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mangetsu no otoshimono kesshousaibaishi to kioku wo nakushita mahoutsukai no hanashi

設定は面白かった。が、主人公は何か起こればつっ立ってるだけになり、読んでて楽しくない。各章タイトルがネタバレになっており、読む前に大事な出来事が分かってしまうのもなんだかなあ。攻めに守られる受けの話だった。
結晶栽培にまつわるノアのさまざまな設定が良い。親とのあれこれや正体不明の箱など、謎が散りばめられていると興味を惹かれる。ノア視点で、内面が見えないレンが記憶喪失というのも面白い。
レンは最初から武力でノアを守る存在になり、地位と権力も持っていそうなのは分かるので、記憶が戻ればノアが抱える諸々の問題は即解決しそうで、ある意味安心。実際には危機が訪れる前に救助され、レンの回復を待つまでも無かったが。
ラスボスと思われる敵の正体が分かると、伏線が微妙だったと思った。他にも文章表現のバリエーションが少なく、語彙不足に感じる場面が多々あり、これを商業小説と言われると不満。とはいえ他の人気BL小説もこんなものかも。特にWeb系。
最後のお片付けはサクサクあっさり。あんなに気持ち悪さを与えて来たキースは、名前さえ出ない状態で退場していた。で、大事なのは、レンはもうノアの知っているレンじゃないという悲観的な葛藤。共感できれば切なさを味わえそうな。
ラストは何とも言い難い。情緒があるとも言えるし、中途半端な印象もある。レンが迫ってノアが保留でBLらしい、受けに都合よく進むお話。実害あるキースよりレンにばかり噛みつくエランといったストレス要素もあり、たぶん読み返さない作品。