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凌辱や痛みだけじゃない水原ワールドが面白くて、全部読んでみようと目下追って読んでます。
一冊読み切りで、頁足らずで少しアレ?な作品もあるけれど、
言葉遣いや文法の間違いがほぼないし、
資料を良く調べて書かれているので、期ハズレ作品が少ない。
読みやすいのと、知らない世界を覗く面白さが魅力。
2008年の作品。
主人公は一卵性双生児の弟、母の手元で育った郁。
双子の母:
有名エステサロンのオーナー 仕事優先 殆ど家にいない。
結婚、出産、離婚、起業・・あらゆる犠牲を払い仕事。子供も犠牲の一つ。
仕事が軌道に乗るまで、陸を12才まで親戚に預ける。
水上陸:兄 17才 高2
母似の美貌、郁より少し華奢。
人見知りで病弱。手がかかるので、1才から12才まで、金目当ての親戚に預ける。
サラサラの黒髪。前髪を右から左に分けている。
母に一度捨てられた恨みを持つ寂しい子。
水上郁:弟 17才、高2
自分より母に似ている陸を綺麗だと思う。陸より人懐こい。
髪の毛を少し茶色に染め、前髪を左から右に分けている。
放任育ち。
見城修一:35才 大学の非常勤講師 近代史専門。水上交通の研究家。
マンション一階に居住、家庭菜園が趣味。
悩む青少年、郁を気にかけている。
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母親の事情で12才まで、別々に育てられた一卵性双子の水上陸と郁
再会してからずっと、双子は病気に用心しながら毎日抱き合う。
でも高校二年の夏、郁は「このままでいいのか?」と、してはいけない事に悩むようになる、
陸から離れて独りになろうと、二つバス停が離れた小さい公園に、雨の日も寄り道する郁。
ある日迷い込んだ犬を捕まえに入った家の主は見城。
見城は、郁が何かに悩んでいると気付いていた。
徐々に郁は、双子の兄弟だけの世界から離れて、見城に惹かれていく。
親に構ってもらえない双子。再会して兄弟で抱き合い、温もりを得た歪な関係。
特に陸は、金目当ての親戚宅で、可愛がられなかった。
やっと再会した弟との関係を壊されたくない気持ちも理解できる。陸は赤ん坊の頃から我慢続き。
多分郁はファザコン、いずれまた冷める・・陸は郁が戻る日を待ち続けるのかも。
悪者が居ない、ちょっと切ない粗筋だった。
電子新刊だが旧作?試し読み一行目からリバ要素を匂わせてくれる親切設計だった。
水原さんはたぶん初読みだが、文章がとても好み。リズムが心地よく、徹底した一視点で視点主以外の描写に適度な中立性が保たれている(たぶん)。感情移入して読むのが苦手なため、客観視しやすいこうした文章がすごく好き。
ストーリーは単純明快、双子の片割れが呪縛から逃れ恋を知る話。
登場時の見城は、自身を傷つけてまで郁を引き留めるヤンデレかと思いきや、無条件に優しく朗らかな大人だった。おかん化する郁とのやりとりが微笑ましい。
そしてヤンデレなのは陸の方。嫉妬と執着でキャラとしては分かりやすい。
一番分からなかったのは主人公の郁。兄弟の肉体関係を人として許されないと何度も言うが、なぜダメなのかを考えないんだろうか。近親は子供を作るのがダメであり法的に婚姻が認められないのであって、後は生理的嫌悪という感情論(と私は思っているので、郁の絶望に共感できなかった)。
人は嫌なことやりたくないことに理由を探す性質がある。高校生男子がダメなものはダメ理論で思考停止しているのはちょっと疑問だった。それでいて30代が未成年を相手にするのは良しとしているのも謎の倫理観。見城と堂々と恋人宣言したいらしいが、男同士もOKとはますます謎だった。
エロシーンが多く、その半分以上は陸が郁を痛めつける。陸も満たされることなく郁を責めているので、痛々しくてエロさはなく、ただただしんどい。見城との初絡みも郁は傷だらけなままなので、もうちょっと待っても……と言いたくなった。お清め系でもないし。
