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kimi ga inakunattemo kyoushitsu ha soko ni aru

受けは追憶と罪の意識を抱えており、物語の前半にはやや重苦しい雰囲気が漂っています。一方、10歳年下の学生である攻めは、恵まれた出自や若さゆえの天真爛漫さがあり、彼だけがキラキラと色づいて見えるようでした。受けの世界はセピア色を思わせ、攻めの存在だけが鮮やかなコントラストになっている、そんな印象を受けます。
1000ページ近い長編なんですが、前半の鬱屈した描写はかなり長く感じられます。個人的には、もう少しコンパクトでもよかったのでは、と思う部分もありましたが、物語が動き出してからはとても良かった。2人で部屋を整頓していく中で、長く使われていなかった大きなガラス窓が現れる場面はとても象徴的です。光が差し込み、風が吹き抜け、景色が見渡せるようになる描写は、受けの心境の変化と重なり、印象に残ります。恋人のハミングを聞きながら寝そべる光景がロマンティックです。
攻めの進路のために距離を置くことを選ぶ二人ですが、ふとした瞬間に攻めの残像を感じてしまう受けの描写が切なく、胸を打たれます。若さゆえに突っ走りがちな攻めに対し、周囲の大人たちが厳しくも温かく見守り、時にツッコミを入れてくれる関係性が丁寧に描かれており、年齢差のある設定でも安心して読めるバランスになっています。
脇を固めるキャラクターたちも魅力的で、物語に厚みを与えています。また、魔術に関する設定やディテールが細かく描かれており、世界観が好きな方には特に楽しめる作品だと思います。
一方で少し気になったのは、物語の鍵となっているはずの「禁書」の扱いです。禁書とは何だったのか、亡くなった「彼」の名前や記憶のことなど、はっきりと回収されないまま終わったように感じられました。物語の主軸を感情の回復に置いた結果なのかもしれませんが、あれは事故だった、という印象だけで終わるのは、ややもったいないように思います。続編があればぜひ読んでみたいです。
読む人を選ぶ作品かとは思いますが、はまる方には刺さるタイプの物語だと思います。
蛇足ではありますが、最後にタイトルについて。欧米の文芸小説を思わせる響きで印象的ではありますが、BL小説として考えるとやや異質にも感じました。もう少しラノベ寄りの分かりやすさがあっても、より多くの読者に届いたのではないかな、と思います。
おすすめ! たぶん、ギムナジウムとかでも同じく。
ほんとにめずらしい情景描写が繊細なファンタジー、独特な世界観も楽しい。
設定にあまり触れられないが、著者の『今夜だけ生きのびたい』を既読だとわかりやすいかもしれない。(でなくても大丈夫)
繊細なのは感情の機微にふれて揺れ動くこころや、からだも、双方の視点から、少しずつ寄り添っていくさまも。
長い物語を終えると、すっかりよく見知った近隣住民の心持ちに。
この世界に自分が入ったら、本屋のアルバイトに雇ってほしいと思う。
魔力はちょっと多めを希望。
挿画は竹宮さんか、萩尾さんのイメージで読むといいと思う。
なぜこだわるかというと、このイラストもすばらしいのだが、今どきのは髪を巻かないよね。でも巻き毛が垂れかかる、巻き毛をかきまわしたい、巻き毛、巻き毛…などと書いてあるのだから、そこは巻いてほしい。巻き髪の美しさは上記二人などの描き方で、指ですいたりするのがぴったりくると感じるから。
長い物語はファンタジーが似合うね。なろうなどの投稿はだから合うのね。
「魔力」や「魔術師」のワードが色々出てくるお話なので、ゴリッゴリのファンタジー物語かなと思っていたのですが、登場人物たちの繊細な機微に触れるストーリーだったなって印象でした。
人間関係や心理描写といった内面のところで魅せていくお話で、もんのすっごいページあるんですけど、そのボリュームのぶんだけ物語の進みが非常に丁寧。なめらかな筆致と品のある文章は読みやすかったです。
物語はいうと、出会いは最悪だった2人が次第に惹かれ合い、愛し合うようになっていくというもの。年齢差10コくらいある歳の差BLです。
感じの悪い古書店の主人と、これまた感じの悪いインテリ学生との"感じの悪い"出会いから始まるお話。マイナススタートの初見がどうやって恋に発展していくのかドキドキしました^ ^
ミステリアス美人な古書店の主人であるソールに、冷たくあしらわれた将来有望な貴族学生・クルトの心情変化と態度軟化はかなりの見どころです。
ここまで変わりますか?ってくらい、ソールにベタ惚れになっていくクルトが最高!
貴族の子息なのにご飯を作ったりしてソールの世話を焼くわ、暇があればソールを探すわ会いにいくわの大型ワンコ^ ^ ソールに好意を持ち始めてから嬉しさのあまり、歌を歌いまくって皆に揶揄われるルンルンなクルトがめちゃ可愛いかったです。
そんなことも含め、年下のクルトの若さ故の勢いあるアプローチに何度キュンしたことか分かりません(*´∀`*)
恋を知り、愛を抱き、欲を覚えていくクルトのアツい想いは、ものすごく真っ直ぐで健気。将来有望のお坊ちゃんだけに、外野の煩わしい声や妨害がウザったいですが、そんな声にも負けずソールへの気持ちを貫こうとする熱量はさすがです。
想い合っているのに、ソールの置かれた複雑な立場やクルトの家柄が足枷となっている状況は切ない……。それでも逢瀬を重ね、愛の言葉を交わし合う2人の恋人同士の時間は胸アツなひとときでした。
そんな2人の恋愛ですが、歳の差ラブをただただ堪能するってわけにはいかず、ソールが魔力を失うことになった過去の言及、禁書となった〈本〉についての謎にも迫る展開もあり、ストーリーはなかなかに複雑な様相を見せていきます。
クルトとソールの愛の育みはしっかりとあっても、2人の背景にある色んな制約やしがらみのせいで、どことなく距離を感じる感触にモヤっとすることも。クルトから激しく求愛されているのに、卒業までの関係だろうと、クルトの愛に思いっきり寄りかからないソール心の寂しさはやるせない思いでした。
ワケアリ店主に恋した学生の執着や愛の重さはハンパなく、好きな人の側にいたいと強く願う年下の本気にはめちゃシビれましたヽ(´▽`)/
最初のあのツンはどこへやら(笑)ソールに恋することでどんどん男前度が上がっていくクルトの成長を見守るのが楽しくて堪りませんでした。
全体的には納得のエンディングでしたが、細かいところでいくつか気になる点があったので、完全スッキリ!……とはならなかったです。
クルト父が2人のことを認める姿勢がハッキリと分からないうちは完全なハッピーエンドではないのかなと思います。「今のところ好きにしろ」って……また今後何かしてくるかも知れないわけで。どうなるか分からないのって逆にこわい…
まぁ素敵な結末なのは間違いないですけどね。
このまま、未来永劫2人がずっと幸せであることを願っています(´∀`*)