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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
攻めの誠一と受けの啓介は高校生の頃に一時だけ、、、お互いを必要で好きだった。
しかし、大人になって誠一は遊び人となり、10年経ったある日に再会することになる。啓介は、ずっと誠一のことを思い続けていたが、誠一の都合のいい相手に見切りをつけて去っていく。
誠一は失って初めて啓介の大事さを知ることになる。
今度は誠一が待つ番、と誠一は考えていたところに啓介が離婚したことを知って迎えにいくが、啓介は失う怖さをいつも抱えていて。。。
啓介は静かに思い、誠一は熱く思う。二人が一緒にいるには色んな試練を越えるんですが、これらがなかったらずっと一緒にいるってことは出来なかったのかもなって思ったりします。貴之の存在も、それがあったから、最後の啓介の思い切りがついたんじゃ無いかなって。
新装版を読んだので、柊と貴之のほんのりハッピーへ向かう兆しも読めたのは良かったです。そして50歳を越えても啓介と誠一が一緒にちゃんと暮らしてるんだなとわかったので、ホッとしました。
高校時代のほんの数週間の逢瀬が彼らの回り道したけど幸せに繋がってるって言うのは奇跡みたいなことなんだろうなぁ。そして木原音瀬さんの本でこんなに幸せ臭がするのは初めて読んだかも(笑)
この本が電子で出ないのは柊が中二の貴之を展開ではってところが無理なのかもなって思いました。でも、これを単純に16歳とかにしてしまうと、お話が変わってしまいそうで、そう言う修正も作者は好まなかったのかなと思ったりしました。
新潮社や講談社から出された木原さんの本の、著作紹介では「コゴロシムラ」「箱の中」は勿論、この作品名を何度か目にしました。
神BL作品数多の中、この作品は2000年旧作の新装版で2008年発行、ちるちるさんの購入ボタンはamaz0n中古のみ。わざわざどうしてと思っていました。
読んだ後「分かるわ……(上から目線みたいな言い方ですみません)頭抱」
最近は糖分補給目的でBL小説を読んでいたので、複雑な甘辛に酔いしれました。
木原さんの作品は思い切りのいい展開がポンポンあるので、吃驚!まだ◯ページしか進んでないのに!とお話と本の厚みに歓喜しながら読むので生きている実感があります。
何気ないようなとっさの言葉や、相手を酷く扱う行為でも、相変わらず納得させスルスル読ませる文章で、腹の底に溜まっていくような充実感がありました。情景描写を読むのが苦手で飛ばす事もあるのですが、この作品では空気まで見落としたくなくて夢中で読みました。古い宿の布団が干してある光景や、人が歩く振動で揺れるガラスや床の軋みまで聴こえてきそうです。
関係が形勢逆転するお話大好きです。
『NOW HERE』でも、遊んでいるつもりがドップリ夢中になってしまったお話でしたが、こちらの方が多幸感増し増しです。
外見ばかりを気にする誠一、ダサくて何をしても怒らない包容力ある啓介。
夢中になる誠一、恋が冷めるのを待つ啓介。
外見の優越感の持ち方や、金銭面のバランスも相まって本当に面白い。
去られてやっと啓介が必要だと思い知った誠一が、じっと見守るだけに徹したり無理してマンション買ったり、仕事からすぐ帰ってきたり指輪買ったりと、年月と熱量をフルスロットルで必死に落としにかかる様は清々しくて甘く、「攻めざまぁ」なんて言う暇を(少ししか)与えません。
ベッドシーンが綿密に書かれているわけではないけれど、た〜〜いせつにして執着している様は最高でした。色白のホテルマンが体中キスマークだらけって最高だ。
幸せは長く続かないと信じている啓介、この気持ちは作品でも現実世界でもありふれている感情ですが、「いーから飛び込んじまえよー」と横槍を入れたいと思わずにしっかり共感させる文章でした。自分の気持ちを伝えてオーバードライブした啓介はこの世の天国を手にしたでしょう。
その代償は、きっちり描かれます。
一気に「しゅみじゃない」まで急降下した、二人が子供に見せる行為、そこから(その前からだけど)苦しむ息子貴之が愛を求めて彷徨う様は本当に可哀想でした。書き下ろしは、貴之が社会人になったお話。
読み初めた時は「書き下ろしも誠一と啓介の甘いお話が良かった〜〜」と思っていたのに、単独作品一つ分の世界観と、ハッピーエンディングだけで済まさない結末はとても大切に思えました。
息子の自分よりも恋人を大切にする父親、居場所のなさや世間と愛情の無知さ、最後の気づき。
自分の気持ちなのに間違えたり分からなかったり、認めるのが怖いと思っても、認めるからこそどの様にでも踏み出せる。
応援もときめきも要らないBL小説を久しぶりに読みました。
また、私は『期限切れの初恋』に泣くほど共感する拗れ具合なのですが、あとがきの「思うだけの恋とはどういうものだろう」からこのお話が始まったと知ると、また見方が変わるなぁと思いました。その後に「自分に向き合えない分、自己満足で逃げ」とバッサリ書かれても、落ち込まない(メンタル弱いので)のは、啓介の心情が丁寧に描かれてあったからだと思います。
この作品、電子書籍無いから読まない人がいると思うと、宗教の勧誘より必死に説得しそうです。現状中古でも、未読の方がいましたら是非とも読んで欲しいです。こちら神です。
実の息子でさえも…。
今回もとても惹きこまれた作品でした。
再会してからの受けの啓介のキャラが大好物だったんですよね。
自分が抱く好きという気持ちをその相手に都合よく使われているところ。
最初は無償で無限な包容力持ちだと思っていたのですが、違ったんですよね。
ーーー好き。
ただ好きだからという一心で攻めの誠一との関係を続けていたんです。
(本命と言われたこともないけれど)浮気されていようが手酷く抱かれようが、ただ好きというその気持ちだけで。
誠一に使い勝手の良いセフレと思われた状態で。
そんな酷い誠一ですが啓介の存在の大きさに気付き真に惹かれていきます。
完全両想いでいいじゃん!と思っても木原先生です、もちろんそうはいきません(笑)
幸せになっても、その幸せに必ず終わりがくると啓介は怖くて怖くてたまらないんですよね。
そこには学生時代の誠一の約束破りの根も絡んでいて…。
互いに幸せなはずなのに幸せになりきれていない…。
心の乱れの表現のうまいこと!
