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goumandakedo kawaii anata
1冊丸ごと表題作です。
恵流(受け)の目線で進んでいきます。
恵流は、桐原コーポレーションからの仕事の打ち切りが原因で勤めていた会社が倒産し、派遣会社で働くことになります。その桐原コーポレーションの社長・桐原(攻め)を秘密裏にスパイして欲しいと依頼され、恵流は専任秘書として勤めることになりますが、桐原のあまりの傍若無人ぶりを目の当たりにして…という話です。
タイトルの「傲慢だけど可愛いあなた」は桐原のことです。ただ、恵流が桐原を本当に「可愛い」と思えるようになるのは、一度桐原から去ってからになるのでかなり終盤です。
全体の4分の1にも満たない61ページ目で二人はキスをしますが、甘いというより切ない展開が多いです。あと両思いになってからエッチ場面はありません。残念!
表紙カバーの折り返しに表紙イラストがあって、恵流がその状況説明をしたコメントと、それに対する桐原の意見が書かれてちょっと笑いました。
傲慢だけど不器用で寂しい攻め、母性愛(?)あふれる受け、社会人カップル、仕事のできる男前が、自分だけに甘えるというのがお好きな方にお勧めします。
人にも自分にも厳しい攻。その攻に冷たく切り捨てられた身内が、攻の弱みをにぎるために受を秘書として送り込むところから話がはじまる。
攻の性格がとにかく飛び抜けていた。無駄なことは嫌いで、説明を聞くことすら無駄な時間だと言ってはばからないキャラクターがおもしろい。
で、そんな傲慢なことを言って、ここで言い返してやれなんて思った通りのことを受がやってくれて、すかっとする(笑)
最近にありがちなスーパーマンのようにデキた攻でなく、どちらかというと欠点だらけの攻。
その攻が、母親のようにおおらかな(笑)受に叱り飛ばされ、おずおずと手を伸ばしてくるシーンはかわいかった。
家庭環境のせいで愛を知らない攻だから、受にそばにいて欲しくてやることが微妙に的を外していて笑わせる。そんな攻がやっぱりかわいい(笑)
ただ、後半受が上位に立って攻をお説教するようなムードが強い印象を受けたのは残念。もっと社長の、母親を求めるような一途な愛に翻弄されて欲しかった(笑)
勤めていた会社が倒産して、職を探すうちにとある会社にスパイとして入社。社長の秘密を握るべく秘書となる。
しかし持ち前のほっとけない精神から熱の出た社長を看病して……。
言っちゃあなんだけど、ベタな展開。
子どものようにわがままな社長に強気に世話を焼く。
普通、傲慢社長になんてそこまで世話焼きませんよ。
しかもお互い初めて同士(男性がですよ)だっつに結構好き放題やらかします、この攻は。
攻は愛し方がわからなくて物を与える事で受をつなぎとめようとするし。
受もスパイをしているがゆえに(ほとんどなんにも情報流さないけど)素直になれない部分があるし。
ラスト近くで自分の傍を去った受の次の勤め先まで押しかける攻。
きっと居場所を知ったとたんに、いてもたってもいられなくなったんでしょうね。
「出かけてくる」だけでエライところまで押しかける攻が可愛いと思いました。
彼らのその後を知りたかったなぁ。おそらくまた受は専属秘書になってきちんと攻をしつけて行く事でしょう。
今回、桜城先生のイラストはおとなしめでした。セクシーなのはそんなになかったなぁ。ちょっとがっくし。
攻めの創介をとにかく殴りたくなりました(笑)
違和感は然程ないのですが、よくよく考えるととても非現実的なキャラクターです。
極端な例ですが、“子供はコウノトリが運んでくる”と信じているようなキャラが苦手な人には、もしかしたら向かないかもしれません。
創介は普通に考えてありえない行動をちょいちょいとりますから。
キーワードにもあるトラウマのせいということになっていますが、果たして本当にそれだけで一企業のやり手社長がそんな行動をとれるだろうか?そんな浅はかな人間がこんな風に社長業をこなせるだろうか?と思わず突っ込みを入れながら読んでいました。
考えたらキリのない事ですが、そういうのが苦手な方はご注意を。
とはいえ細かい事ですので、さして気にならないという方なら盛大に笑いながら読める事でしょう。
私は読んでいて何度も声を出して大笑いしました。
受けの恵流がいいところで創介を怒鳴りつけてくれるんです。
それも思わず「作者も創介にイライラしながら書いていたんじゃなかろうか」なんて邪推してしまうくらい、いいタイミングで。
本当にとても爽快です。
笑える話、楽しい話が読みたい時にとてもいいです。
クライマックスは本当に最高にすっきりしました(笑)
しかしそれだけに、最後のまとまり方が微妙に感じました。
後味が悪いわけではありませんし、きちんと収まるところに収まってはいるのですが、なんとも(´・ω・`)な気持ちになります。
「え、今更。結局そこ?」っていう。
ここも、好き嫌いの分かれるところと思います。
あと一歩、読者の予想をいい意味で裏切る展開が欲しかったかなぁ。
個人的な好みとは思いますが、正直、締め方のためだけに評価を少し迷ったくらいです。
それでも最後の最後、締めの直前まではとても楽しかったので、萌評価を選びました。
締めが良かったら確実に神評価でしたね(苦笑)
それくらい、楽しめるお話でした。