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ちょっとミステリータッチのストーリーです。
攻受両視点交互で進むので、キャラクターはともかく読み手には双方の心情も事情もよくわかります。
名前以外ほとんど明かさない、資産家の孫である真砂(受)を部屋に出入りさせている保険調査員の瀬良(攻)。
瀬良は行きずりの真砂を拾ったような気持ちでしたが、実は真砂は小学生の時に出逢って助けてくれた瀬良のことをずっと想っていて、探偵に頼んで探したんですね。
でも、それを瀬良に知られたら引かれそうで、昔のことも言えないでいるんです。
瀬良の方は、真砂のちょっとした話から彼の祖父が脱税をしているらしいと知り、仕事の関係で真砂のことを調べて彼が隠していた姓やその他家庭事情も知っています。
でも、過去のことには気付いていません。
そして、上司に祖父の脱税の証拠を掴むために真砂を利用するように言われ・・・
う~ん、ラブ面についてはちょっと切ない雰囲気でそれほど悪くはないんですよ。瀬良のキャラクターはよくわからないというか薄いけど。
ただ、ラブの背景が悉く気分悪い。
『仕事に利用する』っていうこと自体が悪趣味で大キライなんですが、瀬良が自発的にならまだしも上司の命令でってどんな会社だよ。
そして、反発を覚えつつも結局は実行しておきながら、瀬良がそのことに罪悪感を覚えるのがどうにも微妙でした。
イヤ、罪悪感そのものはいいんですが、上司の命令にしろ『脅されて無理矢理』でもなくハッキリと自分の意思でやってんだろ、とシラケてしまったんですよね。
不幸な自分に酔ってどうする、被害者はお前じゃなくて真砂だろう!と。
しかも、そのわりに真砂の祖父関係が、脱税もそれ以外もあまりにもあっさり過ぎるんです。
瀬良の会社についても、存在感が無駄に大きい(大きくしている)のに説明も適当な感じだし。というか設定自体が適当なのか。
イヤ、ホントに『結果的に騙すことになった』ならまた感じ方も違ったと思いますが『業務命令で引っ掛けろ・利用しろ』ってのがね~。
ホントに『なんだ、この会社!?』ですよ。
しかも、ストーリーが収束に向かっても、肝心の騙され利用された真砂に対しても(会社について)なあなあで流してるとしか思えなかった。そんなもんでいいのか!?
いっそのこと、この会社を『完全に悪者』にしちゃった方がまだスッキリ納得できたかもしれません。
とにかく、すべてが曖昧で中途半端な感じでした。メイン2人の過去の邂逅については触れられないまま終わっちゃってるし。←瀬良は真砂と『再会』だと知らないままってことです。
それなら、真砂の祖父関係だけあんな慌しく片付けなくてもよかったんじゃないの?
そして、ラストはあからさまに『続きをお楽しみに』って感じでしたね(ストーリーとしては一応終わってますが)。
ただ、このラストの脇キャラクターに関するオチは(個人的には『ああ、やっぱり』でしたが)、他のアレコレに比べたら作中唯一と言っていいくらいに爽快なエピソードだったとは思っています。
あとはイラストですが。
特に表紙カラーがちょっと酷過ぎる。
これ、ほんの5・6年前だよね?90年代なら、結構『なんだコレ!?』なイラストも多いけど・・・
実際、私はこの表紙イラスト見るだけで読む気も失せるってくらいダメです。