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hardboiled ni fureruna
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
電子書籍を物色している最中に目に留まり、友達に勧められて当時読んだのを懐かしく思い出したんですが、美貌の長髪の鍼師(本当は整体師だった)と親友の編集者との三角関係だったのはクッキリと覚えているのにお話のラストを全く思い出せず……
でもね、読んだ時に『不思議な爽快さ』を感じたのだけは覚えていたんです。
この『不思議な』ってとこがミソで。どんな不思議さだったのか、思い出したいじゃないですか(笑)。ポチって再読しましたよ。
で、当時の記憶が曖昧だった理由がはっきり解りました。
だってこのお話、中心に置かれているのは『恋の話』じゃないもん。
主人公の羽根くんって、小説を書かなければ(多分)生きて来られなかった、あるいは、今の自分と違うものになってしまったかもしれない人なんだと思うのです。
羽根くんにとって『生きること=物語を紡ぐこと』なんだな。
再読して一番感じたのはそこだったんです。
SHYノベルスで刊行されたのは2001年5月。
魚住くんの『夏の塩』の文庫化が2000年7月ですから(たしか魚住くんシリーズは雑誌掲載されたと思うので、初出はもっと前なんだろうけど)それからまだ1年経っていない頃なんですよね。
羽根くんの「恋よりも何よりも、書きたい!」というスタンスは、当時の榎田さん自身の心持だったのではないのかしらん?
当時まだ若かった私も、仕事は違えど似たような感じを持っていたのかも。
『仕事が第一』という生き方を選んでも『それを後押ししてくれる男がいる(それも2人も!)』というドリームに、爽快さを感じたんじゃないかと思ったのね。
19年経った今読むと、大人しくて流されがちな羽根くんが一番したたかで、ある意味『一番漢らしい』様に感じましたよ。
時は流れましたねぇ……(しみじみ)
なんでよりによって榎田さんでコレに高評価!?って我ながら思うんですが、でも好きなんです。あ、もちろん他にも好きな榎田作品、いっぱいありますよ。
もう理屈じゃなく好きなんですよね。
以下、ラストに触れてますのでご注意を!
榎田さんには珍しい(少なくとも私はほかに思い当たらない)三角関係です。
新人作家(投稿作が受賞したばっかりの駆け出し)の羽根くん(受・暫定)に、カリスマ整体師の千疋さん(攻候補1)と、羽根くんの高校時代からの親友で、今は編集者の神楽坂(攻候補2)の3人がメインになります。
『三角関係』って、そもそも攻候補2人(普通BLで三角って言えば、攻2対受1ですよね?)に同じくらいの魅力がなければ(タイプは違っていい、というか違えば違うほどいい、のかな)成り立ちませんから、書くのは意外と難しいんじゃないかなと思うんですよ。読んで『なんでこんなヤツと迷うの?』って思わせたら失敗なんでしょうしね。
私はこの作品、キャラクターがすごく好きなんですよね。
でも羽根くんは『何よりもまず小説』って人ですから、結局どちらも選ばずに(三角関係のまま)終わってしまって、続編(『ロマンス作家は騙される』)に続きます。
ちなみに私は絶対千疋さん派なんですが(誰も訊いてない)、『千疋さん』と『神楽坂』って言ってる時点で、自分の中で完全に勝負ついてますよね・・・
とにかく、イラストの金さんがぴったりでしたね(千疋さんがよかったんですよ!)。金さんのイラストは、このころが一番好きかもしれません。
さすが榎田尤利さんでした。
文章うまいしテンポはいいし、最後まで楽しく読ませてもらいました。
完全な三角関係のお話で、主人公は二人の男から求愛されてモテモテ。
どちらも好きでどちらも選べないという状況になります。
ただ、主人公の性格が好きじゃなかったのが残念だったかなァ。
キレイな三角関係作品で好きだったのは、水原とほるさんの『青の疑惑』っていう作品ですが、これは主人公の性格が好きだったんだよね~。
ウジウジ受けは、「二人の男を天秤にかけても許せるタイプ」じゃないのだ!
