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ai-omoi byakko to ubu danshi

今年4月にお亡くなりになった、久我有加先生。
こちら、雑誌「小説ディアプラス2023年アキ号」に掲載されていたお話とのことです。
電子化され、こうして先生の作品に触れられることに感謝しかありません( ; ; )
電子(Kindle)で140P、あっという間に引き込まれ気付けば読了していました。
亀井先生の麗しいイラストも、表紙だけでなく御本の中でも楽しむことができます。眼福…✨
人間姿の藤平(ふじひら・攻)も格好いいのですが、
お気に入りはもふもふ白狐姿の彼!
臨場感溢れる文章によって描かれる天狗との対決シーンは、
イラストが物語への没入感をより深めてくれたように思います。
時は明治、舞台は京都(大阪もちらりと)。
優しく愛の深い白狐×堅物ウブウブ講談師というふたりの再会ものです。
5歳の時、晋吉(受)がどうしても行きたい!と駄々をこねて聴きに行った祖父の高座。
前にいた男性が体勢を変え、祖父の姿が見えなくなってしまい困っていると、
ふいに白狐のお腹の上に抱き上げられ、もふもふ尻尾に包まれます。
それから10数年、23歳になった米田景風こと晋吉。
日々減る一方の客足に悩んでいたところ、
常連さんが連れてきた和菓子職人・藤平が高座を見にきた日から、
みるみるうちに客席が賑やかになっていきー
と続きます。
まず、二人の初めての出会いのシーンから心奪われました。
じっと白狐を見つめてお辞儀をする晋吉と、そんな晋吉を優しく見返し頷く白狐。
イラストこそありませんが、さあっと鮮やかに脳裏に画像が浮かぶ
印象的な場面です。
爽やかで涼しげな香りが鼻先をくすぐる…との描写に嗅覚が刺激され、
思わずちょっとくんくんしてしまいました。
タイトルには「愛重」とありますが、個人的な印象では
攻めの愛は「重い」というより「深い」、深愛。
藤平が聴きに来てから、なぜか急に客足が伸びたからくり。
晋吉が藤平の正体とそのカラクリを知ったことにより、
途中切ないすれ違いも起こるのですが…
意地っ張りで講談のことにはどこまでも頑固な晋吉だけれど、
必要な時にはちゃんと客観的に・冷静に事実を見つめ、
素直になれる人で良かった…!
きっかけは確かに、藤平の働きかけにあったのだろうけれど。
自分の読む講談に聴き入るお客さん一人一人の顔を思い浮かべれば、
本気で楽しんでくれていること、来たいから来てくれているのだーと分かる。
真摯に謝る晋吉と、おろおろしていた…と正直に述べて
やっぱりここでも晋吉のことを包み込む貞二(藤平)、
二人の姿が本当に微笑ましい・:*+.
途中現れ、晋吉を襲う境川。
ヒール役ではあるけれど、彼には彼なりの矜持があり、
その気持ちや行動原理も理解の余地があり憎みきれないのですよね…
そういうところ、本当に久我先生の描き方、うまいなあ…とため息が出てしまう。
5歳の頃、ふわふわのお腹に抱き上げ、もふもふで包んでくれたように
大切に、けれど情熱的に晋吉を抱く藤平との濡れ場が甘かったー...・:*+.
晋吉の姉・ふくやその娘のりんちゃん、
そして妖だったの!!とビックリした二人など、
(↑勘の良い方は多分すぐ気付く…!晋吉を守ってくれる場面にじんとしました)
出て来る脇キャラも魅力的。
晋吉の心地よい京都方言にも心躍る、深く優しく、一途な恋の物語に酔いしれました。
ふたりの年齢差問題にもちゃんと触れられているところも、良かったなあ。
久我先生の書かれる物語が、やっぱり大好きです(ˊ˘ˋ* )