牛泥棒

ushi dorobou

牛泥棒
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神40
  • 萌×239
  • 萌22
  • 中立3
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
22
得点
425
評価数
106
平均
4.1 / 5
神率
37.7%
著者
木原音瀬 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
依田沙江美 
媒体
小説
出版社
蒼竜社
レーベル
Holly Novels
発売日
価格
¥857(税抜)  
ISBN
9784883863242

あらすじ

大学で助手をしている亮一郎は年上の口のきけない使用人・徳馬に密かに心を寄せていたが、想いを告げられずにいた。幼い頃から傍にいてくれた徳馬は、短気で我が儘な亮一郎にとってかけがえのない存在だったのだ。関係を壊すより、侍従関係のままでも徳馬を傍に置きたいと亮一郎が思い始めていた矢先、徳馬が突然暇を願い出た。許せない亮一郎は徳馬に冷たくあたるが…。(カバーより転記)

表題作牛泥棒

佐竹亮一郎,大学の植物学助手,25歳
田中徳馬,口のきけない使用人,27歳

その他の収録作品

  • 古山茶(つばき)
  • 笹魚

レビュー投稿数22

各が違うな~

前情報も得ていたので、内容に驚くこともなく、イラストも大好きな依田さんだし、冒頭から気になるストーリー展開で掴みはOKだったのですが、なんかこう、この世界観にすっと入りきれず。
主従関係、妖怪、明治時代、この辺とても好物なのです。
んじゃ、なにが?と、自分でもよくわからず。
亮一郎の天然ぶり我侭お坊ちゃまなところが、なかなか好きになれなかったからかなあ・・・。
ところが、牛事件が起きてからは、すっかり入り込んでしまい、そこから最後まで今度はやめることができないまま、一気読み。
2話目の「古山茶(つばき)」なんてもう面白くて面白くて、結局窓の外は白々と明るんできたりして。

木原音瀬さんという方は、実際はユニットで個人ではないんじゃ?なんて思うほど、お話がどれもまったくの別ジャンルで、幅の広さ底の深さに驚きを隠せません。
淡々とした独特な文章が一貫しているので、その特徴で木原さんだな~と感じますが、ここまで様々な背景のお話を書かれるって、すごい。
読めば読むほど、格の違う作家さんだと感嘆するばかりです。

12

BLは腐女子のメルヘン (〃⌒ー⌒〃)

明治時代を舞台にした、植物学者の癇癪持ちで我が儘だけど優しい亮一郎(攻)と、妖怪や物の怪が見えるだけでなく身の内に鬼を飼っている使用人・徳馬(受)の、甘くほんわかとした恋のお話です。

目次
・牛泥棒(プロローグは受け視点、本文は攻め視点)
・古山茶 つばき(受け視点)
・笹魚(受け視点)

「牛泥棒」のあらすじ
大学で助手をしている亮一郎(攻)は、ちょっと年上の口の利けない使用人・徳馬(受)に想いを寄せています。それは中学の頃、青白い顔で眠る徳馬(受)を綺麗だと思い、初めて性衝動に駆られた時からずっと。亮一郎(攻)は想いを告げぬまま、徳馬(受)を傍に置き片時も離しません。ところがある事件をきっかけに距離を置くことに。そこで徳馬(受)は里に帰りたいと申し出ますが、亮一郎(攻)は許さない構え。無言の攻防が続いた4日後、実家が火事に。急きょ二人は帰省。亮一郎(攻)は家も家族もなくし、借金返済のため女との結婚を決断。そこに徳馬(受)が御神体の牛を盗んだ罪で逮捕との報が…。

本作は、明治時代が舞台。そのためか作品全体に漂う雰囲気がどこか風流で、趣があります。それに、夜伽や接吻、褌(ふんどし)や娼妓、交接(SEX)や大八車などのワードが、その時代を醸し出し、芳醇な香りに包まれます(*'‐'*)

鬼や、物の怪や、妖怪といった魑魅魍魎が跋扈するレトロでロマンチックなBL。「眠る兎」のレビュー時も同じことを申しましたが、「木原作品は痛いから嫌」と敬遠されている方にも本作はお勧めです。

