NEWイラスト付き
only one ~sekai ni hitori dake no jinkou omega wa himeta koi ni aegu~
オメガバース作品にも色んなストーリーがありますが、こちらはSF要素が混じったオメガバ作品。イラストを担当された蜂巣先生の美麗な表紙が目を引く一冊です。
系統としてはミステリーあり、シリアスありの、なかなかに謎めいたお話です。
オメガが滅亡した世界のストーリーで、アルファとベータしかいないという状況下でベータだった主人公がオメガ化し、世界でたった1人だけのオメガになってしまったことから始まる物語です。
これがただのバース性変異なだけのストーリーになっていなくて、その裏に隠された真相がめちゃ面白い。全世界に影響をもたらすオメガ化の事実が、まさかたった1人の男の執着からきてることだなんて、始まりの時点で予想できた人はまずいないでしょう。終盤に差し掛かって見えてくる真実にはドキドキの嵐でした。
読み始めたときは、アルファの養父に片想いしてるお話なんだと思ってました。
主人公・秋弥に寄り添う研究員のアルファの冬真が登場してイイ仲になるや否や、優しかった養父が不穏な空気感を纏いながら秋弥に執着し始めて、一気に三角関係に突入します。
この三角関係も、実は四角関係…?な感じで、事態は思わぬ方向に進むことになるのですが、養父に隠された秘密というのがトンデモナイ真実でした。
養父には秋弥を引き取ったときから綿密に温めてきた計画があり、全世界を巻き込んだオメガ化計画の全貌を知れば知るほど、驚きと失望の連続です。
しかしながら、養父のただの自己満足から始まった研究の成果は思惑通りに事が運ばず、冬真と秋弥の真実の愛に目覚めさせるというキッカケづくりになったことがストーリーの要の部分。片恋をしていた養父に対する気持ちの変化や、冬真に徐々に惹かれていく過程は大きな見どころだと思います。
身体から始まった関係に色味を帯びていくところや、愛の逃亡劇といった恋愛面での盛り上がりは抜群でした。養父の狂気がその裏に見えるせいか、スリル感も満載です。
冬真がとにかくカッコ良くて最高。やることなすこと頼り甲斐があって、アルファっぽくないヤンチャさとのギャップ巻もすこぶる良かったです。
しかもこの作品、メインカプは良いとして、あのアルファカプについてのスピンオフがもしやあるのでは…と感じさせる終わり方に期待感MAXです。
愛を失ったあの男に新たな春が訪れるのか否か。スピンオフとしていつかの日にぜひ読ませて欲しいです!