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kimi ga inakunattemo kyoushitsu ha soko ni aru
「魔力」や「魔術師」のワードが色々出てくるお話なので、ゴリッゴリのファンタジー物語かなと思っていたのですが、登場人物たちの繊細な機微に触れるストーリーだったなって印象でした。
人間関係や心理描写といった内面のところで魅せていくお話で、もんのすっごいページあるんですけど、そのボリュームのぶんだけ物語の進みが非常に丁寧。なめらかな筆致と品のある文章は読みやすかったです。
物語はいうと、出会いは最悪だった2人が次第に惹かれ合い、愛し合うようになっていくというもの。年齢差10コくらいある歳の差BLです。
感じの悪い古書店の主人と、これまた感じの悪いインテリ学生との"感じの悪い"出会いから始まるお話。マイナススタートの初見がどうやって恋に発展していくのかドキドキしました^ ^
ミステリアス美人な古書店の主人であるソールに、冷たくあしらわれた将来有望な貴族学生・クルトの心情変化と態度軟化はかなりの見どころです。
ここまで変わりますか?ってくらい、ソールにベタ惚れになっていくクルトが最高!
貴族の子息なのにご飯を作ったりしてソールの世話を焼くわ、暇があればソールを探すわ会いにいくわの大型ワンコ^ ^ ソールに好意を持ち始めてから嬉しさのあまり、歌を歌いまくって皆に揶揄われるルンルンなクルトがめちゃ可愛いかったです。
そんなことも含め、年下のクルトの若さ故の勢いあるアプローチに何度キュンしたことか分かりません(*´∀`*)
恋を知り、愛を抱き、欲を覚えていくクルトのアツい想いは、ものすごく真っ直ぐで健気。将来有望のお坊ちゃんだけに、外野の煩わしい声や妨害がウザったいですが、そんな声にも負けずソールへの気持ちを貫こうとする熱量はさすがです。
想い合っているのに、ソールの置かれた複雑な立場やクルトの家柄が足枷となっている状況は切ない……。それでも逢瀬を重ね、愛の言葉を交わし合う2人の恋人同士の時間は胸アツなひとときでした。
そんな2人の恋愛ですが、歳の差ラブをただただ堪能するってわけにはいかず、ソールが魔力を失うことになった過去の言及、禁書となった〈本〉についての謎にも迫る展開もあり、ストーリーはなかなかに複雑な様相を見せていきます。
クルトとソールの愛の育みはしっかりとあっても、2人の背景にある色んな制約やしがらみのせいで、どことなく距離を感じる感触にモヤっとすることも。クルトから激しく求愛されているのに、卒業までの関係だろうと、クルトの愛に思いっきり寄りかからないソール心の寂しさはやるせない思いでした。
ワケアリ店主に恋した学生の執着や愛の重さはハンパなく、好きな人の側にいたいと強く願う年下の本気にはめちゃシビれましたヽ(´▽`)/
最初のあのツンはどこへやら(笑)ソールに恋することでどんどん男前度が上がっていくクルトの成長を見守るのが楽しくて堪りませんでした。
全体的には納得のエンディングでしたが、細かいところでいくつか気になる点があったので、完全スッキリ!……とはならなかったです。
クルト父が2人のことを認める姿勢がハッキリと分からないうちは完全なハッピーエンドではないのかなと思います。「今のところ好きにしろ」って……また今後何かしてくるかも知れないわけで。どうなるか分からないのって逆にこわい…
まぁ素敵な結末なのは間違いないですけどね。
このまま、未来永劫2人がずっと幸せであることを願っています(´∀`*)