そして欲しくて欲しくてたまらないからこそ離れてしまう…
なんでそうしちゃうのという気持ちと本気で恋をするとこういう形もあるのかな…と分かりそうな気持ちとでとにかく苦しい。
相手の気持ちを信じて愛をもらい続けることにも勇気がいるんだろうな…と漠然と思いました。
しかし吹っ切れてからの啓介は強かった…!
実の息子ではなく同性の恋人、誠一を不動の一番に掲げた。
そこまでの苦悩や変化をしっかり書き込んでくれたからこそその凄まじさにとても驚きました。
息子視点はしんどかったですね。
血の繋がった子どもの自分が二番手であることを身をもって知ってしまってるんですよね。
この父親のせいでこう育ってしまった…と思うと居た堪れなさもありましたが、一番は常に誠一だという深い愛に惚れ惚れしてしまうのも事実でして…(笑)
彼が少しでも寂しさを消し幸せになってくれたらと願いたくなりました。
決して真っ暗ではない終わり方がスーッと心に入り込みました。
従兄弟・誠一との恋愛で変わっていく啓介に強烈な印象を覚えました。
高校生のある夏休み、従兄弟の誠一から仕掛けられ、体を重ねた啓介。誠一の「迎えに来る」という約束を信じて待ちますが、忘れ去られ、恋愛の儚さを知ります。
そして10年後、啓介は上京し、誠一と再会。約束を反故にされた過去をおくびにも出さず、誠一に求められるままに体も金も優しく与え続け、ある日突然田舎に戻ってしまいます。追いかけてきた誠一に、結婚して旅館を継ぐ前に誠一に会いたくてたまらなくなったのだと、上京の本当の理由を明かします。そして、自分も幸せになるし、誠一にも幸せになってほしいと。「さようなら」と手を振る啓介は清々しいほどきっぱりしていて、自分の気持ちに気づくのが遅すぎて悔やむ誠一とは対照的です。
ここで話が終わっていたなら、啓介の見返りを求めない愛情に驚嘆し、こんな愛の形もありかも…、と思ったかもしれません。
しかしその後の話で、啓介が変貌していくのが、この作品の面白いところだと思います。
啓介の妻は好きな人が出来たと子どもを連れて出て行き、啓介は穏やかに守ってきた家族の終わりに虚しさと孤独を深めます。そして迎えにきた誠一と暮らし始めますが、与える人から受け身なだけの人に変わってしまっていました。気持ちを返してこない啓介に苛立った誠一がぶつかってきて、啓介はやっと気持ちを解放します。「ずっと、傍にいさせてほしい」と。愛されることを素直に喜び、自分から誠一を求めるようになります。
さらに啓介が変わるきっかけとなる事件が起きます。
別れた妻が交通事故で死に、残された自分の息子・貴之を引き取ることになったとき、啓介は父親であることを選び、黙って誠一の元を去ります。本心では子どもより恋愛を優先したい自分が許せなくてとった行動でしたが、その決心は、追いかけてきた誠一に抱かれて砕け散ります。「飽きたら、殺して」
人の道を放棄し恋愛の深みに身を投げた者がいきつく果てを見たような気がしました。見返りを求めない優しい啓介は、もはや影も形もなく。啓介の変貌ぶりに、ただ圧倒されました。啓介にとって誠一がそれほどまでも好きな男だったということなのでしょうね。そうとしか考えられない…。
啓介が大人になった自分の息子・貴之に言う言葉に、自分と誠一の恋愛関係についての複雑な思いを見た気がしました。「相手の気持ちも自分の気持ちもわからない子供に、そういうことは早すぎたよ。」貴之が柊と体の関係を始めたのは中学生で、啓介と誠一は高校生でしたが、相手の気持ちを分かっていなかったのは同じこと。体をつなげることで残る想いはとても大きいから、と啓介が言っているように感じました。
貴之と柊の行く末は少しだけ気になりますが、誠一と啓介の恋愛は行き着くところまで行っているので、彼らのその後は知らなくても十分という気がします。
恋の重さが胸に残る作品でした。それしか言いようがありません。
啓介はいったい誠一のどこがいいだろう…と思いました(汗)。見栄っ張りで、わがままで、優しくもないし、機嫌が悪かったら暴力も振るったりするし…とにかくこの攻めは最悪で最低な人間でした。正直読みながら「タイトル通りの終わりが欲しかった」と思いました。だから前半読み終えてめちゃくちゃすっきりした!(笑)
でも後半読んでるとやっぱりちょっとモヤモヤするというか…。妻が急に離婚すると切り出すのが少し不自然なのでは…?と思いました。誠一は「10年も離婚しなかったらお前を奪う」って言ったけど、正直奪略バージョンが読みたかったです(笑)。
最後の誠一の「怒っていい」という言葉でなんとなく「愛すること」を思い出した…。未来は不確定であっても、今の2人はこの関係を取り繕うために自分を変える努力をしていますから、これもこれで良い結末ではないかと思いました。この先2人はやはり別れてしまうかもしれないのですが、だからって簡単に「お別れ=バドエン」っていうのは違うような気がします。
まぁ本当はBLは皆ファンタジーだから、厳密にいうと現実味のある木原先生の作品はBLじゃないかもしれません。でもこういう現実味こそ木原先生作品の醍醐味だと思います。本当に…癖になります(笑)。
色々話が逸れてしまって…とにかく良い作品なので、未読の方はぜひ〜。
評価にはすごく悩みましたが、やっぱり神にします。
本書は作品のタイトルに「さようなら」とあったため、バッドエンドか?! でも仮にそうだとしても木原先生だったら素晴らしい余韻を楽しませてくれるに違いない、そう思い手に致しました。
目次
①さようなら、と君は手を振った(誠一(攻)視点)
②僕がどんなに君を好きか、君は知らない(啓介(受)視点)
③空を見上げて、両手広げて(貴之視点→柊視点)
④空を見上げて、両手広げて2(貴之視点)
実は…コミカライズされた深井結己先生の方に①のレビューを書かせて頂きました。あまりの長文に、レビュー不可能となってしまったためです。…今度から気を付けます。興奮しちゃって… ヾ(_ _。)
①と②が誠一(攻)と啓介(受)のお話。
③と④が貴之と柊のお話。
特筆すべきは、貴之が啓介の息子であり、柊が啓介の元同僚ということ。
②のあらすじ
