愛する人にはいつだって捨てられる運命だから

aisuru hito niha itsudatte suterareru ummei dakara

愛する人にはいつだって捨てられる運命だから
  • 電子単話
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神5
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

21

レビュー数
1
得点
25
評価数
6
平均
4.3 / 5
神率
83.3%
著者
SKYTRICK 

作家さんの新作発表
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イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
ブルームーンノベルズ
電子発売日
価格
ISBN

あらすじ

「綺麗だな。お前はいつまでも美しい」孤独な青年ミカは男爵家の使用人として働いていたが、突然恋人の男爵令息に裏切られ謂れのない罪で屋敷から追い出されてしまう。不吉と言われる黒猫の獣人のミカは、いつも愛した人に裏切られ捨てられていた。身も心も弱り黒猫になって森を彷徨っていると、侯爵家の三男でありながら豪商であるライハルトに拾われる。しかし人嫌いな彼はミカをただの黒猫だと勘違いしているようで……? 「俺が拾ったんだから俺のものだ」人間の姿でいても、なぜか事あるごとにちょっかいをかけてくるライハルト。そんな彼に言い返すと、彼はなぜかいつも楽しそうで……? 愛を知らない二人が愛を知る、純愛ラブストーリー!

表題作愛する人にはいつだって捨てられる運命だから

27歳、侯爵家三男、リゾート地を運営する敏腕経営者
18歳、黒猫に変化する青年

その他の収録作品

  • 番外編

レビュー投稿数1

悲しいタイトルの裏に隠された真の運命に触れてみませんか?

なんて物悲しいタイトルなんでしょうか。
諦めと哀愁、悲痛な思いが読む前から伝わってくることに、何となく手に取るのが躊躇われてしまいますが、作者はSKYTRICK先生ときたら読むっきゃないっしょ。ということで即購入です。
……しかし。なぜ電子配信しかしてないのか。このレーベルさんは電子配信しかしていないとはいえ、紙書籍でも持っておきたいくらいのシロモノです。
内容は言わずもがな。挿絵のyoco先生もですが、私が作家買いをしている御両名のタッグとあれば、紙版でも欲しい逸品です。表紙の美しさ、儚げで夢見心地に誘われる挿絵と、洗練されたファンタジックストーリーの面白さに虜になってしまいました。

切なげなタイトルは確かに主人公・ミカの生い立ちと、今現在置かれた状況の過酷さを裏切りません。
物語の始まりの1ページからドン底に追い込まれる主人公・ミカ。いきなり手厳しい扱いをされてしまうストーリー展開には苛立ちと悲しみでいっぱいでした。
傷を負わせてしまったキッカケでミカを保護するに至った敏腕経営者のライトハルトとて、最初からミカに優しい態度ではないんですよね。結構オレ様だし、猫に変化するミカを見て、人間じゃなくて猫の姿でいることを強要するような男です。
それに加え、ミカの過去を知る昔馴染みの知り合いから恐喝と暴力を受けたり、ミカにとって家族同然の大事な存在の死を知らされてしまったりと、ミカの不憫さがエゲつない……。読む手がなんとなく進まず、スクロールする指どりが重だるくて仕方ありませんでした。

しかしそこはSKYTRICK先生。ちゃんと分かってらっしゃいます。
救いの光の道をちゃんと用意しているのが、SKYTRICK流。私はこれまでSKYRICK先生の作品を何作も読んできましたが、ドン底にある主人公が幸せになっていく期待値の成就度はピカイチです。もちろん本作も例外ではなく、ミカの不幸から幸福へのシフト転換がとっっっっても楽しくて、ワクワクとスカッとで気分は最高潮です!

ライトハルトがミカを苦しめた輩共を華麗に成敗し、気持ちの良いほどミカを守り抜く姿がとにかくカッコいい!!権力と財力ってやっぱスゴい……身辺調査も抜かりなくでしたし、ミカの不安材料を根こそぎ解消していくあの断罪ショーの爽快感たるや。めっちゃゾクゾクしました。ミカを傷付ける、または傷付けてきた敵に対する情け容赦ないフルボッコ具合がヤバい……面白すぎるー
ミカを大事に思うライトハルトの本心がしっかり伝わってくる一幕でしたし、ライトハルトの中でミカの存在が大きくなってきていることの証拠でしょう。最初の頃は、人間の姿より猫の姿でいろなんて言っていた塩ライトハルトも、いつしか人間の姿でいることを求めるようになっていく甘ライトハルトへと変身。ライトハルトの心境の移ろいに大いに注目して欲しいです♪( ´▽`)


そんなライトハルトの寵愛を一身に受けるミカですが、彼のルーツは非常に複雑。血筋、生い立ち、獣化体質といったミカの抱える背景はワケアリ感がてんこ盛りです。そしてそれはライトハルトにも言えることで、彼の出自と生き様もなかなかに過酷です。
こうして2人の過去から掘り下げていくことにより、ストーリーによりグッと深みが増してくるので、物語からますます目が離せません。
過去があるから現在が生きる。2人の生き様にこんなにも感情移入できてしまうのは、過去から繋がる現在への描写が非常に細やかに語られているからでしょう。
ライトハルトのハングリー精神も、ミカの諦めの境地も事情はそれぞれ。2人が惹かれていく過程に納得できるストーリーがとても素晴らしかったです。

物悲しいと思っていたタイトルも最初だけ。
タイトルの意味など吹き飛ばしてしまう多幸感いっぱいの結末をぜひ最後までお見届け下さい。

6

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