日本最大級のハイブリッド書店
haru to shirazu ni ore tachi ha
【ネタバレありのあらすじ】
身内の縁に恵まれず育った風矢の幼い頃からの親友で兄貴分の大地。大地が風矢の妹と結婚するのは幸せな家族の形のはずなのに、微妙にボタンが掛け違ってしまう。果ては風矢の妹は、大地の運転する車の事故で亡くなってしまうのですが、そこで初めて明確に大地への気持ちが恋だと自覚する風矢。交通刑務所にいる大地との往復書簡の合間に回想が挟まる。
【感想】
手紙という独特の媒体を通ることで少し言葉遣いが変わったり、時間の経過とともに自己開示の度合いが変わってくるその変化の描き方が絶妙でした。また、ままならない恋心を抱えた主人公の放浪や心情の描写が巧みです。主人公たちや妹、母や伯母など、登場人物はみなどこか自己中心的で、だけど100%の悪人でもない。人間の弱さや愚かしさ、それでも誰かを求める気持ち。改めて人間を愛おしいと感じさせてくれるお話でした。