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natsu no shio
友情なのか愛情なのか憧れなのか。
こんなゆっくりペースのBLを読むと、
同性同士の恋愛において
性的欲求はひとつの指針となるんだよなという
当たり前のことを改めて感じます。
この巻で実際のふたりはキスすらもしない。
ラブの香りから自覚までのスローペース。
でも止まることなく読み進められた。
「萌える!」とか
「めっちゃ面白い!」
と言うのとはちょっと違う。
読みながら感じていたのは
自分に繋がってる糸が、
静かにぐーーーっと引っ張られてるような…
そんな感覚。
もう十数年も前の作品ゆえ、
現代とは時代のズレを感じる描写は
そこここにあるのだけれども、
感じたのはこういうこと。
「色褪せないと言うのはこういうことか」。
読まなきゃ分からなかったこの感覚。
ラブだけじゃなく、
様々な人との関係性や感情が変わっていく様、
仮面鬱のような人のココロと体の関係、
そんな時代などは関係のない、
描かれた普遍的な色々が
こんな風に思わせるのだろう。
絶版らしいものの、
偶然この旧版を見つけて
チャレンジしてみて良かったと思います。
シリーズものが大丈夫な方は、
シリーズ通して読んでみてほしいと思う。
榎田尤利さんの魚住くんシリーズは、本当に読みたい作品でした。やっと読めました。
人にも自分にも、無頓着で、衣食住にも関心がなくて、味覚障害や栄養失調になってしまう魚住くん。
17歳までに4度も苗字が変わり、最後の里親も事故で亡くしてしまう、天涯孤独の魚住くん。信じられないくらいに綺麗な顔立ちをしていて、本人の自覚がないままに、女も男も彼に嵌ってしまう。そんな性質を持つ魚住くん。
魚住だけでなく、久留米のキャラもよいです。とにかく、鈍感。鈍感だからこそ、こんなに複雑な生い立ちと感情と美しい顔の造作を持つ、魚住の側にいられる久留米。
はやく、二人のエロが見たいです。不感症だった魚住が、久留米に脇腹を拭かれて、声をあげそうになるほど感じるシーンに萌えましたが。
ここまで引っ張るからには、次は、魚住の腰が砕けるようなセックスを、久留米、してくれよっと思わずにいられませんでした。
不幸にあいすぎて感情が麻痺してしまった魚住くんは、とっくに久留米を好きになっているのに気付かない。
家族だった犬が亡くなって、それを片づけてもらった後も久留米の家に居続ける。
久留米の住処はクーラーもない、狭いアパート。
魚住は久留米に言われて料理の練習まで始める。
なぜそこまで久留米のそばにいるのか、久留米は理解できない。
当の魚住もわかっていないので、当然久留米にはわかりっこないのだ。
そしてなぜか久留米といたら味覚障害が治り、ついには不能も治ってしまう。
なぜだか真剣に考えてみたとき、みんな久留米のおかげで、自分が久留米の事が好きなんだと気づく。
不能になっても恥ずかしげもなくさらっとカミングアウトし、過去に強姦されたことも「すごく痛かったんだよ」という魚住はかなりの強者。
普通もっと言う事があるでしょ!?と周りの人は言いたくなりますが、久留米はわりと大雑把な性格なのでいちいち気にしません。
そんな二人が一緒にいて、離れて、そしてやっとお互いがお互いを必要としていることに気づいていくことろは深く胸にしみわたっていきました。
キャラに萌えた、というよりストーリー全体としてよかったと思います。
やっと魚住が久留米を意識し始めるところで終わっているので、早く続きが読みたいです。
とても綺麗でボーっとした男・魚住と、大学時代からの友人・久留米が主軸になって話が動いていきます。メイン二人だけでなく、どのサブキャラに至るまで生き生きと、リアルな性格で描かれている。魚住くんは割と浮世離れしていますが、そういう人、たまにいますよね。キャラ一人一人が、「こういう性格のヤツいるよなー」と思わせます。それに付加する設定が少し小説なだけで。
