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今では、中古本か電子書籍でしかお目にかかれないであろう、古い作品です。
ヒトゲノムや、遺伝子組み換えの研究が話題になっていた時代的背景も感じられるこの作品ですが、クローン人間の研究が、ちょっとしたカラクリになっています。
航には天才科学者の父親がいて、病弱だった母親は、航を出産後、他界。その後、自分の秘書だった女性と父親が再婚。弟の陸が生まれる。
実は、他界した航の母親の受精卵から生まれた子供が陸。そのことを初めは納得していた筈の継母は、いつしか精神を病み、航は1人孤独を抱えて成長する。
継母の異常な陸への執着を断ち切る為、カウンセラーが間に入り、陸はすくすくと成長。航も陸を可愛いがり、兄弟仲も健全なものとなっていく。
その後、航の前に現れたのが、優秀な研究者の卵である須藤。彼は、大学受験の為、アメリカから帰国。知人を介して航の家に預けられる。天使のように美しい容貌と、自分に優しく接してくれる 兄のような存在。そんな須藤に航は憧れ、いつか自分も須藤のような大人になって、父親の研究を支えたいと願う。
しかし、航の父は須藤と親しくすることを良しとしない。須藤への思いが深まる中、大学に合格した須藤は1人暮らしを始め、一度は繋がりが途絶える。
そして、航が高校に入学する頃、父親の渡米が決まり、航と陸は日本に残り、知人の元に預けられる。
そこからストーリーは動き始めます。渡米後、父親と継母の乗ったバスが爆発事故に巻き込まれて死亡。須藤との再会。
父親の事故は須藤により仕組まれたもので、爆弾を取り付けた犯人も須藤。父親の研究を盗むことが目的だったことを航は知る。
既に航は須藤に夢中になっていて、戻れないところにまで来ている。だから、須藤に抱かれ、背中に爪を立てたと言って、航は須藤に両手の爪を全て剥がされたり(しかも、アイス・ピックで)、かなり酷い目に合わされていても、航は須藤を選ぶ。ようやく爪の傷口が癒えて、新しく爪が生えてきた後も、航は須藤の背中に爪を立て、自ら両手を差し出して、爪を須藤に剥がしてもらう。。
人格破綻者のような須藤は、実は子供(6才)の頃に目の前で家族を殺害され、その犯人に犯され、更に犯人に解体された両親の肉を無理やり食べさせられ、最後に犯人が自殺。正気を失った状態で保護された過去を持っていて、催眠療法で日常復帰できるようになった。。とは言え、人格破綻者になってしまうのも頷けます。
そして、航の父親の研究を狙う組織の手は、平穏に暮らしていた筈の弟、陸に及び、航が駆けつけた時には、陸を預かってくれた知人夫妻は惨殺され、再会できた陸も標本のように、水槽に入れられた状態に。。
そして、航は自分自身の出生の秘密に気が付く。
と、もう最後まで痛いシーンの連続です。描写も生々しいので、苦手な方は回れ右!です。
最終的に、航の無償の愛に、須藤は人としての大切な心を取り戻し、同時収録の書き下ろしで、恋人らしい甘さを見ることができます。
個人的には、あまり萌えを感じませんでしたが、何度か繰り返し読むことで、作品の痛さも昇華できました。受けの健気さ、攻めの病み具合が好みの方もいられるかもしれないですね。