印象として、千夏史の亡くなった兄・由多夏と日和佐との過去の恋愛のほうが重く(むしろ、こっちを読んでみたい)、いま現在の千夏史の感情はかなり後半まで一方通行なのに、最後なんだか唐突に丸く収まっちゃって、日和佐が不実な男のように思えてしまいました。
「センチメンタル・セクスアリス」の日和佐はとてもイイ男だったので、ちょっぴり残念です。
『センチメンタル・セクスアリス』のスピンオフです。
実はこの作品のあらすじに惹かれて読みたいと思いながら、できた順に読みたい派なのでそちらを先に読みました。
読まないと楽しめないという作品は少ないのですが個人的なこだわりです。
こちらの作品はセンチメンタル〜と同じ時系列で、ちらりと出来てきた春巳とのやりとりを通してみると裏でこんなことがあったのかと、重ねてみると面白く思えました。
別れたり死んでしまった恋人の事を根強く思っている人との恋愛は絶対無理だと思うので、明を密かに思い続ける千夏史が不憫で不憫で、もうこんな節操なしなおやじに執着するのはおやめなさいよという気持ちで読んでしまいました。
しかも悪いことに、明にしても死んでしまった由多夏(千夏史の兄)を愛していたとか好きで忘れられないんだという思いは自覚していないんですよね。
それというのも、そもそも由多夏も明も不器用で素直じゃないからなんですよ。
誰も悪くはないけれど彼の生い立ちとか家族関係とかが絡んでいるとは思います。
付き合うきっかけになった賭けに使うコインの存在が由多夏の想いを解明するアイテムになっていたというに書き方が良かったです。
コインの秘密と由多夏の本心を知った明がそれによって過去の恋にきっちりけりをつけられるのなら良かったとは思います。
でも、今ここに由多夏がいたらまた好きになるというセリフがどうも引っかかりました。
いないから仕方ないから次に好きな千夏史と付き合うみたいで、何年たっても兄を超えることができない千夏史がかわいそうになりました。
親からも兄の方が愛されていて、自分がかわりになったほうがよかったんじゃないかとずっと思っていたようだから、大好きだった優しい兄ではあっても複雑な存在です。
もっと他に言い方というか表現の仕方がなかったのかなと思います。
間違ってはないけどそれで千夏史は納得したのかなというのが疑問でした。
由多夏の2面性に彼の悲哀を感じました。
優等生でいい兄であることも嘘ではないでしょうが、明に対する飾らず気も使わない時間も彼には必要だったんでしょう。
とりあえず気持ちが通じて分かり合えたということでまとまったみたいですが、この節操なしなオヤジはきっと案外溺愛系なんじゃないでしょうか。
というのが、巻末のSS『メランコリック・スティディ』を読んで思いました。
童顔で可愛い千夏史が学校やバイト先で、無自覚に愛されフェロモン垂れ流して変なムシくっつけてくるのを駆除するのに苦労しそうです。
攻は亡くなった恋人を忘れられずに遊びまくっているカメラマン。
受は攻の亡くなった恋人の弟で、小学生の時から攻に片想いしている大学生。
死んだ恋人を忘れられない攻という設定がかなり苦手なんですが、崎谷先生の「静かにことばは揺れている」が面白かったので、この際一気に苦手を克服しようと手にとってみました。
結果は...やっぱり苦手でした。
英田先生のDEADLOCKシリーズで感じたもやもやを思い出しました。
ストーリーがしっかりしていて面白い分、余計にもやもやするんです。
もし死んだ恋人が現れたらまた惚れるだろうとはっきり言っちゃう攻になんだかな〜と思っちゃいました。
兄を想い続ける攻に十年も片想いしていて、想いが通じ合った後も亡くなった兄の存在を意識しながら恋愛しなくちゃいけないなんて受が不憫すぎる・・・
しかも、受の兄が本心を隠して軽薄ぶっているけど実は健気な美人という最も苦手なタイプ←いかにも美化されやすそう。
攻の親戚の女も悪気はないんでしょうが、攻が良い意味で変わったのは死んだ恋人のおかげだとか恋人が亡くなった後におかしくなっていた攻と同情でセックスしたとか受に話してしまうなんて、受の背中を押しているようでけっこう無神経だと思いました。
いっそのこと、受には甘えた攻を見限ってほしかったです。
十年も頑張った受の気持ちに胡坐をかくような攻にムカつきました。
『センチメンタル・セクスアリス』のスピンオフ作品ですが、わたしはこちらの作品の方が好きです。
視点が受け攻め、両方で読めるのも楽しめました。
受けの千夏史は大学二年生。
兄の由多夏は、22歳という若さで病気で亡くなっています。
攻めの明はもうすぐ30になる、人気フォトグラファー。
バイでハンサム、ちょっと皮肉屋な彼は由多夏の元恋人。
今回のテーマは『子供』のようです。
作中のいたるところに『子供』という表現が使われています。
『自分が子供だから明に相手にされない』というような。
出来の良かった9歳年上の由多夏といつも無意識に自分を比べている千夏史ですが、その辺りは読んでいても不思議と卑屈に感じることはなく、千夏史の心情に同調出来、切なくなることも度々ありました。