5年後、啓介(受)は妻の要望を受け離婚。誠一(攻)と結ばれます。順風満帆にいくかと思った矢先、元妻が事故死、息子を引き取ることに。
誠一(攻)は思いやりのある理想の恋人となっていました。ただし啓介(受)は「誠一(攻)の優しさ」や「ずっと続く幸せ」を信用出来ません。うっかり信じて立ち直れなくなるのが怖いから。反対に改心した誠一(攻)は信用して貰えるよう、あらゆる優しさで迫ります。その姿が実に誠実で良かったです。
そして迎えるクライマックス。別れた妻が事故死。息子を引き取ることに。ここからラストに至るまでが怒涛の展開。子供が絡むので、好き嫌いが分かれるかもしれません。息子はまだ幼稚園児。その正に目の前で、誠一(攻)と啓介(受)の愛の行為は繰り広げられました。
最初は「えぇ!」と驚き、さすがに私も眉をひそめました。大丈夫なのかしら?子供はトラウマになったりしないのだろうか?といった杞憂が頭の隅を過りました。
でもそのうち恋に溺れる二人が凄く羨ましく、私もこんな恋がしたいと思うようになりました。理性も常識も吹っ飛んでしまうような、周りに誰がいようとお構いなしの、残酷なくらい激しい一生に一度の死に物狂いの恋。この小説のラストはこれで良い、いいえ、これが良い!と思ってしまいました。
愛する者同士が、お互いの肌に触れて、満足と信頼を深め合うのはとても自然な事。きっと誠一(攻)の中では、自分たちは恥じ入ることなどしていないのだとの思いがあったのでしょう。それに息子はまだ事の次第が分からない小さな子。
「コブつきでも構わないんだ」と言い放った誠一(攻)の「ここにいて、隅っこでおとなしくしてろ」の言葉は、突き詰めて考えると、子供を仲間外れや邪魔者扱いしたくない、と言っている風にも聞こえ、誠一(攻)なりの精一杯の息子への慈愛だったのではないか、そんな風にも感じられるのです…。二人の想いが実を結んだ文句なしのハピエン。堪能致しました。
③のあらすじ
幼稚園児だった貴之が中学生として登場。柊の部屋で寝泊まりは日常茶飯事。何事もなかったある日、酔っぱらった柊に手籠めにされ…。貴之の実らない初恋のお話。
素晴らしい人選だなと嬉しくなりました。柊のことは私も気になっておりました。一言で言えばクズ男、なんですよねー。一人の人と永続的な関係を結ぶ気が全く無く、相手構わずとっかえひっかえなのですから。でもそんな彼が、啓介に対しては懐いていて、そこが可愛くて、何としても幸せになって欲しいと思っておりました。でも、まさか啓介の息子・貴之と、とは ('-'*)
貴之はまだ中学生。思春期独特の、鬱々とした気分や、もやもやとした反発心、現実からの逃避など、何となく暗く、病みの雰囲気が作品全体を覆っているように感じました。やはり父親と従兄弟違が抱き合う、正にその瞬間を目撃したためトラウマとなって残り、情緒不安定になってしまったのでしょうか。
貴之には両親の離婚もショックだったことでしょう。その後、母親と新しく父親となる男性とも交通事故により死別。同乗していた貴之は無事でしたが、新しい環境に馴染む暇もなく、父親に引き取られました。
幼心に負った傷は、想像以上に深かったことと思います。それでも良い子に育ちましたね。少なくとも同じ寂しがり屋と言っても、貴之には柊と違い、「愛し合うことは悪いことじゃない」「好きなのは悪いことじゃない」という言葉から察することが出来るように、愛する心を持っていました。
柊は、クズ男ですが、まったくもって救いのないクズ男ではありません。その証拠にちゃんと職についています。ただし酔っぱらって意識がなかったとは言え、中学生に手を出すのは頂けません ヾ(-_-;)
ラストは、「確実に終わりは来るんだろう」などと、暗雲漂う未来を暗示するあやふやな終わり方。
旧版はここまで、だったのですね。このような終わり方って…実に悩ましい…(´_`。)グスン
④のあらすじ
貴之は22歳。7年前に消息不明の柊を、ずっと探し続け待っていました。偶然泊まった宿で再会するも、柊は貴之のことを恋人と言う目では見ておらず…。
悲しい別離があったのですね。貴之が不憫でした。とはいえ別離の原因は全て啓介のせいだと思い込んでいたなんて…。柊が誤解を解いてくれてホント良かったです。
だって、啓介は人の恋路を邪魔するような、心の狭い人間じゃないはずなので。にしても、ずっと柊を想い続けていた貴之に対し、失踪後、何人もの人と付き合っていたと平然と口にする柊。貴之の気持ちを想うと切ない…。
最後は今後の二人の成り行きを、読者の一人一人に委ねられた形で終わりました。でも、少なからず希望のある終わり方です。私はこんなラストも、とっても良いな、好きだなと思いました。感無量。
私がタイトルをつけられるならこれにしたいですね。
「飽きたら、殺して」
盛大にネタバレタイトルになっちゃいますがそのくらい好きです。
この台詞のためだけにある物語じゃないかと思いました。
この本、駄目野郎しか出てこないです。
愛すべきバカとかダメンズとかかわいいもんじゃなく、ほんとに駄目。
神評価ですがそんなに好きな物語ではありません。
でも胸にくるものがある。
他の木原作品と比べて特にシリアスな事情や出来事があるわけじゃないですが、それが逆に登場人物の異常性を際立たせてます。
愛の狂気を描いたおはなしです。
スピンオフ『空を見上げて、両手を広げて』
いやあ……かわいそうですね!
表題作の狂った二人に育てられた貴之くん。そりゃまっすぐは育たないわな、と。
二人共根は狂っててもぱっと見はマトモな生活をしてるからか、貴之くんも一応マトモに成長してます。えらい。
根はだいぶこじれて絡まってますが。
柊はセフレと遊んで怪我するし、中学生に手を出すし、ぱっと見一番おかしな奴ですが、実は唯一マトモな奴だったんじゃないかと思います。
あの後は若い貴之くんが四十路の柊を振り回して困らせて泥沼展開が予想されますが、幸せになって欲しいです。
このふたりの続編が読みたいですね。
表題作の二人は……一生狂ったままでいるのが一番幸せそうです。
死期が近づいたら心中して二人で地獄にでも落ちたらいいんじゃないかなと思いました。
こわい。
木原音瀬さんはどうしてこういう物語を書けるのだろう…?