時代物が苦手という方も明治時代は近代ですし、比較的入り易いかと。でも妖怪物は嫌という方には無理にお勧めいたしません。私自身も、夏の風物詩の怪談話は怖くて苦手です。でもゲゲゲの鬼太郎などのような妖怪物は案外好きです。

人間にも良い人もいれば悪い人もいるのと一緒で、妖怪もそんな風に捉えています。作中の、徳馬(受)の手の中に飼われている鬼の桑葉もそんな感じで、実に可愛い。 「面倒だのう・・・」という口癖がその性格を表していて、つい親しみを感じてしまいます。大人しく控えめな徳馬(受)とはまるで違う性格なのに、なかなか良いコンピで微笑ましい限りです。

不憫だったのは亮一郎(攻)の母親。沼神様に愛する息子の命乞いをし、自分の命と引き替えに亡くなりました。そこにあるのは、母から息子への無償の愛。それなのに後々まで、「病気の子供を置いて逃げたけしからん女だ」と人々に思われていたため、切なかったです (j o j) ウルル

終盤、真実を知って驚いたのは徳馬(受)の声。証文代わりだったとは!てっきりこれこそが、亮一郎(攻)の母の形見と引き替えに差し出されたものと思い込んでいただけに、目がテン (^◇^;)ホエー

そう言えば、亮一郎(攻)に形見を差し出すシーンが一つもなく、「おかしいなあ」と思いつつ形見のことを忘れ、読み進めてしまいました。沼神さまが求めたものは「20年間、毎年1頭ずつ、牛を贄として沼に沈めろ」ということ。20年も声を奪われ、罪悪感を抱きながら牛を盗み、なのにやっと形見として返してくれたのは、たったの爪1枚…(T^T)

沼神様、ホントは爪の一枚すら返すつもりはなく、無理難題を押し付けることにより、徳馬(受)が諦めるよう仕向けただけだったのかもしれません。真に受けた真面目な少年・徳馬の受難が始まったのは7歳の頃のこと。

元の木阿弥。とはいえ結局牛は全頭戻って来たし、徳馬(受)は投獄されずに済んだし、口も利けるようになりました。BL的にも文句なしの展開で、素晴らしいメルヘンの世界を堪能させて頂きました (〃^∇^)o_彡☆


続く「古山茶」は「ふるつばき」と読むそうな。
多くの花は花びらが散って枯れていきますが、椿はまるごと「ぼとっ」と落ちるため、人が亡くなる様を連想させ、お見舞いなどには不向きとされる花。また、物でも植物でも何でも、長い年月を経ると、霊が宿り、妖怪化するらしいです。
「古山茶」は「牛泥棒」と比べると、いささか怖い。怖いながらも面白い。それに現実にはあり得ないと思うせいか、さほど恐怖を感じず、次はどうなるんだろう、次は…といった具合に、めちゃくちゃ楽しく読ませて頂きました (*^-^*)
「牛泥棒」でも登場の原が、淫乱の椿の妖怪に精も気力も吸い取られ、まるで蜻蛉のように痩せ細り、もう少しで「やり殺される」ところを、徳馬(受)や鬼の桑葉、それに亮一郎(攻)の手によって救われるという、そんなストーリーです。


最後の「笹魚」は、「古山茶」で良い味を出していた千枝さんに、原が恋をするというストーリー。そこに亮一郎(攻)と徳馬(受)の甘々な睦みが絡められ、3作中1番ホットな展開でした (〃ー〃)
千枝さんは子を授かることが出来ない身体。ゆえに原との未来はないのだと、実にサバサバとした竹を割ったような性格の優しく強い女性です。同性として憧れを感じました。でも男同士も子供が出来ません。それでも二人一緒にいれば幸せを感じられるのですから、千枝さんも考えを改め、幸せになって欲しいです。

