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擬似家族から本当の家族へ、というお話です。
恋愛もの半分、ヒューマンドラマ半分、というテイストでした。
孤児院育ちの寿人は家族というものに憧れていて、知り合った歳上の女性と婚約したら同じ歳の双子の息子がいたというお話。
しかし彼女は大金を持って失踪してしまい、寿人は彼女が戻るのを信じて双子と共に暮らします。
家族が欲しかった寿人は父親として二人の息子・駿と瑛を守ろうと決めますが、二人、特に駿からは邪険にされ、当然ながら同じ歳の父親などいらない!と言われ…。
それでも二人に家族として、父親として認められるよう頑張る寿人はかなりお人よしで温厚で騙されやすく危なかしいキャラクターで、それが偽善的にうつるのか、ひねくれ者の駿にはかなり嫌われます。
その寿人が双子の家族として認められるまで…というのは、ここまでならヒューマンドラマとして終わりそうなお話なのですが、ここから最初嫌われていた駿との恋愛に発展していく過程が私はかなり萌えました。
ベタなんですが、身寄りのない健気な主人公がくじけず頑張るという設定に自分はかなり弱く、散々不敏な目に遭うという設定もかなり好きです。
駿は自分の家族をとられたくないというファミリーコンプレックスで、母親の再婚相手というだけで寿人が気に入らない、双子の瑛に恋人がいるのも悶々している、というキャラクターです。
本当は優しいのにひねくれもので扱いにくく、かなり荒れた気難しい性格なのに、だんだん寿人を意識し始めて変わっていく様子がラブストーリーとしてよかったです。
お金を持って逃げた母親にはかなり腹が立ちましましたが、終わりよければ…というのでラストはよかったと思います。
冒頭であんなに出ていけって言っていた駿が、全部終わって最後に寿人出ていかなければならなくなった時、「出て行きたくない」と訴える寿人を抱きしめるところがぐっと来ました。
言葉がなくても、駿の気持ちが詰まっていて、周りの人間たちを黙らせる雰囲気にこちらも呑まれそうでした。
瑛と駿の本当の父親の事や、寿人を好きだという寿人の友人で駿のライバルキャラや、瑛が援助交際がしている相手のこととか、けっこう設定を詰めすぎていて解決してないような部分がある気もするんですが、続編があるようなのでそちらですこしは補足されるのかな?と期待します。
表紙を見た印象そのま間の素敵で暖かい作品だったと思います。
表紙絵のスピーカー前にちょこんと座る寿人がビクターのワンコみたいでかわういです。
桜木さんらしく札幌を舞台にした大学生の双子の駿と瑛、そして母親の再婚相手で式当日に結婚をすっぽかされた新郎、寿人との擬似的家族関係を軸にしてそれに双子のそれぞれの恋愛を絡めてます。
駿、瑛、そして寿人は同い年。
22歳年上の双子の母親であり寿人の妻となる筈だった女性は行方知れず。
なしくずしに3人での生活が始まるんですが、最初多少のぎこちなさはあるものの家事を分担し海に行ったり庭でジンギスカンを焼いたりするシーンはなんか和みます。
瑛には付き合って2年になる島津という医者がいるんですが、恋人というより愛人といった方が近い関係のまま留まってます。
駿は寿人のお人好しさに呆れつつも徐々に魅かれていく。
双子の父親が途中で再婚を報告しにやってきて、それからしばらくして行方をくらましていた母親も戻ってくる。
彼女の行動はもっと咎められるべきものだし、謝ったからいいってものじゃないけど寿人がいいって言ってるんだからいいんだろうな。
しかし結婚式のキャンセル代やその後の処理とかお詫びとかでお金は結構かかったと思うんだけどその費用はどこから出たのかなーとか思っちゃいました。
知り合いのお店貸し切り位の内輪の式にしとけば良かったのになーとか。
全体的に流れる偽善的なストーリー展開が、妙に寒くてついていけなかったです。
いいお話なんですが、私の苦手なパターンで…。
桜木知沙子さんの作品には、たまにこれがあるんですよね。
まず、1000万を持ち逃げして結婚詐欺まがいのことをした母親は、もっと断罪されるべきです。いい大人なんだから、「寂しかったから」みたいなワケワカラン理由で詐欺まがいなことをされちゃ、迷惑極まりない。また、周りがその理由を簡単に受け入れちゃうという展開は、寒い。警察につきだそうよw
てゆーか、そういうのを許してくれたり、善意で叱ってくれたりする優しい人たちに囲まれてて、なにが「寂しい」んだろ。甘えすぎじゃないかと。
察しの良すぎる友人というのも、いきすぎててイヤミくさいというか。
人間関係にトラウマを抱えた人たちのお話なのに、友人とか家族などに優しい脇役をたくさん登場させすぎると、一気に嘘臭く感じてしまう。
おいおい、じゅうぶん恵まれてるやん、なにが不満やねん、と。