「さようなら、と君は手を振った」
なぜこのラストで「攻めザマあ」と思えないのか…
酷く残酷な男誠一。最後に誠一を切り捨てる啓介だが、啓介の真意、それを理解する誠一の2人共が哀しくて、こんなろくでなしに恋をしている啓介が哀しくて、誠一が初めて知った絶望が哀しくて。
「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」
私はこの物語に震撼しました。
2人が別れて5年後、結婚して息子も生まれた啓介が妻から離婚を切り出される。それを知って啓介をさらう誠一。
誠一は打って変わって優しく誠実で、5年前と本当に同一人物?と思うくらい。誠一の啓介に対する熱く強い想い・執着・独占欲が延々と語られるが、対する啓介は、誠一の事は好きだけれどのめり込まないようにセーブしている。「さようなら、〜」の経緯があるから、啓介が可哀相で。
でも、この物語の怖さはこの後にきた。
別れた妻が息子を遺して事故死してしまう。息子は行き場がない。
この報らせを受けた啓介は、元妻の死を悲しいと思えず、あれほど愛していたはずの息子の存在を疎ましく思う。
若い読者さんたちは、または小さな子のいる方は、どう思った?
信じられない、そんなのヒドい、ここは書かないで欲しかった…そんな感覚でしょうか。
私は。
私はある程度わかるんですよ。別に子供が鬱陶しい時があるとか恋愛の方が大事な気分があるとか、そういうことじゃない。そうじゃなくて…
『怖い。見えないものが怖い。目を閉じた。』
この文そのものです。文字を追っていて躰が震えました。
「空を見上げて、両手広げて」「〜2」
「僕がどんなに〜」が衝撃すぎて読み進めるのが心底怖かったのですが、読んでみたら息子の貴之の話でした。
貴之は、父親が自分よりも男の恋人一番だから可哀相な子供になったと思われそうだけど、そんなんじゃないと思う。
愛されていても、自分の欲しい愛とずれてるから家よりも柊の所に入り浸る。柊だってはじめは何も与えてもくれなかったけど中2(!)の貴之を酔って襲ってしまって、貴之は多分躰に引きずられた部分もあったのでしょう、柊にのめり込んでいく。でも柊も貴之の欲しい愛とずれていた。
父親と誠一はそれなりに平穏にやってきたように見える。そして今、息子も父のように行き場のない想いに囚われている。
ひとの、親も子もどの世代も、やりきれない感情を抱えて生きていること、木原音瀬ワールドの深さ、恐ろしさ、それらを静かに見せてくれるひとつの優しさ。そんなことを感じました。
「僕がどんなに〜」は正に「神」、一冊の小説としては「萌」評価とさせていただきます。
2000年発行のノベルズの新装版です。
描き下ろし短編が追加されているのでこちらがお得!と言いたいのですが、表紙・口絵・挿し絵のイラストが新しくなっているので、深井先生がお好きな方はどちらも買い!になるのではと思います。
描き下ろし「空を見上げて、両手広げて2」はノベルスにも収録されていた作品「空を見上げて、両手広げて」の続きで、氷見の息子・貴之が主人公です。
本編の主人公二人は仲良く暮らしている描写がありほっとさせるのですが、柊×貴之は微妙なところでして。
前作では、寂しいだけで恋愛じゃないというエンドだったのですが、今作では、柊は貴之の前から姿を消し、数年後に再会します。
この、再会しての二人のやり取りがなんともいえず…一筋縄で行かない展開が、さすが木原先生ですという感じでした。これから先の二人がどうなってしまうのか…案外攻め受けが反対になって落ち着くのかも?!などと想像をかきたてる余韻あるエンドとなっています。
自分勝手で酷い攻めが出てくるのが苦手な方(表題作)、二人の関係がはっきりしなくちゃ嫌(同時収録のスピンオフ作品)という方はご注意ください。4作品とも主人公が異なる面白い作品です。
コミック版は私にとって特別って位好きな作品。
いつか原作も読んでみたいって思いつつ、なかなか読めずやっとこさ読む事が出来ました。
原作を読んで改めて思ったのは、私はロマンチストなのだなぁ〜と。
コミック版だけでは、内容はさておき美しい話だったんだなぁと。
私はコミック版のキレイな終わり方が好きで、
コミック版の結婚した後の啓介に会いに来る話も好きだったので、
今回原作を読んで、なんか現実を見た感じ。
うーん、やっぱそうなるかぁ…
1話目は、コミック版でレビューしたので2話目から書きます。
あらすじはすっ飛ばして…
そっかぁ〜離婚してしもうたか。
私、啓介大好きだったし、奥さんと子供と3人で家庭を築いて欲しかったので、
読み始めはもぅ残念で残念で。
でも起こってしまったものはしょうがないと読んでました。
誠一が迎えに来てくれたのも嬉しかったけど、
「はい、お次は」感がどうしても拭えなくて、
新生活もなんとなくで始まっていく事に、
啓介同様読んでるこっちもなんとなく状態。
でもまぁ、そりゃそうですよ。
あれだけの目に合ってたんですから。
それでもって離婚直後ですから。
それを思うと啓介が頑なになるのも解るし、
幾ら誠一が優しくしてくれても啓介の孤独感が増していくのもわかって、
せつなくて悲しくて…
なので、正直柊が出てきた時、これでやっとこさ何かが起こって、
この心のモヤモヤ感を払拭してくれる、納得出来る気持ちを起こさせてくれるんじゃないかって期待してたんですけど、
そんなに都合良く展開するわけがない。
やっとこさちょっと少し出口が見え始めたかな、やっと誠一と啓介が話が出来るようになってきた所で、
啓介の息子問題が出てくるんですよね。
ここが読んでて一番怖くなりました。
自分にこんなに残酷な気持ちがあるんだなと読んでて恐ろしく思いました。
子供が邪魔だな、なんで出てくんだよと思う気持ちが自然にわいてる自分にショックでした。
最後、誠一が迎えに来てくれたのは嬉しかったんですよ、やっと、っと思ったけれど、
でもしかーし!
