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森にひそむ愛のたくらみ・・・。
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
KISSと海賊の世界観をそのままにしたような、もう一つの物語です。
帝国軍が敵では無く味方側での出来事で、帝国軍が世界制覇をめざしている最中。
森の王国を帝国軍が無血状態で手に入れ、もっとも辺境の地であるオロブナ領内
その森に住む少数民族イァイエン族の元へ、新しく領土を納めたのがエルマン伯爵。
新しい領土を視まわりする為に帝国軍人と帝国の聖騎士団長を庇護者に置く
神聖稚児のリオンと伯爵がやってくる。
そのリオンの姿に一目で目を奪われたのがイァイエン族族長四子のユーナイフ。
二人の出会いはユーナイフが14才、リオンが16才で、リオンは気位が高くて
傲慢な物言いで、森の民であるユーナイフを田舎者で野蛮だと見下している。
本当に見た目は天使もかくやと言うくらい美しいのに、非常に残念な受けです。
そんな見た目だけのリオンに恋してしまうのは、族長の息子のユーナイフ。
子供ながらに優秀でありながら、愚かな顔だけのリオンに恋してしまう。
リオンが森の狼に襲われそれを助けたユーナイフ、そこでユーナイフは情熱的に
リオンを求め、想いが通じ合ったように一夜を共にし、直ぐに戻ると言う
リオンの言葉に何年も待つことになる健気で一途なユーナイフ。
5年が過ぎて、リオンは結局戻ることはなく、そんな待つ日々の中でオロブナ領内で
不穏な噂が絶ち始め、それを調べる為に伯爵がやって来るがその後消息が
不明になり、更にそれを調査する為に稚児から成長し神聖騎士見習となった
リオンが再びやってくるのですが、リオンにとっては忘れたい過去で、
ユーナイフも5年ぶりに再会したリオンの態度に何も口にせず、無言を貫く。
罵倒されても仕方ない所業のリオンなのに、逆に無視されたように感じてるあたり
救いようがない程身勝手で我儘で浅はかなんですよね。
それでもこんな顔しか取り柄の無い男を出会った時と変わらず愛している、
ユーナイフが憐れなのですが、結果的にはとことん迷惑を掛けられる。
それも命の危険が隣り合わせになるくらい。
二人の恋愛的な流れと、オロブナ領内で起こった反乱、そして森の民同士の争い。
リオンの活躍は無いに等しいのですが、次期族長として優秀なユーナイフが
唯一ダメなところがリオンを選ぶような趣味の悪さなんです。
我儘でプライドが高くて考えなしで子供のような行動をしてしまう。
それでも都会で何不自由なく暮らしていた我儘さんが最後の最後に自分の命より
ユーナイフの命を願ったことだけは認めてあげなくてはと思う内容です。
このリオンに限って内助の功は一切望めない気がしますが、それを補っても
余りある優秀なユーナイフと女王様気質で意外に馴染んで幸せになるかもと
想像が尽きない作品になりました。
あとがきにて、「はじめましての方はあまりいらっしゃらないとは思いますが」と書かれていましたが、私は五百香ノエルさんの作品は初めて読みました。初めて読んだ人間のレビューということでご容赦願います。
初めて読んで、まず、そのしっかりと構築された世界観に驚きました。
日常的なことを題材とした作品はもし描かれ足りない部分があったとしても自分の中で補完して読むことができますが、ファンタジーは補完にも限界があり、適当に描かれた世界観ではストーリーが破綻してしまいます。
だけれど、この作品にはそういった破綻がなく、さらにその世界を広げてくれます。同じ世界観で書かれたという「KISSと海賊」のシリーズを読んでみようかなと、思いました。
黒髪に灰青色のユーナイフは野性味溢れるヒーロータイプ、コーンゴールドのブロンドにダークグリーンの瞳を持つ美しいリオンは思慮の浅い高慢な姫タイプ。二人の対比も鮮やかで、お似合いのカップルでした。
最後はユーナイフの元へ走ったリオンがこれから先も幸せでありますように。
「KISSと海賊」を読んだ後に手にしたので、世界観を理解しやすかったです。
もしもこの本から入ったとしても、充分な説明がされているので、受け入れやすいでしょう。
外見は申し分なくキレイなのですが、わがままで外交能力に欠けるリオン。
そんなリオンに一目惚れてしまった為に、犠牲になるユーナ。
リオンがおバカすぎて、その行動がユーナをピンチにばかりさせる。
イラッ、とくる場面もありますが、かなり甘々なのでユーナの気持ちになって許してしまえます。
別れを覚悟していたユーナの元にリオンが帰って来るラストシーンはよかったです。
一箇所だけ、どうしても嫌だったところは、放尿シーンがあったところ…。
私は排泄行為の描写が苦手なので、コレだけはどうしてもダメでした。