9

話の内容は皆さんが書かれているので自分の読んだ感想だけになりますが、とても面白かったです!男同士なので夫婦ではなく番(つがい)です!亮一郎もそう言ってます。
確かに亮一郎は怒っているシーンも多く怒りっぽいですが、理不尽なことで怒りはしないので、おしとやかな徳馬にはこれぐらい感情が表に出るほうがあってるな、さすが番!と盛り上がっていました。
しかし徳馬もおとなしいわりには嫉妬深い性格です。白粉の匂いで浮気されたと思い亮一郎の靴を抱きしめて泣いたりと可愛い人なのです。亮一郎は徳馬と愛し合ってる自信と一生離れないという自覚があるので、嫉妬深さでいうなら徳馬の方が上かな。というぐらいですごく徳馬が可愛いです。亮一郎のどんと構えている姿も男らしくて本当に素敵な関係です。
また時代が時代なので言葉使いが今とは違い、それがまた色っぽい!亮一郎の言葉使いが特に!もうドキドキしながらやっぱり時代ものはこうじゃなくてはと!

キスされた日は褌をつけずに亮一郎がくるのを待っていたりと大胆であり控えである徳馬は読んでいて本当に可愛くてたまりません!亮一郎といつまでも幸せに!

7

明治の時代香るロマンス

地方の造り酒屋の一人息子でありながら、東京の大学で植物学の助手をしている佐竹亮一郎。彼は年上の口のきけない使用人・徳馬に密かに想いを寄せていました。幼い頃に母親が行方知らずになって以来、亮一郎の傍にいてくれる優しい徳馬を失いたくなくて、亮一郎は徳馬に気持ちを告げられずにいました。
徳馬には妖が見える不思議な力があり、手の中に小さな鬼を飼っていました。あるとき、その力をめぐって亮一郎は徳馬に腹を立ててしまいます。そんな折、亮一郎の実家が火事に見舞われ、亮一郎は借金返済のために地元の有力者の娘と縁組をしなければならなくなります。亮一郎は徳馬に今まで通り東京で一緒に暮らすよう言いますが、徳馬は夜中に姿を消し、翌朝、牛を盗んだ罪で逮捕されてしまいます。やっと面会すると、徳馬は声が出せるようになっており、亮一郎は、母が自分の命を助けるために沼神様に命を捧げたこと、その母の形見の爪をもらうために徳馬が沼神様に声を差し出したことを知ります。逃避行のさ中、互いに想いを告げ結ばれる二人。追手が迫り、万事休すと思われた時、亮一郎が腹立ちまぎれに母の形見の爪を沼に投げ入れると、これまで徳馬が沼神様に捧げてきた20頭もの牛たちが沼から上がってきて…。

徳馬は、牛を盗み続けた自分は心を鬼に食われているのだ、と言いました。その鬼の名前は「恋」なのだと思いもよらないのでしょう。そんな徳馬に亮一郎は「誰の心の中にも鬼はおる。俺の心の中にも汚い鬼がおるんだろうさ」と言います。癇癪持ちの亮一郎の中にいる鬼は「短気」でしょうか。私も胸に手を当ててみれば鬼がいるような気がします。鬼とは、心を揺り動かす様々な感情のことなのかもしれません。明治時代はまだまだ夜が暗く、夜の闇が今よりもずっと鬼の存在を身近に感じさせたことでしょう。

初めて体を重ねるとき、亮一郎が徳馬の体を、花芯、紅蓮、果実、蓮の花といった植物に例えるのが、植物学者らしくてエロティックで、素敵だと思いました。
沼神様が牛を返してくれたおかげで、亮一郎と徳馬は無罪放免。東京で幸せに暮らす結末に心が温かくなりました。


同時収録の「古山茶」は、亮一郎の部下・原が椿の妖に取りつかれる話。「笹魚」は、原のその後の片恋の話です。
亮一郎と徳馬は、ますます仲睦まじく、亮一郎が徳馬をからかう描写が微笑ましいです。
子どもを産めないからと原の求婚を断る千枝を、徳馬が自分に重ねる場面がとても切なかったです。

作品中には、蒸気機関車、牛飯、マッチ工場、綿織物工場など、文明開化のキーワードがちりばめられ、とても興味深かったです。どうやら、二人の実家は関西方面のようですね。あとがきに書かれていた亮一郎のモデルになった人物のことを調べるのも楽しかったです。
時代背景も併せて、とても魅力的な作品だと思いました。

