お買い得商品、セール品、中古品も随時開催中
nemuru usagi
主人公里見浩一は、高校2年生。優柔不断な性格で、クラスメートの女子遠藤にそそのかされてゲイ雑誌の文通募集のページに大学生だといつわって投稿してしまう。
返事が帰ってきてしまい、遠藤が会いに行って見てみようと、またまたそそのかされた浩一は、そこで待つ人が同じ高校の教諭だと気づいてしまう。
遠藤とも別れ再び待ち合わせに帰ってみると、4時間も経っているのにまだ待っている高橋。
罪悪感からつい声をかけてしまい、緊張から振るえる高橋があまりに純粋で、つい断れなくなって再び会う約束を交わしてしまう浩一。優柔不断すぎ!
高橋はゲイである自分を恥じ、臆病で職業も名前も偽って、その臆病さが、タイトル「兎」なんですねえ。
いつしか、高橋のことが好きになった浩一ですが、高橋が臆病であることがよくわかっているだけに、同じ高校の生徒だとは言えなかった浩一。
でも、ばれちゃんですね。。ショックで逃げ出してしまった高橋。高橋に拒否され、無力な高校生であることを突きつけられた浩一は、がたがたに。。
高橋のおどおどしたおやじっぷりにメロメロになってしまいました!
1995年の作品ですよ。13年も前の作品なのに、おじさん(実年齢は26才ですが、高校生視点なので、すごくおじさんぽい。。(T_T))の純情のかわいらしさをすでに描くとは、木原先生の先見の明に、脱帽です。
BL界の重鎮、木原音瀬先生の実質デビュー作とあって、どんだけ初々しいんだろう、と読んでみたら…たしかに初々しい。しかし心の機微を丁寧に追っていて、たいへん好感が持てます。
まあ、木原先生ですから、なんだこりゃ雑だな、というのはあまりないでしょうが、展開だけで強引にガンガンすすめていく作品もある。
例えばね、同じ高校生と冴えない高校教師を主軸にした『情熱の温度』なんて、ワタクシ的には正直、頭を抱えてしまった。
一方、本作品は『情熱の温度』のような絶望的な恋愛ではなく、着実に前向きな愛なわけで、読後感が木原作品とは思えないほど(失礼)さわやか~~。
しかし、自分的に最強の読みどころは、二人が出会って間もなくのぎこちない迷いと戸惑い、断ろうと思いつつズルズルいってしまう浩一の心の揺れです。
同情のような、後ろめたさのようなものが次第に恋愛に傾いていくプロセスがとてもみずみずしい。しかし、『冬日』まで完読した時点で、そのある種のやさしさと優柔不断が運命だったのだと気づく。
安易に運命的な出会いなどというカギカッコはつけたくないわけですが、砂粒のような偶然や気の迷いが積み重なり、大きな運命の輪に育っていく、そうした浮世の妙を暖かく見守る視点がよろしいですな。
二人の出会いを主軸にした『眠る兎』はどちらかというと迷い、もがき、嫉妬という生々しい感情を主軸にしていますが、8年後の二人を追った『冬日』は過去を振り返りながら、ゲイというアイデンティティの原点をたどる旅と単なる恋愛以上の新たな模索を求めておりまして、おや、これはもしやBL作家木原先生の成長記なのだろうかと思ってしまった。
基本的に年下攻めはあまり好きでない私。
でもこのお話は押しつけがましい感じが無くて良かったな。
どうも年下攻めって言うのは、押しが強いってイメージで。
まぁBLカップルの場合は攻めが傲慢なのはテンプレみたいなものですが、年上がいくらそうでもいいんだけど、でも年下がそれは嫌なのよね(笑)
しかも誘い受けも好きじゃない。
地雷が多そうなこのお話。
でもでも、すきだなぁ。
受け取る人にとっては話もキャラも暗くてやだっ!って人いるかも知れませんが……
デビュー作らしいですね。
どこまでも淡々と、夏の描写があっても冬の寒いイメージ。
雪とか、白とか。
BGMはクラシック……みたいな、
そんなイメージが全編にします。
激しいセックス描写が多い作品よりも、こういう話をもっと読みたいなぁ……