三人が一堂に会す山場、陸はここで救われたわけじゃないと思う。その後に語られる進路で、自ら自分を戒め更生に向かっている気がして応援したくなった。郁は見城という居場所を見つけてハッピーエンド。あまりに何の心配もない納まりの良さで、陸に心を持っていかれそうになった。
読後は結構好きな話だったなあと思ったが、ふと表紙を見て衝撃を受ける。ここにきて一人暗い場所に座る陸を見るのは辛すぎる。陸は確かに郁に酷いことを続けたけれど、郁だけが幸せになるのも違うと思う。
最初は同じ気持ちで始めたことで、心変わりを相談することもなく、ずるずる続けた郁にも問題がなかったわけじゃない。物語の結末にしても、郁と陸でここまでの差を付けられることなのかなあ、と。
郁も一度自立してから見城を手に入れるエンドだと納得できた気がした。
とまあ表紙で一気にテンションが下がってしまったが、作品に流れる空気感と庭付き見城家で過ごす二人の会話や雰囲気が好きだったので萌え2にしとく。
親の都合で、12歳まで離ればなれで育った双子の兄弟、陸と郁。
二人はまた同じ屋根の下で暮らすことになり、キスをし、マスターベーションしあい、ついに一線を越えて、挿しつ挿されつの禁断のリバーシブル関係に溺れていた。
物語は双子の片割れの郁が、その関係に悩みはじめるところからはじまります。
郁にひたすら執着する陸と、陸と「普通の双子兄弟」になりたいと願う郁、双子の心の溝はどんどん広がっていく。
そんななかで、郁は35歳の見城に出会い、強く惹かれていく──。
後半からちょっと失速気味かなァ。冒頭から中盤にかけてはめっちゃ良かったんだけど。
陸を描ききれてないと思った。てゆか、陸のほうにも誰か受け皿を作ってあげて欲しかったなぁ。かわいそうだった。
でも郁と見城のほうは良かった。禁断の関係に悩み、オトナ(てかオヤジ?w)の見城に惹かれていき、カラダを重ねるまでの自然な流れが良かった。
誘い受けというか、だだをこねる子供のように見城を必死で求める郁がカワイイw
『お互いのみが必要』と思い込んでいた双子のの虚無と覚醒。彼らの成長が綴られています。
高校生の陸と郁は事情により離れて暮らしていたが再会後は自分の分身を取り戻すかのように共に過ごし、ごく自然に体の関係を結びます。
このふたりって恋情以上に相手の中に『そうだったかもしれない自分の姿』を見つけて慈しんでいるのかな、と思いました。
陸は郁の中に母と住んでいたかもしれない自分を、郁は親戚に預けられ孤独に苛まれていた自分を護るように抱きしめていたのでは、と。
そうして満たされていたふたりですが執着と束縛が増す兄の陸に対して不安を抱き始めた陸は、ある日、見城という大学講師と知り合います。
見城のとる郁との距離感が絶妙で、隙間すらない陸との閉塞感を際立たせてしまいます。
だからこそ見城の纏う少し抜けた緩やかな空気に郁は惹かれていったんだと思います。
うしろめたさをも尊重して受け入れる見城の深さに郁は救われます。
郁も陸も苦しんでいて追い詰められていく様子がヒリヒリと伝わってきて胸がつまりました。
ふたりを追いつめているのは背徳感ではありません。
郁は陸への罪悪感、陸は寂寥感にがんじがらめで身動きができなくなっています。
近親相姦の着地点は『溺れる』か『抜け出す』か、ですよね。
もとはひとつだったふたりが求めたものは一致しなかった…違う人間なのだから。
再会してから初めて別々に過ごす夜…郁は見城に包まれ、陸は独りで凍えていました。
陸にとっても必要なこととはいえ読んでいて涙がこぼれてしまいました。
陸は賢くて早い時期に闖入者の存在に気づいていて、ずっと密かに静かに心騒がせていたんだと思います。
思いつめての郁に対する乱暴な行為は許せないことだけど『陸=郁』という思い込みから抜け出すのは容易ではないんですよね。
思い込みで周りが見えなくなる事なんて子どもの頃は日常茶飯事だもの。
ポツンとベンチに座っているのは遠い日、母に捨てられた(と思っている)、取り残された小さな子どもの陸に見えて、やるせなかった。
