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伊関拓朗は、小さな劇団の舞台役者だった。
高校時代に、自らの性癖を自覚し、それ以来周囲と距離をおいて生活してきた。
大学に入ってから演劇と出会い、役者を目指すようになってからは、大学も辞め、そのことが原因で家族とも絶縁状態になってしまった。
そんな伊関の前に現れたのは、大手広告代理店課長・永見潔だった。
永見は、手がけたプロジェクトすべてが成功し、若くして課長の地位を手に入れたやり手の男。
そんな永見は、次のCMのイメージキャラクターとなる俳優を探していたが、どうもしっくりとくる人間がいない。
すっかり煮詰まってしまった永見に対して、友人が「気晴らしに」と連れてきてくれたのが、当時、ようやくコアな演劇ファンには名前が知られるようになってきた、伊関だった。
一目で伊関に惚れた永見は、なんとかCMの件を伊関に了承してもらおうと、「どんな要求でも飲む」と言う。
一方の伊関は、あんまりにもうますぎる話を信用できなくて、「お前の体をよこせ……」と言うが……
という話でした。
なんというか、昔のBLの典型……と言えば、典型なんですかね? 体から入って、結局、心も結ばれる、というやつ。
そして、結ばれる前よりも、結ばれた後のいろいろを書いてある。
まあ、体から入っちゃうと、どうしても心が置き去りで、付き合い始めたら現実を考えてもいろいろ齟齬って出てくるもんだよね……というのはよくわかります。
なんとなく、大人の恋愛、という感じがするので、どろどろぐちゃぐちゃ、というわけではないですが、濃いです。
後、いくつかに話が分かれてるので、多少の分かりにくさはあるような気がしました。
洗練された文章というわけではないですが、読みにくくもない。
よくも悪くも「初期のBL」という評価ですね。