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shinonometorao ha kataomoi wo shiranai
まさか続きが読めるなんて。
特にナンバリングもされていなかったので、1巻完結かと思ってました。
あのカプのその後、あのキャラのその後、あそことあそこはどうなるんだろうかと色々と消化不良な面もあったので、続きが読めてすごく嬉しいです。
虎雄と禮一郎のメインカップルのみに収まらない、様々な恋愛のドラマが幾重にも重なり合っている作品なのは前巻でもご存知の通り。前回の展開に肉付けされた内容と、新たに沸き起こった展開とで、前巻にも増して更に更に見どころ増し増しです!
虎雄と禮一郎のストーリーではサブキャラだった者たちが、また別の恋愛ドラマでは主役となり、虎雄と禮一郎の恋愛の影に隠れていた秘めやかな想いがどんどん暴かれていくと、この物語の見える景色が1つではないことに気付くと思います。
あのとき彼らはこんな気持ちだったのか、こんな想いで過ごしていたのか…など、胸がキュウっとなるシーンがてんこ盛り。彼はカレを想っていて、カレはあの子に想われている、あの子はあの彼に告白されていて、あっちの彼とそっちの彼は両想い……といったように登場人物たちの錯綜する想いから片時も目が離せません。
自分の想いに正直な者もいれば、この想いを伝えずに隠し通す者もいます。皆が皆ハッピーエンドとならないのもリアルっちゃリアルです。
報われるのか報われないかは気になりどころだけど、恋の成就が見込めない者の気持ちに寄るときはすごく切なくなりました。
少年から青年へと移ろいゆく過程の、複雑で繊細な心情描写がとても巧みで、青くさくて甘酸っぱい恋や恋愛を奏でる作者さんの筆運びは神ワザとしかいえません。前巻よりストーリーが広がり、物語の世界が濃厚みを帯びていくことにワクワク感でいっぱいでした。
季節感を感じる時間の流れと共に少しずつ恋人として成長していく虎雄や禮一郎の恋愛模様は、さすがメインカップルなだけに読み応え抜群。今巻、ケンカのシーンがあり、しょっぱい展開もありましたが、2人にとっては必要なことだったと思うし、甘々なだけじゃない彼らもそれはそれで良かったです。まぁ、今巻は2人が初めて結ばれるシーンもあるので、甘々には変わりないですけどね^ ^
あとがきの作者さんの言及を受け、私、この作品についてどうやら思い違いをしていたようです。
「東雲虎雄は片想いを知らない」のタイトルを、そのまんまの意味で解釈してましたが、作者さんがこの物語は禮一郎が主人公だと仰っていたのを聞いて、あれ?違うなと。なるほど……これは、禮一郎の感想だったんだなって。
実は虎雄に想いを寄せる者が複数人出てきますが、でも虎雄はそのことに気付いていない。それを受けての「東雲虎雄は片想いを知らない」なんだなぁと。あくまで私の解釈ですが。
男女問わずなんつーモテ男なんだ、虎雄!昔はヤリチンだったとは思えぬ……(笑)
虎雄は今や禮一郎一筋の優男ですが、かつてはそんな恋愛観を持ち合わせてはいませんでした。虎雄がヤるだけの関係だったであろう元カノたちが登場し、虎雄の過去を知ると、虎雄のお株が下がります。虎雄にまともにカノジョ扱いされていなかった彼女たちの気持ちがとても切なかったです。
虎雄をジト目で追いながらも、禮一郎を泣かせたら許さないという気持ちで、見守ることにしましたが、ちょっとはザマァに遭って欲しい気持ちも無きにしも非ず……(笑)しかしながら、誠実な男に変貌を遂げた虎雄の過去と現在の真逆さは、禮一郎とのことは本気で特別なのだなと思える指標にもなりました。
虎雄と禮一郎カプはともかくとして。他の登場人物たちの複雑な恋愛相関図が、今後どのように変化していくのか見ものです。
続刊もあるようなので、引き続き注視して見届けていきたいと思います。