象徴的だった氷面鏡が割れる場面。
ふたりが別々の人生を歩み出したことをが示唆されています。
題名と表紙イラストがストン、と胸に落ちます。
表紙の陸はどこか泣きそうな顔をしています。
そんな陸がいつか、微笑むことのできる相手と出逢えますように。
…あぁ…双子のことしか語ってない(汗)
親の愛に恵まれなかった双子の高校生と、男の恋人と別れたばかりの大学講師・見城のお話。
事情があって離れて暮らし、大きくなってから家族になった双子の陸と郁。
父親は無く母親は多忙という、子供にとっては寂しい家庭環境の中、半身として惹かれあい身体をつなげるようになっています。
しかし、弟の郁はこの禁忌の関係に疑問を抱くようになり、陸と距離を置こうとして公園のベンチで一人物思いにふけるようになっていたのですが・・・ある出来事から郁と見城が出会い、彼の部屋を時間を潰すための温かい場所として提供してくれます。
陸のことを愛しているけれど、それは恋人としてではなくて、
兄弟として愛していることをわかってもらう手立ても無いものだから、
激昂した陸の言うがままになってしまう郁。
話したくなければ話す必要は無いと、郁の事情も聞かずに優しくしてくれる見城。
郁の変化を感じ取り、行動がより独りよがりで激しくなり、どう考えてもDVでしょうという状況にまで追い込まれていく陸。(このお話で一番痛々しいのは陸だと思います。)
陸との関係にどんどん疲弊していく郁は大変痛々しく、どうしてそんなにあなた一人が背負い込まなくてはいけないの?と言いたくなるくらいなのですが、幸い見城というシェルターができたことにより、そこでは少年らしい姿も見せてくれます。
いくつかのエピソードでその幸せな関係も揺れ動いたりするのですが、さすが35歳の先生ともなると洞察力と包容力、行動力が違います。
見城という存在に一切悪い部分が無いので、時には胡散臭い感じも受けますが、それでも一貫して人のいいヘタレ気味なおじさんでした。
最終的に傷ついた郁を抱いた時、ここまで立派な大人だったひとがここで抱いちゃいけないんじゃないかと、なんでわざわざエッチしなくちゃいけないんだと思っちゃったのですが、
ひいき目で見てみれば、見城も普通の男で我慢も限界だったんだよねっていうことなのかもしれません。
それにしても彼らの母親はのんきですこと。
帯『双子の兄弟で抱き合うことが”罪”だなんて思わなかったー』
一卵性双子の陸と郁、彼らは母子家庭の経済的事情から12歳まで離れて暮らしていて、一緒に暮らす様になりいつしか自然に身体を繋げる様になっている。
そんな中、郁[受]は偶然、大学講師の見城[攻]と出会い彼の家へと出入りを始めます。
見城は35歳と高校生の郁に比べればずっと大人なんだけれど一緒に居て心地よく、また見城も郁の事を友人だと言ってくれる。
そして一人ベンチに座っていた郁の居場所はベンチから見城の家になり彼に心地よさと親愛以上のものを感じはじめるのですね。
当たり前の如くに行われているキスやセックス、その禁忌と歪みに気付いてしまった郁と、ただひたすらに郁だけを求める陸。
双子だけの世界、その均等が崩れた時から陸は次第におかしくなって行きます。
一方的に郁を強姦したり、剃毛したりして彼を束縛しようとするのですが、郁の気持ちは既に見城へと行っていてもう元には戻れない。
着地点は温かく希望的な前向きな終わり方となっています。
彼らが、彼らの写る氷を割った時、閉ざされていた彼らだけの世界も砕け散り互いが別々の存在として生き始める。
双子が最初の内はリバな関係なので、リバが地雷の方はちょっと注意かも(メインカップルはリバ無しですが)
でも自分的には双子でのセックスで挿入し合うって始まり方がなかなか良かったです。
双子かつリバなので、兄弟ものが大好きな私でもちょっとダメでしたね・・・。
やっぱり多少の体格差があったりしないと、なぁ・・・。
教授×高校生
には萌えたんですが、双子Hやリバに抵抗なければ、面白く読めると思います^^