3

木原ワールド初心者です

木原先生の作品は前から読んでみたいと思っていましたが、とりあえず最初は初心者でも大丈夫と答姐で教えていただいた今作を手に取りました。主従関係、時代モノは好きな要素なので、楽しめそうだなと期待して読みはじめました。

徳馬がいじらしくて可愛かったです。亮一郎の興をそがないように情事の前に褌をはかずにいたり、亮一郎の靴を抱きしめて泣いていたり・・。かといって女性的でうじうじした、恋愛の進退ですぐ寝込んだりして色々投げ出す感じ(私の地雷です)ではなく、健気すぎるほど亮一郎のために自分の役目をしっかりと果たす強さも持ち合わせている、可愛いだけじゃないところがよかったです。こういう強さもある受けこそ、健気受けとよばれるに相応しいよなと思います。亮一郎の短気ですぐ癇癪を起こす俺様な性格も、徳馬とはバランスがとれているように感じました。というか彼は最初から徳馬ひとすじなので、徳馬に対して辛く当たる場面もなくはないですが、全部愛情の裏返しなんだよなと思えてハラハラしつつもどこかほほえましい気分で読めました。

ファンタジーはあまり好んで読む方ではないのですが、今作は楽しんで読めました。多分私がファンタジーが苦手なのは、複雑な設定を理解するのがめんどくさかったり、矛盾点(設定が複雑なほど多い)が少しでもあると結構モヤモヤしてしまうのと、基本的にキラキラした夢物語より現実的なお話を好む方であることが原因だと思うのですが、今回は複雑な設定ではないですし、妖怪との戦いの場面が程良いスリル感と刺激をもたらし、物語に起伏を与えていたので、要素として良い方に作用していたと思います。また、心情の動きの描写が丁寧だったので、私が苦手なタイプのファンタジーにありがちな突飛な設定に頼りきりで肝心な心理描写はおざなりになり、お話自体もどんどん非現実的な方向へ飛躍していくということもなく、人間関係の面ではリアリティを楽しむこともできました。ファンタジー要素の取り込み具合がちょうど良い作品だったのではないかなと思います。

他に木原先生の作品は、美しいことをCDで聞き、本は薔薇色の人生しか読んだことがなく、こちらでも評価の高そうな箱の中、檻の外、coldシリーズなどは、きっと名作なのだろうなと思いつつ、自分の精神力に自信がなくてまだ手を出せていません。恐らく、木原先生は、人間という生き物の描写が巧すぎて、醜い面も含めてその全てを忠実に描くことができる希有な作家さんであり、だからこそ読む側にもその醜さも許容できるだけの精神力が必要なのだと思います。なので、自分がもっと成長して、木原先生の作品の人間の生き方を許容できるだけの器のある人間になるまでは、とりあえずこれらの作品には手を出さず、今作のような程良いファンタジー要素のある作品を読んでいこうと思い、次は吸血鬼と愉快な仲間たちのシリーズを購入しました。届くのが楽しみです。

3

牛泥棒をつかまえろ!

初めてこのタイトルを見た時は木原先生どうなすったのかな?と思ったもんですが(笑)
全く何の前情報も知らずに木原先生の作品だからということで手にとったら、
読んでみたら予想外に中身が自分向きの一冊であせった記憶があります。

なんせ時代物・妖怪ものが好きな設定ですし、
一本気だけどグルグル思考な坊ちゃん・亮一郎×健気な使用人・徳馬という、
これまた好きな組み合わせで、しかも亮一郎が植物学者とか、
なんなの、これだけピンポイントで好きな部分を突かれると、
心の中を読まれたみたいな気分になってびっくりしたんですよね。

しかし時代物なので、フンドシをめくるとか、
そういう表現も気を付けないとギャグっぽく感じるかもしれません。
私はフンドシで萌えられるので問題ありませんでしたけど(笑)
あとは借金の問題や縁談など細かい部分で大丈夫か?と思うことはありましたが、
どういうわけかいつの間にか解決しているようでしたw

ただ木原先生の作品の中ではかなり万人向けの優しいお話に仕上がっているので、
読みやすいか読みにくいかと言われたら、読みやすいほうだと思います。

内容は『牛泥棒』『古山茶』『笹魚』それぞれ妖怪が絡んでいるお話が3篇ほど入っています。

『牛泥棒』
亮一郎の母親が、亮一郎の命を助けるためにその身を妖怪に捧げた、深い母親の情が泣けるお話でした。そして徳馬は妖怪から母親の形見をもらうためにある約束を妖怪とし、声を奪われてしまいます。

