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CDを先に聴いていたので、わりとすんなり読めました。
野球ばっかやってればよかった樋崎は怪我で野球を失って
人生すら見失ってしまってるところへ
後輩の明石と出会い、目を背け続けていたモノに目を向けて
立ち直っていくといった感じかな。
男ばかりの野球部。
相当強い野球部だから勉強よりも恋愛よりも
何よりも野球で、目につくものは同じ野球部の先輩・樋崎だったわけで
憧れが庇護欲、独占欲になっていく後輩・明石はアリだなって思った。
よくも悪くもミーコハウスさんのイラストが野球臭ゼロw
まったく野球っぽくはなかったですね。
文章にも、あんまり野球臭はなかったからちょうどいいかな。
CDを聴いて、気になったので原作を読みました。原作とCDを比較してどうこう思う派ではないのですが、これはCDのほうが面白いと感じました。とは言え、二人の心情がより深く分かる描写もあり、読んで良かったです。
元高校球児二人の物語ですが、野球じゃなくて別のスポーツでも…もっと言うとスポーツじゃなくて主人公の過去のトラウマになりうる対象なら何にでもコンバートできそうな展開が主軸なので、ド真ん中の体育会系萌えを期待すると肩透かしだと思います。なんと言ってもイラストが…oyz 松本ミーコハウスさんの絵は可愛らしいですが、野球選手には到底見えませんでした。
二人ともまだ二十歳かそこらなので同じようなことでグルグル悩んで落ち込んだり傷つけたりしますが、クライマックスの盛り上がりが分かりやすく、読後感も爽やかで、もっと評価されてもいい作品かなと感じました。
リトルリーグから野球を始め、高校時代はあちこちからスカウトや取材がくるほどの将来を嘱望された投手だった樋崎は、交通事故で大怪我を負い、野球ができなくなってしまいます。
それ以来心を閉ざし、気力の全てを失くしてただ日々を過ごすだけの毎日。
そんな樋崎のバイトするコンビニに、高校時代の後輩だという明石がやってきます。
有名だった樋崎と、1学年下で二軍のそのまた下だった明石とは接点がなく、明石は樋崎を知っていても樋崎に彼の記憶はない。
しかし、野球ができなくなった自分と違い、明石は現在大学1年ながら野球部のエースを務めるようになっています。
以来、自分のシフトに合わせて明石は毎度のようにやってきては何かと話しかけてきますが、自分の過去の栄光を知り、自分の失くした野球の世界で活躍している明石の存在は樋崎には苦痛以外のなにものでもない。
徹底的に冷たく接する樋崎ですが、明石は懲りずにとにかくしつこく樋崎をかまってきて、根負けした樋崎は、“全て受け入れて流す”という無関心で明石に接することにします。
本気で自分を見ない樋崎に焦れた明石はとうとう暴走し・・・とその後は読んでのお楽しみですが、要は「樋崎が明石の存在によって立ち直っていく」お話。
野球少年(青年)ですよ~と喜んだものの、スポーツマンらしい爽やかさとかはどっちかというと全然ない。
才能に溢れ、超有名で、それにふさわしいくらいには傲慢でプライドも高かった樋崎は、人生の全てだった野球を失って、それこそドン底。事故から2年ほどしか経っていないので自棄になっているのは無理もない。
そんなところへ現役で活躍中の、昔の自分を知る後輩が現れたらそりゃ顔なんか見たくないよね。
この明石がしつこく樋崎を構うんですが、根本的には「励ましたい」という気持ちがあるのはわかるものの、どちらかというと樋崎を思ってというより「自分の憧れだった先輩の死人のような姿を見たくない」というわりかし自分本位な理由で動いているように見えるので、あんまりいい感じはしない(笑)。
結構デリカシーがない態度もいっぱいしてるから、余計なお世話に思えなくもない。つうーか、普通に「自慢かい」と思われてもしょうがないと思う。
樋崎の、「抵抗すると疲れるから、とりあえず受け入れて心の中で流す」という態度もね、なんか二人ともいろいろ迷って間違っちゃってる感じなので、なかなか真意が伝わりあわないのですね。
二人の複雑な気持ちは、私も読んでて疲れましたよ。
私が樋崎だったら多分明石は好きにならないと思う。
それどころか、私はわりといじけ虫だから、大嫌いになってそうな気がするな~(笑)