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(多分新潟の)山村の夏祭りから始まる、短編連作。
それぞれのお話は全く独立しているようで、登場人物が少しづつリンクしています。
「なつまつり」
祖父江一哉は大学4年、就職も決まって、6年ぶりに祖母のいる田舎の家へ遊びに来ます。
そこで待っていたのは、子供の頃、夏休みなどに祖母の家に来るたびに一緒に遊んでいた、4歳年下の吉本茂人で。
一哉は茂人の事を全く忘れていましたが、茂人はずっと一哉を待っていた。
一哉が、茂人との約束と、全てを思い出した時、、、、
「秋の気配」
長田広は高校3年、生まれ育った町には二つしか高校が無く、大学受験の事を考えて、市内の高校へ通うため、村を出てひとり暮らししています。
村を出てから一度も実家に帰らない広、
それは、幼なじみ四方義秀に会いたくないから。
それでも、祖母の体調が悪いからと、再三の母からの電話に、夏休み中に、家に帰ることにしたのですが
「なつまつり」の茂人と、広、義秀が同級生です。
「最後の初雪」
この作品だけは、山村が舞台ではありません。
「なつまつり」の一哉の大学の、同じゼミの4年生根岸太と研究室の助手・守山孝治。
前2作品が、恋の始まりの話だったのに、これは恋を終わらせるお話。
「サクラ、咲く」
「秋の気配」の二人が、大学受験で揺れる話。
どのお話も、「恋を知ることで子供は別の世界へ一歩成長するのだ」と言うお話で、なかなかしっとりと味わい深い青春小説です。
ちょっと古い目の本なので、セックス描写などは、男同士でいきなりこれは無理だろうって、言いたくなる点もなきにしもあらずですが、この本はセックスファンタジーが目的ではなく、青春小説なので、この位の表現で妥当といえます。
クリスタル文庫らしい作品です。
エロエロセックスファンタジーではなく、しっかりした青春小説を読みたい方にオススメです。