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萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
く、暗い……でも面白ーい!
JUNEの香り漂う、ほの暗くて湿った作品世界がお好きな方に張り手でプッシュ。
その生い立ちにより屈折した夏江(攻)と、男によって人生を狂わされながら憎みきることができない青年・高梨(受)の、道ならぬ恋を描いています。
が、どちらかというと夏江という男の歪んだ精神世界を覗いているような作品でした。
祇園一と謳われた母の美貌と父の明晰な頭脳を受け継ぎながら、当の親たちには一切省られることがないまま育った少年時代。そして、唯一夏江自身を認めてくれた親友をも失うことになった学生時代。
両親への愛憎半ばの感情や、自己否定に裏打ちされた性欲への嫌悪と相反する飢餓、そして親友への怒りと恋慕……雪のように、心の中でこんこんと降り積もってゆく鬱屈。
やがてそれは結晶のように凝り固まり、夏江という人間そのものを構成するほどまでに堆積していきます。
そして出会ったのは、親友とよく似た、高梨という青年。
愛憎を身の内に押し込め生きてきた夏江が初めて見せる高梨への執着は、卑怯で汚いけれど、どうしようもなく不器用だと思いました。
手に入れる算段はできても、幸せになる算段をつけられないところが実に不器用極まりない。
そして、あれほど憎んでいた父と同じ道を辿っているというのが何とも皮肉です。
後退も前進もない自己分析、その発展性のなさは、下手をするとただぬるま湯に浸かっているようにも思えて苦手な系統の話ですが、情感を感じさせてくれる文学ちっくな文章力にぐいぐい引き込まれました。濃密な世界観は、読みごたえ抜群。
閉塞感が最高潮に達するラスト、これまたたまりません。
あー、面白かった!
最近のBLでは、こういうしっとりとした作品がなかなか読めないのがとっても残念だなあ。
明治・大正時代モノです。
銀行家×書生。
父の作った借金の肩代わりとひきかえに、夏江の囲われものとなった圭介。
サディスティックな夏江は圭介に歪んだ愛情をぶつけてくる。
頭取の息子で容姿端麗・頭脳明晰、陽のあたる道だけを歩いてきたかのような夏江。
しかし実は母親は芸者で、この母に捨てられたことが女性への嫌悪につながり、真面目で潔癖な少年へと育つ。
孤独な彼に優しさを与えてくれた友人・羽生。
羽生との別離が第二の転機。
真面目で純粋だった男が、裏切りを知って冷徹な男に変貌する。
こうゆうのくらくらするほど好きなんです。
果たして圭介は夏江の孤独と狂気を受けとめることができるのか。
読み応えたっぷりですよ。