あれは駄目でしょう、大人として!!
いくら愛し合ってても、離れたくない気持ちが掴められるとしてもあれは駄目でしょう。
貴之が可哀想すぎます。
なんで誠一はあそこにいろと言ったのか。
今の私には理解出来ませんでした。
そして3〜4話目は、貴之のお話。
BLってどちらかが子持ちの時、その子供は理解力が高くて、なんだかあったかい家族☆みたいなのが多いイメージが多いんですけど、
ここの親子は真反対。
啓介は誠一が風邪ひいた時は仕事を休んだけど、貴之の時は休まなかったってエピソード、読んでて可哀想でしょうがありませんでした。
日々のほんのちょっとの事ではあるけれど、受ける側はほんのちょっとの事だからこそ、言えなくて、溜め込むしかなくて…。
2人の関係が良いものになっているのは嬉しいんですけど、
そこに息子の事を考えていられない父親がいるって事に、読んでて本当悲しくなります。
啓介の事、好きなんですけどね。
なので貴之が柊にのめり込んでいくのは、読んでて、大人としても複雑でした。
柊がいて良かったとも思いつつ、でもタバコを経験させるのは駄目でしょう。
ま、自分も経験ありますけどね(子供側です!)、
でも自分の存在価値を疑いながら生きるのがこの時期にあるなんて、可哀想すぎます。
なので4話目があって良かった。
あれがなくちゃ、救われません。
最後、ハッピーエンドになるのかどうなるか解りませんが、貴之にとって過去を清算する機会が出来た事が良かった。
相手が柊なのか誰なのかは解りませんが、共に生きたいと思う相手が出来て欲しい、
そうすれば啓介との関係もまた変わるのではないかと、希望が見えた最後。
本当最後ちらっと思わせて終わりなのが、やっぱり木原さんいいな…と思いました。
モヤモヤ感は最後迄消えませんでしたけど、
読んでて本当面白かったです。
木原さんの作品、読んでて痛いものが多いんですけど、上っ面だけじゃない感じ。
綺麗にまとめようと思えばまとめられそうなのに、あえて見たくない方を選んでいく感じ。
やっぱ木原さんの作品は好きだわ。
コミック版が好きだった方は是非の1冊でした。
攻がダメ男って他の話にもあるんだけど、この攻はダメ男すぎるでしょ。啓介を都合のいい相手としか思ってないでしょ。一人の女に見せびらかす為に女装した啓介とイチャイチャしたり、付き合ってる女とうまくいってないからって啓介に暴力ふるうし、本当に最悪な攻。啓介もどんな扱いをされても笑顔で接してるから、なんかそれもイライラしてきました。しかも終わりかたもイマイチでした。
木原先生の話は、だいたいこんな感じなのかな?
でも、ダメ男でもいいから攻が受のこと好きってところを書いてほしかったです。
改めてこの本を読んで、どうにも自分が木原さんの描くダメ男が好きなようだと気付いてしまいました。
どうしようもないほどに自分勝手な男・誠一。
昔、恋をした男・啓介が東京に出てきたのをいいことに、それまで放置していたくせに都合のいいように使って。
気持ちなんて昔のようにはなくて、ただ利用しているようでしかなくて。
それでも、何も言わないのをいいことのどんどんどんどん。
どこに気持ちがあるのかわからないまま加速していくような関係はいつか破綻するだろうとこちらには思えて。
それを急に突きつけて来るところが木原作品。
ぐるりと世界が反転するような立場の逆転。
どちらが置いて行かれたのか。
ようやく本当の気持ちに気付いた頃には2人の関係性はまた別のものになっていて。
そこに誠一の入り込む隙間はないようで。
それでもそこから諦めなかった誠一は、それまでしてきたことを思えば自業自得なんだろうけども一途さが見られてよかった。
どちらかといえば誠一の方が理解しやすく、啓介の方が理解しにくい。
見返りを求めない愛情は諦めているようにさえ見えて自己完結しているようでどこか痛くもあって。
それでもお互いがお互いを必要とすることに最終的に求めあえてよかったのだとは思う。
世界が2人だけで閉じていたのならば。
そこまでの間にどれだけの紆余曲折があっても最終的に幸せを掴めたのなら「よかったね」と物語を終えることができるのだが…。
最後の子供に見せつけたシーンだけが後味を苦くしてしまう。
うっかりバレたとかではなく、がっつり見せつけたことが。
それがまた木原作品らしくもあるとは思うのですが。
ここでこの物語が閉じていたならば本当に後味の悪さだけが印象に残っていたかもしれない。
けれど、物語にはまだ続きがあって。
その後の子供・貴之の物語がある。
正直すぎる父親・啓介とその恋人・誠一を見ながら育った貴之には埋められないような孤独が宿っていて。
それを柊に甘やかしてもらうことで成長していくことになるのだが。
柊との関係は最初からちゃんとした「恋」ではなく、ただその言葉に縋っているだけの歪んだものであったのだけれど。
それに気付けたのは大人になってからのこと。
当時の貴之にはそれこそ柊だけが大切で。
自分を大切にしてくれる存在で。
啓介がもっと父親としてちゃんと接することができていればこんなことにはならなかったんだろうけども。
啓介は父親には向かない存在だったんだろうな。
柊もその曖昧な関係に浸って。
それでも、そこに何の感情もなかったわけではなく確かな感情があったのは事実。
ただ、それを大人だからと流そうとしていた部分もあったかもしれないけれど。
それでも長く続けてこれたのはやっぱりそれなりに思い入れがあったからなんだろうな。
当時の貴之には柊の存在は救いになっていたし、きっと柊にとっても穏やかな時間になっていたんだろうと思う。