でも攻めの二人は、二人ともカッコよくてステキでした。
私でも迷うな。
迷いたいもんだ。
迷わせてください。
…気にくわない理由って、単にこの主人公に嫉妬してるだけかもw
お話は、『ロマンス作家は騙される』へと続いてゆきます。
編集者勤務の親友(硬派一途攻め)・カリスマ整体師(強引敬語攻め)×小説家・羽音深雪(トラウマ持ちな流されメガネ受け)
購入時に目当てだったことよりも、羽音が書く文章に惹かれました。(つまりは、榎田さんとも言いますが)
小説を書いている人ならわかる悩みが書いてあって、一番共感したのがそこでした。
羽音はいつもは純文学を書いていたのに、望んでいなかったハードボイルドで売れてしまった。
自分の作品だから嫌いじゃないし、愛着もあるんだけど、自分でもどうしようもないもどかしさを、千疋が言葉で救ってくれます。
言って欲しかった言葉を言えるのは、ツボがわかるからもあるのでしょうか。
神楽坂の方はおおらかと言えば聞こえはいいのですが、なんとなく対応が大雑把に思えてしまいました。
決定打は、羽音の凄惨な過去を聞いて、我が事のように泣きそうになった千疋を見てからです。
して欲しいことをしてくれたというか、千疋が羽音の傍にいてくれてよかったと、心底思いました。
千疋は黒髪ロンゲで敬語攻めなカリスマ整体士で、おまけに売れる前の純文学時代からの羽根のファンで、羽音の痛いところを全部救ってくれます。
神楽坂に関する描写が少なかったので、羽音の思いが揺れていると聞いて、あれ?と思ったんですが、単純に自分の好みの問題かもしれません。
確かに、前からずっと守ってくれて、手も出さずに優しく見守る硬派な所、書きだしていくと魅力的な部分もあるので、千疋というキャラに惹かれすぎなのかも。
脇キャラも個性豊かで優しい人物が描かれていて、きょうだいの美空、羽音の編集で美空の恋人のヒカリ、神楽坂、千疋に、羽音にいまの幸せな現在があってよかったなと思います。
思いがけないところで、ほろりと泣きました。
個人的に今回は千疋押しだった気がしますが、フィルター故かもしれない。
羽音の弱いが故の強さ。傷みを知っているからの強さ。
見かけも小さいし弱そうなのに、心はすごく漢前で譲れないものを持っていて、だからこそ、人が感動できる話を書けるんだなと、とても好きになりました。
見かけが可愛いだけでただ愛玩される存在じゃないってことも、好感をもつポイントでした。
羽音の書いたスプリンターが読みたい!と言うのは、贅沢でしょうか。
純文学のもそうですが、ちらっと書いてあるだけなのに、凄くひきつけられました。
まだ三角関係に決着がついていない第1巻です。
売れない小説家が主人公・羽根
それを学生時代から支えている親友で出版社の編集・神楽坂
そして・・・
羽根の身体の凝りをほぐすためにカリスマ整体師・千疋が登場します。
羽根を真ん中に親友と整体師と三角関係になるんですよ。
コミカルとシリアスがごっちゃまぜで
三角関係と10年愛と運命愛とごっちゃまぜ
そしてゲイとかレズとかも入ってるんです。
榎田さんだから、うまいことまとめてはあるんだけど
読者としては、誰に焦点を置いていいのかわからなくなった。
そして、自信がない無意識なモテ受けに魅力を感じないんですよ。
しかも最終的にはかなり流されてビッチな受けに様変わりしているwww
攻めふたりの想いはだいたい同じくらい。
魅力的にもだいたい同じくらい。
どっちに転ぶのかこの本だけではわからないのはいいと思ったと同時に
どちらにもあまり魅力を感じなかったんだよね。
続編へつづく。
極度の凝り性もちの作家、羽根。
彼にしてはめずらしくハードボイルド系の作品を執筆していたその時事件は起こった。
激しい衝撃と共に背中が攣ったのだ。
しかもこれ、彼にとってはそれほど珍しい現象でもない。
見かねた親友で編集者でもある神楽坂の勧めで嫌々ながら訪れた伝説の整体士、千疋のもと。
羽根のイメージとは違い、千疋は若くて綺麗な男だった。
千疋の施術をうけて羽根は信じられないくらい身体が楽になる。
しかし、その夜羽根をおそった異変はそれだけではなくて……
気弱な作家と伝説の整体士と親友の三つ巴バトル?!
榎田さんの適度に遊び心を忘れない文章がほんと好きです。
作家買いだったので、とくにあらすじとか読まずに勢いで買っちゃったんですが……
三つ巴な感じでした。
普通に言うといわゆる三角関係。
攻→受←攻という構図ですね。
個人的にこれがあんまり好きじゃない。
ついついどっちかはっきりしろよ受!!ってイライラしてしまう。
思えばこういう作品って、攻がどっちも同じくらい魅力的じゃないと成立しないのよね。
そういう意味ではこの作品は成功じゃないかなあ。
ずーっと親友の地位に甘んじながらも羽根を思い続けてきたちょっとなさけない神楽坂と。
カリスマ整体士で実は昔から作家羽根のファンでものごしやわらかな千疋と。
どちらも選べない主人公にやきもきしつつも目が離せません。