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ちょっと昔の作品なのですが、モダンホラーというあおり文に惹かれて手に取りました。
BLででホラーって珍しいんじゃないでしょうか。
読んだ感想は…確かにどれに分類するかというとホラーかもしれません…。
怖いお話というわけではないですが、世にも奇妙な…という感じの作品です。ですがすこしでも怖い感じの作品が苦手な方は避けたほうが良いかもしれません。
中身は短編集で、表題作ほか2編が入っていて、最後に表題作のその後が入っています。攻めと受けが結ばれて末永く幸せに…みたいなものはなく、萌えよりもお話を楽しむものかと思います。
結ばれてはいますが、一般的な「幸せ」とは違うものばかりです。
ですがお話が圧巻でした。
「守護の天使の棲む森」
仲の良いグループでで旅行中、幼なじみで喧嘩中の智也と遥を襲う奇妙なお話。
これは何を書いてもネタバレになってしまいそうで、そしてネタバレしたら全く楽しめない作品なのであんまり書けることがないのですが…。
これをBLとして楽しむのは物足りないと最初は感じました。
説明の足りない部分が多く、ページ数が多い割に解決していない部分も多すぎます。無理矢理設定だけを書きたい話のようにも感じました。
でも最後に入っているその後のお話では、一筋縄ではいかない結末を拝めます。解釈の難しいお話ですが、こういう雰囲気は大好きです。
萌とはちょっと違うかな?という感じの作品でした。
「カインの牢獄」
これが、BLとしてもそうですが、お話として非常によく練られていました。先が気になって気になって一気読みしました。
主人公の四海と一帆は仲がいい友人、というわけではないのですが、たった1度だけ、四海がレイプされた日に一帆に助けを求めて電話をします。ですが一帆は取り合わず、四海はその後学校を辞め転落した人生を歩みます。その後、四海を助けなかったことを後から後悔した一帆は、四海に「四海のしてほしいことは何でもする」と約束し、そこから2人の奇妙な関係が始まります。
その後別々の事故で2人は命を絶たれ、そして死後の世界で再会する…というお話。
一般的なハッピーエンドを望むお話ではありません。
でも凄く愛というものが純粋に見え、綺麗に見えて、読み終わった後は考え込んでしまうようなお話でした。
2人が生きていたときに互いをどう思っていたか、どうすればよかったのか。
文章力が高く、最早誰の事も振り返らなくていい存在となった2人の孤独と、愛のお話にひきこまれました。
衝撃的なラストなのですが、一般的なBLの萌とはと割り切ってよむことをオススメします。
「魂食い」
ひと夏を海辺の町ですごす都会少年と田舎少年のお話。
こちらも説明の難しい解釈の困難なお話かもしれません。
人で無いものが出てきます。カインの牢獄同様、孤独と永遠をテーマにしている気がしました。
傍からみてこれはハッピーエンドなのかと思うのですが、本人同士にしてみればこの上ない幸せを手に入れたのかもしれない、というようなお話です。
全体的に奥が深く、解釈も人それぞれだと思います。
読んだ後は1人で思い返すより、他の人のと意見を交わしたくなる作品だと思いました。