『古山茶』
亮一郎の大学の学生、原が色欲の妖怪に取り憑かれ、トンでもない目に遭うお話でした。
その原を助けるため、亮一郎、徳馬も大変な目に遭います。
色欲の妖怪は恐ろしや!でも面白かったです。

『笹魚』
二人のラブ多めです。
笹が岩魚になって川に入っていくという、不思議なお話でした。
淫魔に取り憑かれたあの原さん(笑)が、今度は千枝さんに懸想するのですが、
なかなか上手くは行きそうにありませんでした。

私のお気に入りは徳馬の鬼、桑葉(ネコの姿になる)です。
亮一郎と桑葉の小競り合いが微笑ましかったです。気分は徳馬目線で。

過度なファンタジー要素を含むので、その点が苦手な方にはお勧めしませんが、
痛くないほうの木原先生をお探しなら試しに一読されてみるのもいいかと思います。

7

安心して読める木原さん

大学で助手をしている亮一郎は、口のきけない年上の使用人・徳馬に心を寄せている。
幼い頃から一緒に育った徳馬は、亮一郎の癇癪をも受け止めてくれるかけがえのない存在だ。
亮一郎は知らないが、徳馬が声を失った事情には、亮一郎が深く関わっているらしい。
想いを告げて関係を壊すよりも、今のままの関係を選んだ亮一郎にある日徳馬が暇を願い出て……

明治時代が舞台の主従モノ。
ワガママでまっすぐな坊ちゃん×口のきけない使用人。
そういえば多少年下攻め。
妖怪成分、切なさ成分含有でおもしろかった。
安心して読み終えることのできる木原さんにしてはめずらしい話です。

甘やかされて育った亮一郎は、まっすぐだけど融通が利かなくてワガママ。
最初なんじゃこいつはと思ったんだけど、亮一郎の癇癪にはちゃんと理由があって、どっか憎めません。子供っぽくて、弱くて、時に強くてとっても人間らしい主人公です。

対する徳馬はしっかりもの時々乙女。年上なのになんかかわいいです。

時代背景のせいでキスが接吻って表記されているんだけど、接吻って書くとなんかより
エロい気がするのは私だけでしょうか(笑)

一話目が二人がくっつくまで。
二話目はカップルが主役の妖怪話になるんですが、この二話目が楽しかった。
BLってジャンルからはちょっと逸れるかもしれないけど。
普段は猫に擬態している徳馬の鬼、桑葉のキャラがナイスです。
結局語られることのなかった徳馬に鬼が着いている理由も含めて、シリーズ化してくれたりとかしないかな。
してくれたら絶対買うのに。


6

いじらしく、愛する男を守る。徳馬という男

「牛泥棒」というタイトル。これは何だろう?
そう思って皆さんのレビューを読み、妖怪モノと知って手に取りました。
プロローグから佐竹家の使用人の息子徳馬が、人の死期がわかる事、見えざるものが見える事が語られます。
そして危篤の佐竹家の一人息子亮一郎の命と引き換えに、亮一郎の母親が沼の神大ガマガエルに喰われる所を見てしまった徳馬もまた、ガマガエルとある契約をする、という冒頭。
そして本編は、亮一郎は大学の助手になっている。徳馬は亮一郎付きの下男。そして口が利けなくなっていた。亮一郎は「俺様」で、徳馬がいないと夜も日も明けぬ有様。つまりは子供の頃から徳馬に強い信頼と恋心を抱き、強烈な独占欲を抱いている。
徳馬はひっそりとした風情で、亮一郎のわがままを受け入れる。

この舞台設定あっての後半、佐竹家実家の火事と家族の死、残された借金と嫁取り話。明かすつもりのなかった徳馬への恋情。衝動的な接吻。(キスじゃないよ、せっぷんですよ!)
そして事件が起きます。ここからは怒涛の展開で、徳馬の声が戻り、逃避行、その中での告白と交接、沼神との契約、そして牛が……!
エピローグ、大学に戻り2人の生活。(借金問題は概ねクリアしてます)
好きあった2人の、しっとりとした日常。

