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husky to kare no shironeko shizun
第3巻の発売を機に、肉包不吃肉先生の超名作『二哈和他的白猫師尊』を拝読しました。
本当に本当に面白すぎました……。
前世で修真界の頂点に登り詰め、悪事と残虐の限りを尽くした挙句自ら命を絶った主人公、墨燃。
その墨燃が前世と今世にまたがる深い愛憎と執念を昇華しつつ、修真界を巻き込む大きな事件の謎に迫っていく物語です。
非常に入り組んでいるものの、特に第1巻はコメディとシリアスのバランスが巧みでページを捲る手が止まりません。
あまりの面白さに、一冊400ページ超だというのに一冊1日ペースで読んでしまいました。
二度目の人生を送る墨燃が、ひとつひとつの出来事を通して少しずつ変化していくさまの描写、彼の性質の掘り下げが素晴らしいです。
彼も自分で自分の感情が上手く言語化できていなかったり、自分でもなんなのかよく分からない所有欲や執着心に困惑したりと、とても人間味があります。
そして不器用でツンデレどころかツンツンツンツンツン(デレ)の師尊、楚晩寧。
優しさも喜びも寂しさも心の痛みも、すべての感情を上手く表に出すことができないその頑なな心情、この描写がまた素晴らしい。
本人の立場やプライドもあり、難しい顔をして周りから一歩引いて “自分には愛だの情だのは必要ない” というスタンスを取ること、これが彼にとっての最大の防衛方法なんだろうなと。
それらの愛や情を渇望してしまったら、自分がとても惨めに感じられてしまうから。自分から欲しいと言えたならどんなにか良いのに。
でも、言えないんですよ……。そんな他人に尻尾を振るような真似はプライドが許さない。
だから、自分には必要ないし興味もないという顔をすることで自分自身を守っているという。
めちゃくちゃ人間味あります……。
今後、この二人がそれぞれにどう変化していくのか。
続きが心から楽しみでなりません。
中華BLは、天官賜福しか読んだことないです。
邦訳小説が発売される話が出る前から、2haが気になってたので念願の2haデビュー。
原作ほ読んでない(読めない)です。
たぶん神視点。
攻め視点がメインで進んでいたのに急に一、二行だけ受け視点というか、攻め視点では知ることの無い相手の気持ちの描写が入るから、これは墨燃が思ってる事なのか楚晩寧が思ってることなのか? と困惑する。
一人のセリフで括弧が分割されてたりするから、ちくわ大明神現象になる。
A「分かりやすくカッコの前に印つけます」
B「連続で括弧があるセリフを書かれたら、二人が交互に会話してるみたいだけど〜」
B「後半は会話じゃなくて一人のセリフだよ〜」
え、Aがそんなこと言う? みたいになる。
でも個人的には、天官賜福よりも訳が読みやすいと感じた。
攻めの墨燃、受けの楚晩寧、とにかく二人のキャラクターが最高。
前世での墨燃が楚晩寧を陵辱して殺した話が出る度に、もっと詳しく事細かに詳細に! ってテンション上がってました。
受けは攻めの事が好きだけど、攻めは受けを嫌ってる、ってシチュが大好きなので、二十四章で楚晩寧の想いを目の当たりにした瞬間、大激爆萌えしました。楚晩寧のツンデレレベルカンストしてる。
墨燃が師昧を好きな上に、師昧と楚晩寧の中身が入れ替わったりするから、楚晩寧の気持ちを考えると切ない気持ちになる。
設定も粗筋も知っていたがいざ読んでみると、楚晩寧が転生したバージョンがとても読みたくなった。セルフわからせが見たい……。
次の人生で、墨燃にめちゃくちゃ優しく甘やかす楚晩寧IFが読みたい……。
中華ジャンルでもかなり定評が高く、日本語版を待つ声も多かった二哈。誇張なしで海を越えて世界中に愛されている作品です。(海外版で完結まで読了済みですがネタバレは避けて感想を)
▽個人的二哈の見どころ2つ
『愛憎劇』
私は攻めが受けを『大嫌い→大好き』になる展開が大好きですが、肉まん先生の作品はまさにそれです。前世、墨燃は恩師の楚晚寧を尊敬していましたが、冷たい態度やある事件をきっかけに憎むように…。人界を牛耳った墨燃は楚晚寧を軟禁や凌辱し、最終的に楚晚寧を殺して自分も自害するところから物語は始まります。十数年前の自分にタイムリープした墨燃。徐々に明かされていく墨燃の楚晚寧に対する狂気的執着と独占欲が闇深く刺さる人にはたまりません。
今世の墨燃は軟禁時代楚晚寧と長く時を過ごしたので、楚晚寧好みから寒がりな一面まで受けのことを一番理解しています。随所で見せる墨燃の楚晚寧の詳しさや行動から憎悪だけではない感情が垣間見えるのが萌ポイント。さらに、前世では気づかなかった楚晚寧の優しさに今世の墨燃が気づき、少しずつ心情が変化していく過程が魅力的です。
『肉まん先生の表現力』
骨太ストーリーでありながらしっかり盛り込まれたえちえち展開、情景描写、比喩表現、文末の締めくくり、伏線回収、どれをとっても天才的でとにかく筆の力が強い作家様です。
楚晚寧の名前を使わずとも、楚晚寧を指す何かを仰ぎ見る墨燃をみれば今彼がどう言う気持ちなのか理解できたり、情景描写が鮮明に浮かび上がります。読者の心を揺さぶるのが本当にお上手です……。全てを書き切らないことで読者に想像の余地がありそれがまたエモエモで良いです。
すぐに甘くなるわけではなく、重厚なストーリーである為長いお話ですが、だからこそ人生に残る読書体験が出来る作品です。
たくさんの人に届いて愛されて欲しいです。