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なんと、ふゆの仁子さん、初読みでした。あんなにたくさん書いていらっしゃるのに。しかもこのお話、ふゆのさんが初めて書いたオリジナル作品が下書きになっているとの事。
初出が2001年ですものね。なかなか時代を感じさせる様な……いや、最近出版されたもので似た状況下の作品は読んだ記憶があるのですが。
えーっと、一言で言ってしまえば『不倫もの』です。
運命の相手だと思っていた人が夢を追って海外へ。残された受さんは安らぎを求めて自分を慕う女性と結婚することを決めるのですが、式の一週間前に攻めさんが現れちゃうんです。で、有無を言わさず連れ去られちゃう。
でも、結果として結婚しちゃうんですよ、予定通り。
それなのに関係は続く、おまけに子どもまで出来ちゃう、という……
いやー、やっぱり18年の月日というのは凄いですねぇ。
恋愛の捉え方がとんでもなく変わってしまったことを痛感しました。
重い。
それも、失礼ながら『無駄に重い』感が大きかったんですよね。
大変面白いことに、登場人物はみな真面目で悪人と言える様な人はいない。
でも、全員のやることなすこと全部裏目に出てしまうんです。
何て言ったら良いのでしょう……しいて言えば『運命』?
いや、本当は『運命』なんかじゃないのですよ。
思慕の念を口に出さない2人が悪いのです。
すれ違いはすべてそれが発端になっているのではないかと。
でも、そういう時代だったんですよね。
表立っては誰も口に出さないけれど、男同士の恋愛が異端でしかなかった空気感がひしひしと。
それと同時に、恋愛の思慕の念を口に出さないあり様が、もう、どんどん悲劇を大きくしていくんです。
この感じがねー『古の……』感を醸し出してくださって、登場人物に共感できないのに、語弊がありますが、大層楽しく読ませていただきました。
昭和を思い出しましたよ。