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kare ga aishiteru noha

決して消えぬ大きな喪失を抱えた受けを、
その傷ごと愛する攻め。
信じられないくらい一途な攻めの包容力が胸を打つ、
受けの救済ストーリーです。
途中からティッシュが手放せなくなるほど、泣けて泣けて、泣けました...
肌色な表紙にちょっとドキッとするけれど、
内容はとてつもなくピュア。
読み終えて表紙を見返し、攻めが受けを見つめる
その優しい視線に、たまらない気持ちに。
元勤め先の建築設計事務所後輩の町田に
飲みの席で誘われたことをきっかけに、
セフレ関係を続けている真白。
実は真白には忘れられない辛い恋の記憶があり、
誰とも深い関係を築く気にはなれず、
気楽に過ごせる町田との関係を気に入っています。
しかし共に過ごすうち、だんだんと
”軽い遊び人”を装っている町田の真面目な人となりや
優しさ、自分に向ける真剣な思いを理解するようになり、
心が揺れ動きー
と続きます。
これ、まず、真白の抱える恋の思い出と傷が、
とてつもなく大きくて痛くて切なくて、やるせないのです。
(以下大きなネタバレを含みます)
遠い憧れの存在だった先輩設計士・東江由基との恋。
確かに気持ちは通じ合っていたけれど、どこか”終わる”ことを予感させる緊張感を孕んだ恋だったことが、中盤、真白視点で丁寧に綴られています。
そして天才的な能力・技術を持つ東江が
海外へ活躍拠点を移した直後の、永遠の別れー
本気で恋していた人を喪い、人前で元気な顔を見せられるようになるまで、
真白がどれだけの時間を要し苦労したか。
引き出しに今も入ったままの眠剤や、恋人の訃報から半年の間休業していた…といった描写から、彼の苦悩がダイレクトに伝わってきます。
で、この真白の元恋人・東江という男が、憂いと大人の色香を纏う、
良い男なのですよね…
真白の気持ちの方がずっと大きいのかな、と思いきや、
誕生日を覚えていてさりげなく「欲しいものはないか?」と聞いて来たり。
海外へと行ってしまう時にも、真白からもらった観葉植物を「連れて行く」なんて言い方をして、真白をドキッとさせる。
「待っていて欲しい」という直接的な言葉は告げずに希望を持たせるような言動、ずるいなあ…!と思うのですが、憎めない。
特に切ないのが、二人で話し合いながら、
「一緒に住むなら…」と理想の家の意匠製図を作るシーンです。
そんな未来はきっとないだろう、と頭のどこかで互いに分かっていながらの会話に胸が痛む。。
そして東江の告げた「2年」という期間を、
真白が待ち続ける決意をした矢先の喪失。
で!!
ここから攻め・町田視点へと大きく場面転換してからの展開が、
この物語最大の見せ場ではないかと思います。
飲みの席で軽々しく真白を誘った時。
飄々としながら自分のことを「セフレ」だと言っていた時。
自分が設計を担当する場所に、「ちょっと付き合ってくれない?」と言って
真白を何度も連れ出すようになった時。
彼の軽口の裏に、一体どれだけの真摯な思いが隠れていたか…
この攻め視点パートを読んで前半を振り返った時、
一番に「あっ!」と思い浮かんだシーンがあります。
真白が初めて町田の家に誘われ、いい雰囲気になったにもかかわらず
ベッドでうとうと…と眠りかけた時。
町田はてっきり強引にでもキスしてくるのかと思いきや、
優しい声で「寝ていいよ」と囁く。
これ…!
真白の家の引き出しに眠剤が入っていること、
それが置いてある理由、それらを全て知った上での、セリフだったのですね。。
自分のそばでは、何も心配せず安心して眠ってほしい。
決して真白を一人にしない。寂しくさせない。泣かせない。
「決まった相手は面倒くさい」と言う真白の心に負担をかけないように、
明るく、気楽で、軽い男を演じる。
そうして真白が立ち直るまでそばにいる。
他の誰かが軽い気持ちで真白と遊ぶことなんて、絶対嫌だー
えっ、実はそんな前から真白のこと、知ってたの!?
という二人の出会いエピソードに驚くと共に、
とんでもなく深く大きな彼の献身愛に衝撃を受けました。
そんな攻めの一途愛が明かされ、
二人の思いはもう”セフレ”の枠をとうに超えたよね、両思いだよね…!?
となったところからの、”すれ違い”描写。
切なさが、加速していきます。。
はっきりと好意を認識してしまったからこそ、
セフレだと思っていた時には抱かなかった
「昔の恋人を今も引きずっている」ことへの罪悪感が、
真白を苦しめるようになる。
過去の恋の傷を(本当は知られているのだけれど)
町田に告白できない真白の葛藤も十二分に理解でき、
切なさに涙しました;
このすれ違いの回収というのかな、それがまた見事すぎて。
未完成でいつもどこか不安定だった、東江との恋。
そんな関係性の象徴でもある意匠製図を、
今度は町田と二人で話し合って形あるものにしてゆき、完成させる。
真白が新たな恋を自分自身に許し、覚悟を決めた瞬間の描写に
心震えました。
で、そんな真白の心を、言葉で態度で行動で、しっかりホールドしてくれる町田!!
君はどれだけ包容力を持っているのー…!
ラスト、二人で共に訪れる場所に、また(何度目かの)熱いものが込み上げてきます。
輝く希望の見える最後の一文も、とても素敵で沁みるものでした。
そして最後に、タイトルの『彼が愛しているのは』。
これも秀逸だなあ…と唸ってしまう。
恋が成就するまでの攻め視点で見ると、
「彼(=真白)が愛しているのは(東江であり、自分ではない)」と、切ない恋心として読み取れる。
けれど物語全体の流れから見ると、
「彼(=真白)が愛しているのは(、今は確かに町田ただ一人)」と捉えられる。
考える余地と余韻、そして最後にはたまらない幸福感を感じさせてくれるこの短いタイトル、本当に素敵です。
あとがき後の掌編は、真白の叔母視点。
温かな叔母の目線を感じるお話に、ほっと優しい気持ちになります。
抱えた傷ごと受け入れられ、愛されるー
なんとも印象深い、夜明けの救済ストーリーでした。