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canon
1冊丸ごと2年次の夏休み中の出来事が描かれています。
時系列的には、前巻の「カリフラワードリーム」より前のお話になります(「カリフラワードリーム」は9月のお話なので)。
表題作の「カノン」は、8月に井上佐智の別荘で行われるサロンコンサートへタクミ君とギイが招待されるお話。
ただ、ギイはアメリカにいるし、タクミ君も母親から反対され、前途多難の予感。
このお話には、佐智の恋人も登場し、佐智のかなり切ない恋愛がちょっと見えてきます。
佐智は外見が女性の様に美しいために、性格もそうなのかな?と思いがちなんですが、なかなかどうして、普通の高校生よりはよっぽど世間を知っている佐智はとても強くて、凛としています。
彼が発した言葉で印象的なものがいくつかあって、心に残りました。
同時収録されている「夏の序章」は、吉沢x高林カップルのお話で、夏休みに入って間もなく行われた弓道の県大会とその後の2人のお話。
「カリフラワードリーム」の中の「てのひらの雪」のラストで利久が聞いた、吉沢が高林を下の名前で呼ぶようになった経緯が書かれています。
高林君、相変わらず甘えんぼの意地っ張りで、感情表現が素直になれないみたいです(笑)。
ギイの幼なじみでバイオリニストの佐智にサロンコンサートに誘われたのをきっかけに、託生が自身の中の音楽を見つめるという2年生夏休み編・その1。
シリーズの中でも好きな話。
他のサロンコンサートの演奏者に見下されても根に持たない所、ギイや佐智のようなバックグラウンドの華やかな子達がすぐ側にいても勘違いする事ない素朴さとか、託生のいい面が出ている話だと思う。
この話を読んだ当初から「今が大切にできなくてどうして未来が輝くだろう」って一文がずっと印象に残っているのだけれど、他にも「自信は自惚れではなく努力の積み重ねだよ」とか、「俺の腕は二本しかないから抱きしめてあげられるのは一人が精一杯だ」とか、いいね~って一言がちりばめられている。
母親との歩み寄りが見られたり、ギイと痴話喧嘩したりすぐ仲直りしたり、1学期で変わった事がいい方向に向かっているのがわかる。
そして春風にささやいて、カリフラワードリーム、と来て今作は一瞬で読めてしまいました。託生と母親の距離が縮まっていく様は見ていて本当に気持ちがよかったです。託生の心境の変化も以前に比べナチュラルだったように思います。また、好きの形や思いの在り方をわたし自身考えさせられたようにも思います。好きって以外にたくさんの意味があるんですよね。ギイの「お前、怖いよ」って言葉には胸が締め付けられるようでした。ストンと落ちて染み渡るお話たち。ーーそれにしても吉沢と泉は初々しくてひたすらに可愛かったです笑。
タクミくんがバイオリンに目覚めかける巻です。
タクミくんとギイは相変わらずラブラブ。
佐智×聖矢カップルも登場しますが、番外篇の「夏の序章」が良かったですね。
あの麗しのシャオシュピーレリンな泉くんと道雄の話。
お互いにアザと引っ掻き傷だらけのケダモノのようなむさぼりあいをしつつコトに挑んで、「結局できなかった」ってどないやねん!みたいな。
でもそれでいいんです。なぜならタクミくんシリーズだから。