2人の本当の物語はまだまだこれからで。
この先が本当の恋になるはずで。
そんな未来が感じられる幕引きでよかったです。
久々に木原先生の作品1冊丸ごと読みました。というより、BL小説を読み終えること自体久々です。
木原作品を好きになり始めた当初はまだまだ私自身の中にいろんな地雷があって、読みたくても避けていた作品がありました。「さようなら、と君は手を振った」もその中の1つ。ちるちるさんで木原さんの特集ページでこの作品の文章の1部を読んで「無理っ」って思ってからずっと避けてきました。でも、多くの作品に触れていく中で免疫もついてきて今回やっと手にすることができました。
木原作品では毎度のことのように出てくる嫌な奴。この嫌な奴・誠一が本当に嫌な奴なんです。周りの目ばかり生きているような男。昔付き合っていた従兄弟・啓介に無責任な約束を結んだ上に、再会後も啓介を弄ぶような行動ばかりとる。何度裏切られても、ひどく当たられても一途に誠一を想う啓介は本当に優しくすべてを享受してしまうんですよね。
しかしながら、表題作の続編「僕がどんなに君を好きか、君は知らない 」。啓介が誠一のもとを離れた後のお話です。
ここでのラストの啓介の描かれ方が木原さんらしいなと思いました。人間のブラックな部分きっと誰でもありますよね。どんなに心が広く優しい人間であっても…。人間のリアルさに少し身震いしました。終わり方もなんとも後味が悪いのですが、そこも木原さんらしい!2年前の私はきっと最後まっで読めなかったろうな…。
「空を見上げて、両手広げて 」は啓介の息子・貴之に視点を当てたお話です。誠一と啓介のもとで育てられた貴之。その環境の影響は大きく、少し歪んだ感情を持った子に育った貴之が、啓介の元同僚で啓介に尊敬の意を表している柊に恋をするお話です。
これがあったから、ちょっと救われた感がありました。表題作と「僕がどんなに君を好きか、君は知らない 」を読んでずーんと暗くなっていた心が少し晴らされたような気がします。
久々の木原作品はやはりパンチがありました。やっぱり木原作品好きだなと改めて感じることができた作品です♪
見栄っ張りで浮気性の誠一に憎たらしさを感じる読者って多いんでしょうが、むしろ、相手にされるがまま、全てを受け入れてしまう啓介の方が嫌だった。
いやなんですよぅ、こういう菩薩のような「受け」。
誠一のような身勝手なヤツには「理想」そのものなんでしょうが。
ところがどっこい、チャラ男の誠一は何を思ったか、今までの悪の数々を正して、啓介一筋!5年も待ってしまうという徹底ぶり。
そしてめでたく非のうちどころのない神カップルとおなりあそばすわけですが、さすが木原先生、それでとっとと幕引きするわけもなく。
こういう菩薩のような人格の持ち主はタガ外れるとロクなもんじゃないんですが、案の定、いざ誠一と相思相愛になったところで自分の子供よりも恋人が最優先という「性愛」が炸裂してしまうんですね…わかるけど、わかりたくない「大人のいやらしさ」にまみれた受けになってしまうんですね。
サイッテーな美形男と、されるがままだった美形男が「結婚」したツケに、歪んだほくそ笑みを浮かべたワタクシ。あー、性格悪いですねワタクシ。
だが、木原先生はさらに意地悪だった。
ラストは実際に読んでみると、聞きしにまさる混沌とした未来の暗示に戸惑います。
名作といっていいのかどうか、しかし、読後感は背中がムズムズするような、ゾッとするような。
愛はやはり不安定なほうがいいのかもしれません。
誠一の不真面目さはイラつく程にわかります。
鬱憤を晴らす為、寂しさを紛らわすため、啓介を抱く誠一。
何も聞かない、誠一を全て受け入れる啓介。完全に都合の良い男。
初恋なんて甘い名前でなく、啓介の誠一への想いは憧れに近かったのかもしれない。
手を伸ばしても掴めないそんな存在というか。
こんなやつ信じられなくなる啓介の気持ちも凄いわかる。
捨てられる恐怖を教えたのは誠一、5年待っても払拭出来る物ではないと思うけど。。
5年後の誠一の執着にも軽く呆れます・・少し自分勝手すぎやしないかと。
結局誠一は啓介が自分の事を根底では愛しているだろうと理解しているからこそ、こんな行動に出れるんだと思うんですよね。
なんかそれも個人的にこんな男納得いかない・・
啓介も結局は理性を失って、子供よりも誠一となってしまう。
子供に寂しく窮屈な思いをさせてまでの愛。
愛の極論と言えば聞こえはいいけれど、現実に居たら非難されまくるだろうな・・
木原ワールドとしては、痛みはありますが後味は尾を引かないレベルでした。
手本にならない恋を丁寧に描いてくれた感じですw
書き下ろしの、啓介の息子貴之と柊の話。
親子だなぁと関心する程の一途さ(笑)柊は大人だからこそ手を引いたんだろうなぁ。社会人になった貴之は是非攻めに転向して頂きたいと思う、勝手なその後の話でしたw
萌えがなかったわけではないのだが、いろいろ「ん?」「う~ん・・・」と思ってしまう部分が多かった。
特に受の行動が突飛すぎてついていけなかったってのもある。
好きになる過程、2人の関係をジックリ描いていく部分が少なかったせいもあるのかなとちょっぴり残念に思ってしまいました。
2人は従兄弟で、高校のとき好奇心から身体を重ねてしまった。
受は、抵抗もしなかった。それが思いのほか心地良く、女に振られてやっきになっていた攻は、優しくされてほだされて心地良くなっていった。
けれどやっぱそこを離れれば、女ともよりを戻し、一時の快楽など忘れてしまう。「迎えにいく」という約束も結局果たされないまま。
そこから10年。再び2人は再会するのだが・・?!