「古山茶」
これは怖かったです。
亮一郎の同僚原さんが、椿の木の女妖怪に取り憑かれ、精気を吸い取られて死にかけるお話。
亮一郎と徳馬はすっかり夫婦のように暮らしていますが、この女妖怪の妖気に巻き込まれます。

「笹魚」
立ち直った原さんが亮一郎達の隣人、元娼妓の千枝さんに恋をする話。
亮一郎と徳馬はますます仲睦まじく、原さんのために花見デートを企画する。
千枝さんは酸いも甘いも噛み分ける大人の女性、原さんとは一緒になれない事を知っている…そしてスッパリ断る千枝さん。
亮一郎は原さんに何も聞かず呑み明かそう、と誘う。亮一郎は徳馬との情の通い合う生活のせいか、随分丸く大人になったみたい。
ちょっと人情物のような余韻を感じました。

6

再読して

ちょっと癇癪持ちで我儘な年下の坊ちゃんの亮一郎(攻め)
亮一郎を大切に思っている穏やかで優しい口がきけない使用人の徳馬(受け)。
二人の関係が、とても可愛らしく読んでいて楽しかったです。現代物ではないのですが、文章も読みやすく楽しく読めました。

序盤は、攻めがお金持ちの坊ちゃんという雰囲気がありありとしていて、自分の側にいつも徳馬を置いて、我儘言ったりして徳馬に甘えて頼ってる感じが、子どもがそのまま大きくなったみたいで、でも嫌な感じがなく可愛らしく思えました。それが中盤以降になると格好良く見えるという(^////^)でも徳馬!徳馬!とベッタリ具合は、最後まで最大限にアピールされてた気がします(笑)

--(以下ネタバレ含まれます)--
1回読んだ時は、徳馬は、亮一郎に対してとても優しいのに、少し他人に対して薄情では・・・と思ったり、褌のところで驚いたりして(笑) 
前半部分に引っかかりを感じていたのですが、改めて読むと徳馬と亮一郎の母との最後のやり取りや、幼い亮一郎がどんなに泣いても真実を伝えてあげれず、母を失わせてしまったという部分で

「自分では、妖怪が見えてもどうしようも出来ないことが沢山ある」と割り切っている様に思えた台詞が、その事実を若いうちから、嫌という程感じていた重たい台詞だったのかな・・・と、思えました。引っかかりは無くなり、物語をじっくり読むことが出来ました。

ところどころの亮一郎と口がきけない徳馬との会話のシーンが凄く好きです。
声が出ないので、徳馬は筆談になるのですが、さらさらと文章を書く姿が、きっと綺麗な文章で穏やかな口調(というとおかしいかもですが)なのだろうな~と思って読んでいました。
畳みや亮一郎の手に綺麗な指で文字を書くシーンなど、静かな雰囲気ですが、やわらかい空間が目に浮かびました。

そして後半、鬼の桑葉がかわいい~♪でぶい にゃんこになったり。(絶対可愛くない!そこが可愛い・・・)妖怪珍道中みたいな話が好きなので、とっても楽しめました!!
桑葉にからかわれて、怒りまくる亮一郎が面白かったです。

5

圧巻の世界観!!流石です

こういう作品を奇譚物というのでしょうか。
当たり前のように妖怪が現れる世界。
ファンタジックでノスタルジーを感じさせる素晴らしい作品でした。
BLというジャンルでなくても通用しそうな面白さ。
牛泥棒というタイトルの妙や文章力、表現力は圧巻です。
木原さん節で、ところどころ切ない!痛い!と思うシーンはあるものの、独特の世界観に一気に引き込まれました。
受けの健気さがとっても切なくて、攻めのことをいつでも第一に考え、かいがいしく尽くしています。
まさに嫁!!
一方の攻めですが、〜なのだという昔風の話し方がツボで、可愛かったです。
椿の花の妖怪のお話は、ゾゾゾっという感じで、完全ホラーでした。。
鬼の桑葉も可愛かったですが、どんな顔してるんだろうと色々想像してしまいました。

4

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