若い男に恋をするおっさん騎士の話

wakaiotoko ni koiwosuru ossankishi no hanashi

若い男に恋をするおっさん騎士の話
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神15
  • 萌×22
  • 萌1
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

115

レビュー数
5
得点
87
評価数
19
平均
4.6 / 5
神率
78.9%
著者
伊川伊織 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
宇良たまじ 
媒体
小説
出版社
リブレ
レーベル
発売日
価格
ISBN
9784799774540

あらすじ

俺は戦争で死に損なったおっさん騎士だ。
みんなは俺を救国の英雄と呼ぶけれど、
右足を負傷して動かせなくなってしまったから、今は見習い騎士の訓練施設で教官をしている。
綺麗な自然を見るのが好きだった。でも長く歩けず、馬にも乗れない。
滝も湖も、もう見に行くことはできない。
だから俺の唯一の楽しみは、
太陽のような黄金の髪と海のような青い瞳を持つ見習い騎士・ウィリアムを見つめることだけだった。
────けれど、ある日。
彼が強いまなざしでまっすぐに俺を見返し、
その優しい手に触れられた瞬間、止まっていた世界が静かに動き出した。
これは、終わったはずの人生で出会った初めての恋の物語だ。
見習い騎士×教官、救いと癒しの溺愛ストーリー。

表題作若い男に恋をするおっさん騎士の話

見習い騎士・筆頭公爵家の長男、18歳
騎士訓練所の教官・救国の英雄35

その他の収録作品

  • 国王の祝福
  • 騎士団長の(茶)飲み友達
  • ウィリアムと第二王女
  • 公爵夫人の苦悩
  • 青と白と猫の街
  • あとがき

レビュー投稿数5

No Title

題名とあらすじ、そして序盤を読んだ段階では、ここまで胸が苦しくなるような深いシーンが多々ある作品だとは予想していませんでした。
申し訳ない……。
BLによくある「年下イケメン×くたびれたおじさん」だと思ったら大間違いで、ストーリーも、攻と受が互いに向ける愛情も、とても深いです。

攻・ウィリアムは金髪碧眼の美青年で、公爵家の長男で国王の甥で、見習い騎士の中でもずば抜けて強く、一見非の打ち所がない完璧な男です。
しかしその内面は、ウィリアム自身も自覚しているとおり、女性に好まれる性格ではありません。
唯我独尊、傲岸不遜な変人。
ウィリアムを愛する実の両親からですら、そう評される男。
自分がやりたいように好きなように生きる。
そのためには権力も金も惜しみなく利用する。
心から愛情を向け慈しむ対象は、リシャールだけ。

受・リシャールがこれまた……。
序盤を読んだ段階では、単に自己評価が低い人かと思っていました。
ところが実は、あのウィリアムすら翻弄してしまう、とんでもない人物……。
常に死と隣り合わせの戦場の最前線で15年間戦い続け、その影響で生死の捉え方も価値観も思考回路もぶっ飛んでいる。
危うい。
とにかく危うい。
ちゃんと力いっぱい捕まえておかないと、すぐにその命をあっさりと捨ててしまいそうな。
意図的にではなくとも、結果的に命を落とすことになりそうな展開に無防備にフラフラと歩いて行くような。
そんな危うさを常に持っていて、ウィリアムの心痛が心配になるレベルです。
まさか王女から侮辱されて、その場で瞬時に自死しようとするとは。
同情を引くとか、謝ってほしいとか、そんな考えなど微塵もなく、単にシンプルに自分の命を終わらせようとしただけ。
ウィリアムが止めていなければ即死だった。
あのシーンで、リシャールの危うさが目の前にドン!と示された気がしました。

騎士団長のザイル視点や、ウィリアムの両親視点の場面があり、それを読むとひしひしと、ウィリアムとリシャールはお互いが相手でなければならない運命の相手なのだなと思いました。
他人に興味を示さずただ自分がやりたいようにやってきたウィリアムが、唯一興味を示し愛する相手がリシャール。
危ういリシャールを、権力と金を惜しみなく使って守り、更にその若さと強気な性格で全力でリシャールを囲い込むウィリアム。
リシャールと出会えなかったら、ウィリアムは一生人を愛することなんてなかったかもしれない。
ウィリアムと出会えなかったら、リシャールはどこかでフラッと命を捨てたかもしれない。
二人だから、愛を知って生きている。

リシャールがどれだけ過酷な経験をしてきたか、それによって恐らくどこかのネジが飛んでしまっていることにも、胸が痛くなったりしましたが。
ウィリアムなら、リシャールがいつか迎える死が老衰以外のものにならないよう、全力で愛し守っていくと信じられるので、途中途中切なくなりながらも安心しました。

あと、表紙のイラストがとても綺麗でかっこよくて良かったです!(実は年下攻もおじさん受もあまり好きではないので、表紙のイラストが違ってたらこの作品を読んでいなかったかも)