見栄えばっかり気にして、女でも男でも性的にこだわりはない。
10年前のわだかまりで、避けようとしていたものの、なんてことないと知ると、受の身体をもとめて攻は抱く。
もちろん女は女で尻をおいかけ~な優柔不断。けれど受はそれでも・・
そして後半の逆転劇というところなのでありますが・・・
優柔不断だった攻が、受がいなくなってしまったことで寂しくなり、本当の気持ちにきづく。しかし受は結婚をきめ・・・そしてまた再びいっしょに暮らし始めてからの~な展開なわけですが、これがどーにも。
後半、受が好きで好きでしかたなくて、優しくしたくて独占したくて。
そんな攻は確かにかわいい。“一方的に愛しつづける愛”はいいのだけれど、それがどうにも無機質に感じてしまった。言葉だけじゃ萌えない。
10年も待っていたくせに、不意に消えて結婚し、妻を愛していると素直にいえてしまう受もなんなんじゃろと。どうせなら葛藤の部分がもっと見たかった。攻も、前半が前半なだけに、一途に待ち続け、これでもかというほど愛しちゃうのはいいのだが、それまでの間の気持ちの変化や葛藤が描かれていないのでどーにも感情移入することが出来ませんでした。
最後に、子供にたいする愛情~。
これがやけに子供に冷たいというか、むごいというか。
暴力ふるうとか、虐待的なものではないにしろ、病的なまでにお互いを愛しすぎるあまり放置される子供の図が浮かんでしまった。
どこか壊れている・・・とも取れる雰囲気を感じてしまう。
ん~・・・木原さんのだからと期待していたのだけれど私にはまだ難しかったかな~な作品でした。
最後は、2人の息子である貴之と、柊の話。
2人の話のときに、猫っぽいな~と思っていた柊がオッサンになっていて、攻めているというのにちょっと不思議な気持ちになりました。
貴之にたたかれておびえるシーン。これは過去のトラウマ~含めでちょっと面白かった。普段は、スケコマシなオヤジなんだけど、そういうところはちょっとかわいいのかなと思う。
リバーシブルもありなカップルかなwww
どっちかっていうと、素を開放してかわいいオヤジと化した柊を・・はぁはぁ
こっちの息子カップルは続編とかあったら
是非読んでみたいかなと、思いました。
深井さんのコミックスを読んで続きが気になり、小説版を手に取りました。
きれいにまとまったラストでしたが、ハッピーエンドの続編があると言われれば、そりゃあ読みたくなるものでしょう。
私には木原さんは痛すぎてずっと避けてきたのに、いつのまにか嗜好が変わっていたようで、全然オッケーでした。
性格に難ありな登場人物に感情移入できなかった以前が嘘のように、今は登場人物の気持ちにぐいぐい引き込まれます。
木原さんがこんなにうまい作家だったなんて気付かなかった。
人生損していました。
主人公のご都合よく相手の気持ちが流れないのがいいですね。
ひとりひとりにちゃんと感情がある。
立場が違えば見方も変わって、ひたすら優しくて一途に尽くす啓介の方が実は自分勝手な男なのでは・・・?
「空を見上げて、両手広げて 」の方がちょっと痛かったですね。
コミックス版であんなに可愛かった貴之くんが・・・。
「こどもの瞳」の城太郎に比べ、不憫です。
もう少し先まで書いて欲しかったです。
コミックスを読んだので、過去にブログに書いておいた感想を転載します。
かたや「これからは好きにしていい」と言われると、好きな人のそばにいたいと思い、好きな人が望むことなら何でもさせてやりたいと、DVまがいのことまで許すくらいなのに、相手の気持ちを確かめようとせず、自己完結。
かたや極端なまでに外見外聞にこだわり、居心地のいい場所はキープしておくくせに外にばかり目が向く鼻持ちならない嫌な奴。
割れ鍋に綴じ蓋な2人が、赤い糸で結ばれているのは、必然だったんでしょうね。勝手にやって頂戴。
それにしても啓介はよっぽど誠一のことが好きなんですね。
誠一も啓介を好きなことに気付いてからは一途だし。
誠一が改心してからのいいひとぶりは、さすが木原節。
それよりも啓介の、息子すら省みないほれ込みっぷりに、やや引いてしまいそうなくらいです。
貴之、かわいそうな子。
よく横道にそれずに育ったもんだ。
柊くんも「氷見被害者」ですよね。
あとがきでハッピーにもアンハッピーにも展開できるような終わり方にしたとありましたが、是非、ハッピーエンドにしてやりたい。そうじゃないとかわいそ過ぎるよ2人が。
ergoの深井結己さんのコミックス化を読んで、mmmmm既読感があるんだけど、間違いなく読んだ自信がなかったんですが、やっぱり読んでたと思う。
2000年じゃ8年も前じゃん。記憶も薄れますよ。
それともう一つ!今の世にあわせて考える必要はないと思いますが、彼らが50代になった最後のあたりのお話は「未来」の設定ですかね?そうじゃないとつじつまが合わなくなる時代背景があるんですが…細かすぎます?
この本で終わってしまうと誠一の執着愛がまだ伝わりませんが、ノベルズの後半もコミックス化してくれると二人の愛のかたちがはっきり分ると思います。
それに期待したい。
コミックスの 『夏の果実』 の部分だけでは物足りません。
あくまでも優しく包み込む愛で受け止めていた啓介がすっぱりと誠一を切る場面は涙なくしては読めませんでした。
木原さんのスゴイところは、番外編でもきちんとした「お話」にしてくるところだ。
しかもそれが、本編以上に気になる作品となってたりする。
最近レビューした『黄色いダイヤモンド』もそんな感じだったんですが、この作品もそうでした。
痴話喧嘩的続編やらひたすらエロエロしてる続編が多いBL番外編のなか、これは驚異的なことだと思います。そういうところも好きです。
表題作『さようなら、と君は手を振った』とその続編の『僕がどんなに君を好きか、君は知らない』については、旧版ですでにレビューしてるので、新装版のこちらでは『空を見上げて、両手広げて』『空を見上げて、両手広げて2』の二作について書きます。
好きなんですよ、この続編。
表題作の受けの息子を主役にしたお話です。
彼は歪んだ子供だ。
表題作カップルが幸せになったのはいいけど、子供は置き去り。
ふたりとも互いへの愛にかまけてるせいで、子供を健全に育てることができなかったのだ。
愛を与えられなかったわけじゃないし、実の父親はめちゃくちゃ優しい人なんだけど、子育てするには最悪の環境で主人公を育てていた。
連夜聞こえてくる、父親のあえぎ声。
