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kirei.
姉の彼氏に強姦された過去を持つ主人公が、恋人ができてから自身のトラウマに気付き、克服していくお話。剛毅の彼氏村野の見えない熱さと奮闘も良かったし、友人たちの温かみもとても良かった。
容姿端麗な剛毅は、幼いころから変質者に狙われながら生きてきた。そうした視線には慣れていると言い、かつて強姦された記憶も、自分の中では忘れたものだと思っていた。人見知りで、友人付き合いは狭く深くなタイプ。
村野は厳つい見た目と無口かつ表情もあまり変わらないせいで、見た目は怖い。内面は面倒見がよく料理が得意で、懐が深い。剛毅視点で見る村野は、おそらく顔には出ていないだろうに、感情豊かで可愛かった。
二人が付き合い始めるまでは、初心なムズムズはありながらもスムーズ。だがいざそういうことになった瞬間に、剛毅の中で過去のトラウマが蘇る。
そうして事情を知った村野は、高校生とは思えない忍耐力と冷静さと包容力と精神力を発揮し、自分なりのケジメを付けに行く。まあ瞬間的に沸騰してしまったが、その後の剛毅への接し方は大人すぎる優しさで、すごいとしか言えない。
また、忘れてはいけないのは、剛毅の友人たちの協力。熱い感情のままに行動する高校生たちの姿に、ちょっと泣きそうになってしまった。
少々村野が過保護気味になってしまったところはあるが、剛毅との仲は一生続きそうな安定感。というか村野が絶対剛毅を離さないだろうと思える。
シリアスなテーマだが、剛毅の周りの人たちが皆善良な精神を持っている感じで、安心して読める。村野の溺愛ぶりは感動ものだった。