2

こんな大作だったとは!リシャールが切なくて可愛くて

すごい大作でした。
表題作(1話目)はリシャール視点で独特な文体で。
一冊この調子だったらキツイなあと思ってたら、団長ザイル、騎士ウィリアム、ウィリアムパパ公爵視点もあり。読み進むにつれて本当のリシャールやウィリアムのことがわかっていって。

1話目は戦争を終わらせた男リシャールが終戦後を生きるところからです。
何も欲しがらず、死んでいれば良かった。いや死ななくて良かった、と思いながら淡々と日々を過ごし。綺麗なものが好きだった。自然の滝や湖や。でも右足が動かなくて遠くまで歩けず馬にも乗れない。だからか美しいウィリアムを見てしまう。そんなことが綴られ…。

なんかもうたまらないんですよ。
リシャールが教官を務める騎士見習いのウィリアムとの仲が進むところとか。主人公はリシャールかもしれないけど、ウィリアムの圧倒的な深い愛の物語かもしれない。

自分を大切にしないリシャールを身の回りから住処から何もかもを整えて囲い込んでいくウィリアム。リシャールにどんなに好きと伝えても全く伝わらない。

一冊を通して色んな出来事がありリシャールもウィリアムもだんだん変わっていくんです。
リシャールが守り愛したこの国、王、王族。リシャールの守りたいものを全て守ろうとするウィリアム。そうしないと安心してリシャールが生きられない。もう特に最後の章が感動の嵐です。

リシャールが戦時中に瀕死の状態が長引いたせいか、話し方や考え方がもしかして…?でもギリギリ障害ではないという設定で。
世間知らずの自覚はあるけど、あれ?俺はおかしいのか?って思うところ、それがめちゃくちゃせつない!
人生の半分近くを戦争の最前線にいたから、戦後の暮らしが幸せってニコニコしてて。
与えられる権利も使える権利も何にも利用しなくて。でもいざ国に危機が?って時には暴走してしまって。

リシャールにウィリアムがいてくれて良かった。ウィリアムにもリシャールがいてくれて良かった。
私もリシャール友の会に入りたいです。

ザイル団長やウィリアムパパ視点も2人を知る上でとっても良かったです。

1

2人の愛は平和のシンボル

まず。
表紙を見たとき、どっちが若い男で、どっちがおっさん騎士?と思ったのが第一印象でした(笑)
金髪の方が「若い男」で、手前の黒髪の方が「おっさん騎士」。よくよく見ると、髪の毛の上の方が白みがかっていて、それは光に当たってる光沢感のせいではなく、実は白髪だったりします。
挿絵の方では年相応に描かれているので、ちゃんと"おっさん"です^ ^
のんびりと穏やかな性格のリシャールが魅力的に描かれており、おっさんなのに可愛らしいリシャールを視覚的に楽しむことが出来ました。

因みに。
表紙では愛おしげにリシャールを見つめるウィリアムですが、公爵家の長男らしい美しい見た目とスペックの持ち主であるにも関わらず、中身は破天荒なやんちゃ令息です。問題児の側面を抱えたこの男のリシャールへの執着と溺愛は変態的です。
いい意味でも悪い意味でも貴族の子息っぽくないウィリアムは、リシャールが絡むとちょこっとアホになります。リシャールのことを何度も「エロい」と連呼しては大騒ぎする始末……(笑)リシャールを性的な目でしか見られない男のトチ狂いっぷりをどうぞ最後までご覧下さいませ。

ヤバい男に好かれたリシャールの身の安全やいかに!?…と、心配になりますが、そこは心配ありません。何せ、リシャールは「若い男に恋するおっさん騎士」。つまりは相思相愛な関係だからです。
「若い男に恋するおっさん騎士」だと少し心許ない感じがするのは、ウィリアムの強烈なキャラクターのせいかなと思います。ウィリアムの執着独占欲があまりにも存在感が強く、「おっさん騎士に執着する若い貴族騎士」と言い換えた方がしっくりくるかも知れません。
周りの人たちを巻き込んでリシャールを囲い込み、リシャールを自分だけのモノにしようと画策する公爵家の長男は、両親にも、叔父である国王にも、上司の騎士団長にも誰にも手がつけられませんが、リシャールがウィリアムの良いストッパーになってくれているところもあり、何だかんだでお似合いのカップルです。

ウィリアムは変人だけど、リシャールも相当な変人。ただ、リシャールの変人っぷりは、彼本来のキャラクターというよりも、戦争によりそうならざるを得なかった部分の方が多いんですよね。
リシャールから何気なく発せられるセリフや思考は、戦争の最前線を知っているからこそ出てくる言葉で、すごく心に響きました。彼の戦うことへの向き合い方や亡き仲間たちとの繋がり、平和な世界になったことへの幸福感……セリフ1つ1つがすごく重いです。
救国の英雄である彼にしか分からない激戦地の景色や悟りの境地は、ラブコメ感の強い物語をキュッと引き締める効果もあり、ただの歳の差ラブコメBLではないことを実感できると思います。