子供に「一番好きなのは誰?」と聞かれて、「おまえが一番だよ」と嘘でも言ってやれない父親。
こういう設定にしちゃうのも珍しいですよね。
たいがいのBLでは、「愛し合ってる二人なら、たとえ男同士でも大丈夫。子供は二人から溺愛され、すくすく育つ」みたいな落ちにする場合が多いのに、木原さんはそうしない。
歪んだ関係の二人は、イビツな子供を作り出してしまった。
寂しさから彼は、父親と同じ職場にいる年上の男にハマってゆきます。
そしてそれは、彼の心を長く縛りつける楔となるのだ。
まだまだ続きがあってもおかしくない、非常に木原さんらしいラストでした。
攻めの誠一はその名前に似ず、チャラチャラした男です。自分に憧れる啓介を遊び半分で抱いて、都合のいいように弄ぶ。
啓介は一言も文句を言わず、怒りもせず、抱かれるのを拒むこともせず、いわゆるひとつの「都合のいい女」状態。誠一が「コイツ俺に夢中だな」とタカをくくるのも当然です。
ところが!誠一が啓介の金で女と旅行に行っている間に、啓介は実家に黙って帰ってしまうのです。
「便利なセックスフレンドがいなくなっただけ」と強がっていた誠一ですが、だんだん寂しくなってきて・・・あの優しい手が恋しい、もちろん自分のことは今でも好きで堪らないはずだ・・・真剣に謝れば、絶対に許してくれるはずだ・・・
どこまでも身勝手で自分本位な考えで、迎えに行った誠一に、「見合いして結婚する」と静かに告げる啓介。
さすがの誠一も振られてやっと気付きます。啓介がただひたすらに自分のことが好きだったことを。それは自分が啓介をどう思おうが、一緒にいようがいなかろうが、変わらないものだということを。
そんな風に自分を愛してくれる人は、もう現れないかもしれない。
でも今度は、自分がそんな風に、啓介を愛そうと、誠一は思うのです。そして実行する。立場逆転です。
結婚してしまった啓介を見返りなしに愛し続ける誠一。離婚した啓介を手に入れてからは、急に優しくなって、自分との生活を何よりも大事にする誠一に、啓介は抗えず、でも、どうしても不安が頭から離れない。
いつか誠一は前のように自分に飽きるんじゃないか、他の女が良くなるんじゃないか。
ずっとこのままではいられないんじゃないか・・・・
思うだけの愛の方が楽なんですね。
思うだけ、と決めていれば期待もしないから不安もない。甘美な自分の中だけの愛の殿堂に幸せに安住していることができます。
もちろん誠一はもうそれでは満足できない。積極的に愛してほしい。嫉妬もせず、ただ許されているだけでは逆に不安になります。
でもね、M君に積極的に求める愛をいきなり要求してはいけません!そんなことすると、だんだん心に負担がかかります。
やっぱり、「愛に積極的で優しいのはS」というヤマシタトモコ先生の名言は正しいと、羊は思います。Mのが薄情で人に心を渡さないんだよなぁ。
ご主人さまには従順なくせに、対等な愛には怯えるのです。受け入れるだけじゃなくて、差し出さないといけないから。
結局啓介は、追いかけてきた誠一を拒みきれず、その後を共に生きるわけですが、誠一を信じてそうするわけではない。どこまでも怖い。不安定な二人の関係を自分も責任を持って引き受けることが。ズルイ男です。
前半はただ思うだけの愛で誠一を包んだ、甘くて優しい啓介が、後半は愛されることに向かいあえずに誠一を傷つけ、振り回す。
木原さん会心の、愛の逆転劇です。神棚入り。
従兄弟同士のお話。
啓介が田舎から上京してくるところから物語は始まります。
誠一は啓介とは同い年で従兄弟の関係。しかし十年前興味本位で二人は体の関係を持ってしまい、誠一が田舎を離れるとき啓介に「高校を卒業したら迎えにくるから」と言い残しそれっきりだった。
誠一は母親に言われ無理矢理啓介を迎えに行くのですが、啓介の格好がとてもダサく、なにより容姿を気にする誠一はうんざり。
しかしまた啓介に会って、誠一はまた啓介を抱いてしまう。
まず思ったのが誠一が最低な男だなということです。
自分は遊び歩いてるくせに金に困ると啓介の家に行き、気にくわないことがあると啓介を乱暴に抱き、啓介を抱いていても彼女から電話があるとそっちを優先し。
ほんと最っ低!だと思いましたね(笑)
なのに啓介は文句1つ言わずただ抱かれて、誠一に優しくて。
『さようなら、と君は手を振った』だけでは2人は本当にこのタイトル通りな関係のままですが、『僕がどんなに君を好きか、君は知らない』で2人は一緒になります。
誠一の変化にちょっとびっくりしました。啓介が本当に好きで好きで自分の側に置いておかないと落ち着かないという感じでした。
でも啓介はいつ自分が飽きられるか、いつ捨てられるかということばかり考えていて、なるべく誠一にのめり込まないようにしていました。…捨てられたときのショックを大きくしないため。
でも啓介が悲観的になるのもちょっとわかる気がします。昔の誠一があんなんでしたからね;
それでも「永遠に続く幸せなんてない」とか「いつ捨てられても心の準備はできている」と思う啓介がすごく切なかった。
最後は2人結ばれたはずなのにものすごく切なかったです。
さようなら~は誠一視点、僕がどんなに~は啓介視点だったと思います。
『空を見上げて、両手広げて』は啓介と同じ職場で啓介とよく話をしていたゲイの柊と…これは言っちゃうとネタバレになってしまいそうなんで控えます;
でも柊とあの子がくっつくなんてちょっとびっくり。
色々な愛のカタチがあることを思い知らされた作品でした。
【カップリング】従兄弟同士
派手な身なりで格好ばかりの誠一と
素朴で物静かな啓介は従兄弟同士。
若気の至りで啓介を抱いてしまった夏・・・
「迎えに来る」と約束して別れたものの
夏が過ぎ自分の環境が、変わると啓介を忘れてしまった誠一。
時は過ぎ、お互い社会人になった二人は再会する。
若気の至りと、約束を破ってしまった後ろめたさを抱えて再会したのに
啓介は、誠一を責めることもなじることもせず、何事もなかったように振舞う。
そしてまたそんな啓介の居心地のよいぬくもりを誠一は貪るようになる・・・。
と、いうお話。
“痛み”や“苦しみ”の先につかむ“幸せ”そんな感じの話です。
この“幸せ”っていうのも曲者で、誰もがうらやむ“幸せ”っていうんじゃなく
当人同士しかわかりあえない“幸せ”って感じなんだよね。
最後ハッピーエンドになるの???と、思いつつ読んだ。
先が読めない、読んだ先にあるものが、不確かなエンディング。
愛のカタチを深く考えた。