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onnmyouji ashiya douman
完結巻となるシリーズ第2巻では、道満と晴明との有名な術比べとその決着が描かれます。
あらすじ:
夢のお告げを武器に主上に取り入り、裏で鬼達に都を襲わせる美童・安倍晴明。
晴明との術勝負に挑む道満だが…。
陰陽師ものでは主役として描かれることの多い安倍晴明ですが、本書では純然たる悪役。
年上の陰陽師・加茂保憲を身体で籠絡させるその姿には、童子とは思えぬ狡猾さと禍々しさを感じさせます。
クライマックスの、かの有名な勝負のシーンは必見。
箱の中身を当て合うというこの勝負、前巻あとがきでも書かれていたように、見方によっては晴明のズルとも捉えられる結末。
本書ではそれを道満に指摘させた上で、晴明の真の目的が勝負に勝つことではなく、主上らに道満の存在に脅威を抱かせることにあったとまで描かれており、晴明の姑息さをより強調したストーリー展開となっています。
そんな晴明に比べ、本書の道満はどこまでも潔く男前。
自身を陥れた晴明の窮地を救い、見返りは求めず黙って都を去って行きます。
ちょっとカッコよすぎる気もしますが、晴明を正義、道満を悪とする創作物が巷に溢れている中で、一作くらいはこんな解釈の作品があってもいいんじゃないかと思いました。
手強い晴明とのバトル中心となる今回、道満と友則の絡みは前巻に輪をかけて少なめ。
完結巻としては少々寂しいですが、友則が道満と共に都を去るラストシーンは感動的。
友則という一途で可愛い恋人がいる本書の道満は、都を追われた後も孤独を感じることなく、満ち足りた日々を送ったことと思います(そんなアフターエピソードも読んでみたかったかも)。
サブカプの中将×少将は相変わらず仲睦まじく、少将が妖怪に取り憑かれてもラブラブ。
少将の身体から妖怪を追い出すため、互いに協力し合って身体を重ねるシーンはナイスバカップルぶりでしたv
橙子様は、ラストで想い人の道満に置いていかれる姿がやや不憫。
威勢がいい割に男性陣や妖怪から馬鹿にされてばかりなのもちょっと可哀想でしたが、そんな弱い立場でも強さを失わないところが魅力的で、こういう描かれ方の女性キャラは好みです。
全体的に、晴明の暗躍ぶりにページ数が多く割かれており、道満と友則の日常シーンが少ないのはやや物足りないところ。
しかし、今までになかなかない道満・晴明像が描かれているという点で興味深い作品でした。