色んな登場人物たちから見たリシャールやウィリアムのキャラクター像によって、2人の恋愛模様がどんどん面白くなっていくワクワク感は、この作品の醍醐味です。彼らが結ばれる過程より、結ばれる過程の舞台裏のあれこれに大爆笑でした!
嫌な登場人物もいないので、ずっと楽しさが続くストーリーは格別でした。
国家レベルで皆に見守られながら幸せを築いていく2人の愛は、戦争が終わった平和のシンボルのようなもの。末永く続いていくことを願います(*´︶`*)

2

戦争で砕かれた心が再生する恋

今回は見習い騎士と騎士訓練所の教官のお話です。

終戦で騎士訓練所事の教官となった受様が
見習い騎士の攻様の伴侶になるまでの本編と
後日談5話を収録。

地方の男爵四男に生まれた受様は
躰の丈夫さが取り柄で騎士になります。

騎士にはなった当時は平和でしたが
隣国に攻め入られた戦争は徐々に厳しくなり
若い騎士も戦場へ行かされます。

ベテランとなった受様は最前線で戦い続け
受様が足を痛めてながらも敵将を打った事で
勝利で終戦を迎えます。

18才から15年間を戦地で過ごし
足の治療で2年ほど入院していた受様は
退院した頃には35才の何もないおっさんに
なっていました。

戦争を勝利に導いた立役者として報奨金をもらい
傷痍軍人として手当も出るので
慎ましい生活なら困らないかと思いますが

唯一の趣味だっ綺麗なものを見に行くにも
松葉杖では思うに任せず
何もすることがないままに過ごしていると

唯一の同期となった騎士団長から
騎士団の訓練施設での教官職を紹介されます。

受様は緩い指導で騎士となった仲間達を
沢山失っていた為かなり厳しく指導したため
見習い騎士の反発されますが

鬱憤晴らしの嫌がらせまでされますが
歴戦の猛者の受様にはじゃあい程度です。

若くてきらきらな見習い達を見るのは楽しく
特に美しい金髪と澄んだ青い瞳の美丈夫で
見習い騎士の中で1番強い攻様がいると
いつまでも見ていたいと思ってしまいます。

初夏になっばかりの頃
攻様の次に強い見習い騎士に手合わせを
強請られます。

救国の英雄である受様に
見習い騎士が束でも勝てるはずもなく
受様の1人勝ちなはずでしたが

自棄になった最後の1人が繰り出した剣を
受様はぼんやりと受け止めようとしていて!?

WEB小説サイト「ムーンライトノベルズ」掲載作を
加筆修正しての書籍化で救国の英雄である受様と
騎士を目指す攻様の年の差ラブコメディです♪

受様へ向けられた剣は
攻様に呼ばれた騎士団長に阻止されます。

攻様は受様がリンチに遭うと思い
騎士団長を呼びに行ってくれたのです。
騎士団長は受様が怪我すらしないと思っていましたが
偶然で死のうとしていて危険視します。

一方、受様の強さを知った見習い達は
受様の指導を嬉々として受けるようになり

ある誤解から受様を内心敵視していた攻様も
受様の強さと相反する天然すぎる言動から
目が離せなくなっていくのですが

公爵家長男ながらも家督を継がず
騎士を目指す攻様もかなりな曲者なのですよ。

そんな攻様に受様がどう絡め捕られていくのかと
ワクワク&ドキドキ、攻様が受様を伴侶とまで
大変楽しく読ませて頂きました ヾ(≧▽≦)ノ

タイトルはいかにもブコメな雰囲気で
受様が攻様よりかなり年上で自己肯定感が低いため
コミカル要素が際立ってはいますが

戦争で殺人兵器となった受様の様子に
戦いがいかに人を壊すかもシビアに描かれていて
とても重いテーマも内包する物語でした。

2

愛され変わっていくひとりの英雄のお話

なんの予備知識もなく読みましたが、国を救った自覚もなく何も求めず生きていたリシャールがウィリアムに出会い、生きる意味と自分が本当に欲しかったものを見つけるまでのお話に、どうかこれからもずっと幸せでいてと願いました。
愛されているという自覚のないリシャールと、彼のことが好きでたまらないウィリアムのやり取りは時にはちぐはぐで滑稽で、思わず笑ってしまいます。
特に好きなのが『青と白と猫の街』
あのリゾート地をモデルにしているのかなと、美しい街並みと景色の間を歩く二人を想像して嬉しくなりました。そして!リシャールが出ていくシーン、あんな手紙とあれを置いていったら大変なことになるよ!?!?と叫びそうになってしまった笑
特筆すべきはたまじ先生のカバー。とてつもなく美しい。リシャールの手にはウィリアムの瞳と同じ色の石が嵌まった指輪、本から外してみたら、裏表紙には小瓶も描かれていて、細部までこだわりの作画に物語の解像度が上がりました。マジで額装したいくらい。
ストーリーもカバーも挿絵も全部ひっくるめて素敵な一冊でした。

3

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