魚住くんは不幸に見舞われた人生を送ってきました。というか結構、現在進行形で。生まれた時からそうだったといっても過言ではないかもしれない。
彼は感情表現が欠けています。0に近いぐらい。魚住くんはそれを今までの人生の中で落としてきてしまったんです。
魚住という非リアルな、異質な存在が、リアルな登場人物の中にまぎれこんでいる。だけど、魚住くんの中に初めて制御不可能な感情を植え込んだ久留米によって、魚住はだんだんと現実世界の人間になっていきます。
久留米と魚住が、お互いにどんなふうに見えているのか、どんなふうに惹かれあっていくのか、それをゆっくりと的確に私たちに見せてくれます。一つ一つの出来事を通して彼らが近づいていく様がありありとわかる。魚住にとって久留米がどんな存在なのか、積み重なっていく出来事が教えてくれます。
この作品は文章力があってこそ成立します。なのに読みやすいです。難しい言葉を使わずに等身大の言葉で書いてくれています。
表紙の魚住くんを見て「魚住くんだ!」と本当に思いました。ぴったりです。儚げで気だるげな表情、白のタンクトップ。手を伸ばしたって届かないような、フィルターの向こう側にいるような。
こちらが焦らされるようにじわじわ進展していく恋、魚住や久留米のお互いの気持ちの高まりに、続きが読みたくてしょうがなくなります。
「墓場まで持っていく!」だの「この本で、リスカを繰り返してた十代の私は救われました」だの、あちこちのブログで紹介されてる名作、魚住くんシリーズの第一巻です。榎田尤利さんの処女作でもある。
神か萌えかで迷ったんですが、一巻は萌えで。(順番にレビューしますが、三巻と四巻は神です)
オークションに何回もチャレンジしてやっとこさ手に入れたんですが(絶版だしプレミアついてるし、高かったよぅ!涙)、近々新装版が出るという噂も聞きました。
まじですか。情報弱者の私はガセネタかマジネタかの区別がつかないんですが。
もし新装版が出るんなら、待てば良かった…。
未読のみなさま、新装版を待って買うほうが、出版社のためにも作者さんのためにも自分のためにもなると思いますw
最近の榎田尤利さんの作品とは、作風がぜんぜん違いました。
なんていうか、いい意味で青かった。
私も十代のときに読みたかったなと思わされました。
残念ながら、私にはこの本のなかにある友人関係に微妙な嘘っぽさを感じてしまったんですが、それは私が分別くさい人間になってしまったせいだなァと思って、少しサミシイ気分になってしまった。
ラブ度は薄いです。
でも、メッセージがたくさん詰まっている。
生きることに息苦しさを感じてる人を楽にすることのできる、薬のような本だと思います。
榎田さんの初期作品ですね。
前から知ってはいたんですが、読んだのは最近です。
なぜだろう???
こういう話だと知っていたらもっと早く読んだのですが。
一言で言うとBLと言うよりJUNE的な作品です。
つまり最近のBLとはかけ離れています。
そうですね~木原さんが大丈夫な人にはいいかもしれません。
状況だけ考えたら、主人公魚住くんはこの世の不幸を全部背負ったような人です。
生い立ちだけで泣けそうです。
でも泣くのはそこじゃないんですよね。
そこが変わったところなんですが、本人は全然感じない人なんです。
あまりに不幸で、神経が麻痺しちゃってる感じ。
でも現在彼を取り囲んでいる人たちがそりゃあ個性豊か。
普通じゃいないような人たち(笑)
このお話は魚住くんが主役だよね?って確かめたくなるくらい周りの人たちのエピソードもたくさん。
そして暖かい。
そこが泣けるところなんです。
シリーズ五冊。
全部読んでくださいね。
とても悲しいことが書いてあるのに、とても暖かくなるんです。