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kodokuna housekishou ha koi o shiru
作者の一条珠綾先生は、前作の星詠みのお話といい、今作の宝石のお話といい、透明感のある美しいモチーフをベースに書きこなすのが非常に上手い作家さんだと思いました。
今作は、宝石がモチーフとなっていて、たくさんの石が登場します。
この作品の中で、宝石は特別なものであると同時に人々の日常生活にも根付いているというのが特徴的な設定。高価な宝石は単なる宝飾品ではなく、石が人々の心の拠り所にもなっていて、宝石のお祭りがあるなどちょっとした信仰心の対象となっていることもまたユニークで面白いです。
そんな宝石を取り扱ったこの作品。まさに宝石の名を冠したルビー文庫さんから発売されたことに何か運命を感じたのは私だけでしょうか^ ^
宝石の妖精の愛し子とされる赤い瞳を持つルベルの瞳の色は、ルビーと同じカラー。ルビー文庫さんとの相性もバッチリな作品だと言えるでしょう。
煌びやかなたくさんの宝石に囲まれたこのお話は、運命の力に引き寄せられるが如く、自然に惹かれ合っていく2人の恋のお話がとっても素敵なストーリーです。街中で助けてくれたゼノとの出会いや、徐々に想いを寄せていく恋の導きはウブさや戸惑いが好意に滲んでドキドキの嵐でした。
実はゼノの身分は……といったところのサプライズにもぜひご注目を。
ゼノの身分を知らないままに、恋を芽生えさせていく展開は分かっちゃいるけど楽しいです(笑)
とは言え。ゼノやルベルの抱える生い立ちや生き様は重くて暗く、宝石の持つ幸せの象徴とは別のベクトルで生きてる2人の背景には心掴まれるものがありました。"孤独な宝石商"とタイトルにはあるけど、ゼノの方も気持ちの上では孤独に生きてきたという点で2人よく似ています。
惹かれ合っていく過程の中で、ゼノの婚約者の存在にモヤついたり、ルベルの家族特有の病が発症したりと、2人の恋の道はなかなかに波乱です。
特に。恋の病とも言えるルベルの抱える病気の謎は、その真相を含めて驚きの事実のオンパレードでした。
色んな事実が露わになっていく終盤は見せ場が盛りだくさんでしたが、やや駆け足気味にも感じました。大事なターンだけに、もう少しタメがあっても良かったかもです。
ルベルの幼馴染の医者の息子の失恋の後処理の仕方とか、ちょっと雑さが見える部分もあったりと、少しだけモヤッとする場面もちらほら。お騒がせな親たちに振り回されてきた子どもズに同情してしまう思いも拭えませんでしたし、終盤の駆け込みエンディングの回収はもう少し話を詰める余地もあったかなと思いました。