千夏史も明も、そして家族も、どれだけ亡くなった由多夏を愛していたかということを自覚し受け止める、そして器用貧乏であった由多夏の心情を知るための七年間でした。
はー、久々にウルっとしました。
砂原さんをいつも「うまいなあ」と感じるのは、登場人物紹介の描写。
時々他の作家さんで見られる、『こーんだけカッコ良いんですよ!!』的な説明調の描写でなく、スッと嫌味なく外見が想像できることが凄いなと感じています。
その登場人物の紹介文章だけで嫌になる(登場人物が自分の趣味に合う合わないでなく)こともあるので、その辺りは安心して読めるんですよね。
巻末あとがき後にSSがありますので、ご注意を。
中沢千夏史には、好きな人がいる。
それは九つ年上の売れっ子カメラマン日和佐明であった。
日和佐は、男も女も来るもの拒まず、の関係で、千夏史が訪ねて行っても、まったく頓着する様子もなかった。
ところが、「子供は嫌い」と千夏史だけは相手にもしてくれない。
九歳のときに出会った日和佐は、亡き兄・由多夏の恋人で、千夏史が恋心を抱いても叶わない存在であった。
そして、二十歳になっても、千夏史の想いは募る一方だが……
という話でした。
かなり静か。
物語に読む人の心を明るくするアッパーと読んだ人を考え込ませるダウナー系の話があるのだとしたら、これは間違いなくダウナーです。
でも、決して後味の悪いものではないので、ご安心を。
若くして亡くなった千夏史の兄・由多夏は、最後まで自分の気持ちをはっきり伝えることはなくて。
日和佐は、そんな由多夏のことをなんとなく引きずっていて。
彼は本当は何を考えていたのだろうか? って考えたり、悩んだりしていて。
でも、そんな自分を認めきれなくて。
実は、由多夏が死んだ後、一回も泣いてなくて。
でも、そんなデリケートな自分を認めてはいないから、自分ではなんともないと思ってる。思い込んでる。
千夏史は、そんな日和佐のことをわかってるわけではなくて。
だって、千夏史の方が、日和佐よりも随分年下で、なんていったって、まだ二十歳になったばっかりなんだから、まだまだ子どもだからわかってる方がすごくて。
けれど、そんな日和佐のことを、一途に由多夏に恋をしていた日和佐のことが好きになった千夏史だから、なんとなくほうっておけなかったのかなー……と考えました。
そんな感じのなんとなくセンチメンタルな話。
なかなか、こんなピュアな気持ちなんてもう忘れちゃったけれど、これだけ頑張って頑張って、どれだけ邪険にされも諦めなかった千夏史はすごいなー……と思いながら。
「センチメンタル・セクスアリス」のスピンオフになりますが、そちらを読んでなくても特に問題はなく読めるかと思います。あと両方読む予定なら読む順番も気にしなくてもいいんじゃないかな。
この話では2つの恋が書かれています。
現在進行形の恋と、そして過去の恋。
その2つの恋が最後に上手く絡まって、そのラスト部分が良いのですなー。
あ、あとがき後にSSがありますのであとがき読まない派の方は要注意。
千夏史〔受〕はやっと20歳になった大学生で、彼がずっと長く想い続けている相手は29歳のカメラマン・日和〔攻〕
日和は千夏史の兄の親友で、そして兄の恋人でもあった男。
しかしもう兄は亡くなっていて。
かつて幼い頃に日和は千夏史に「子供は嫌い」ときっぱりと告げます、そしてそれは今も変わらない。
20歳になっても千夏史は日和にとって子供でしかないのか。
男女問わずセフレ感覚で付き合う日和を見るのは千夏史にとって辛い事で、それでもまだ千夏史は彼を諦められない。
長い長い片想い。
千夏史と日和との恋がやっと成就した時に、日和はかつて付き合っていた千夏史の兄・由多夏が自分が思っていたよりも幼い、ある意味本当の彼の素顔を知るのです、そこに過去の恋があります。
由多夏と日和の恋、それは断片的にしか書かれていないのだけれど、兄が千夏史にいかさまコインを譲ったり、そのコインは兄が日和と付き合うきっかけになったコインだったり。
過去の恋がぶわっと最後に膨らんで来る、そのシーンが読んでて最も印象的でした。
健気に日和を思い続ける千夏史も良いんですが、この話に深みを持たせているのは彼の兄、由多夏の存在が大きいと思いますね。
千夏史の恋だけでしたら萌評価でした、神にしたのはそれに由多夏の恋が加わったからです。
何に萌えたって…日和佐と由多夏のエピソードが素晴らしい!
読後しばらく放心状態でした。
2人とも若くて不器用で、とうとうお互い最後まで素直な気持ちを伝えられなかったけど、由多夏はちゃんと日和佐の気持ちに気付いてたんだね。
だから「欲しいものは手に入れたよ」って弟にコインを譲ることが出来たんだと思う。
このコインの件とか、写真の件は本当泣きそうになりました。
が、肝心メインの日和佐×千夏史のはなしは「。。ふーん」って感じ印象に残らなかったです。
どちらかでも感想書いてありましたが、年下けなげ受けがハウスキーパーのバイトして遊び人攻めとくっつきました。ぐらいの印象しか。
ちょっと冗長すぎて読んでるのが苦痛でした。
日和佐×由多夏の話でスピンオフ切望です。
由多夏の心情が読めたらきっと萌死にます!!