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kinjuu no keifu
周次のもとで一緒に生活をするようになった烈。
大学にも通いはじめ、弱い自分を変えようとの努力もありだいぶ成長したように思えました。
周次も烈を大事にしてはいますが、それが慕情なのか家族としての愛情なのかは最後まで分からずじまいでした。
でも、どちらであっても烈にとっては周次が傍にいることに意味があったのだと思います。
最後にとった烈の行動の良し悪しはあれど、烈がどれほど一途に周次を思い寄り添っていたかったかが伝ってきて切なかったです。
893の家に生まれ友達もできずいつも独りで寂しかった烈にとって、周次は烈の帰れる唯一の居場所だったんですね。
黒羽の息子(ゆきまさ)と烈との絡みについては、烈がゆきまさに執着した理由がいまいち分かりませんでした。
やはり周次の面影を見ていたのでしょうか。
だとしたらゆきまさは少しかわいそうかな・・・。
下巻全体の感想としては、意外な展開の連続で、「そうくるか~」と何度もうなってしまいました。
恋愛感情、家族愛、尊敬、憧れなど様々な感情で絡みあい葛藤する人間達の生き方が裏社会という舞台の上で描かれていて重いけどすごい作品でした。
読んでよかったです。
★教えてくれた姐さん、ありがとう!!
どう書けばいいのか・・・「久しぶりに読んだ、読み応えある作品」。
花郎さんの、未来の余韻を残す、耽美作。
登場人物全部に「寂しさ」がある。 烈は、言葉を違えないことで、寂しさを埋めて生きる。
「愛の賛歌」が原案の構想だと思うけど、烈の静かな信念が壮絶で、心に刺さりました。
暫く、読後ショックから立ち直れない。電子版読了後、紙版中古を購入。永久保存版にするつもり。
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冒頭は、エディットピアフの「愛の賛歌」 Hymne à L'amour
実は、愛の賛歌は「不倫愛を終える決意」の別れ歌。
作曲はマルグリット・モノー、 作詞はエディット・ピアフ、
・・・相愛の恋人には家庭がある。
ピアフが不倫に終止符を打つ決意を書いた歌には、危険な歌詞を含んでいる。
よくある翻訳偽歌詞ではなく、ピアフの原語版。花郎さんが引用したのも、それ。
「盗むことも 故郷も友達も捨ててみせる あなたがそれを望むなら」
「もしも運命が引き裂いても・・・ 私も一緒に死ぬから」
・・・作品に「恋人の死後に書いた曲」とあるけど、違う。
実際は、9月にピアフはこの曲を初演。10月に、恋人は飛行機事故で死亡。
ピアフが別離を決意するまでもなく、死の別離が待っていた。
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「愛の賛歌」は「烈のその後を暗示」する・・と分かるので、読み始めからテンション下がる。
周が殺害され、その仇を討った烈は、服役。
出所後、烈は組長代理を請われ、組の体制を整えていく。
烈は、東京で暴れる周の息子、ユキの噂を知る。
跡目を周の息子に譲りたい。・・ 家族から周を奪った負い目が烈にはある。
身を捨てて「愛の賛歌」の『危険な歌詞』をなぞるように生き進む烈。
「水に溺れる仔犬」だとユキは烈を喩える。
ユキは烈に「龍」を観せて、烈の為に「跡目継承の承諾」を告げる。
ユキは、烈の「龍」になりたかった。
・・でも烈は「蝋梅の約束」を反古できない。 烈は呟く、「周さん・・・椿の花が・・」
「愛の賛歌」の絵の裏に、烈が置いていたものを、鵙目がユキに見せる。
ユキは、烈の義妹との結婚を宣言・・血は継承される。
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★関連本に「黒羽と鵙目」 天狗会の鵙目隆之x黒羽組の組長・黒羽斉彬
・・が有るけれど、登場人物は別、9巻ある長編。
★花郎さんのウイキ⇒ https://bit.ly/3qyn2RI
★紙版は、挿絵無しであとがきがあった。
「寂しさと孤独は違う。暴力を嫌悪するので暴力を書く」、「やくざを美化するつもりはない」、参考図書はは「やくざという生き方Ⅰ-Ⅱ」とあった。
極道の組長のひとり息子として生まれながらも
闘争心がなくゲイとして育ってしまった烈。
父親の死後、抗争に巻き込まれて堕ちていくお話。
極道の世界の中で烈がゲイであることをマイナスとして
書かれているんですよね。
ちっとも報われない・・・。
憧れ、愛し続けた黒羽に抱いてもらえるようになっても烈は
どこかかわいそうに見えた。
最後まで黒羽の気持ちは、はっきり見えなくて
読んでいて悲しかったです。
大人になれるかなと、自分の将来に不安を抱いていた17歳の烈は
少し歳をとり大人に見えたけど、ひな鳥のままだったような気もします。
小さい嘴と鍵爪を持って必死に極道の世界を飛んでいたけど
禽獣の巣の中ではあまりにも非力で、心までも弱かった。
上下巻読んでも、誰も満たされることのないお話でした。
あとがきの花郎さんの言葉にもありましたが
極道を正当化することなく、シビアに極道モノでした。
孤独の連鎖で極道はつながっているのではないでしょうか・・・