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ao wo daku
加筆修正されているというこちらを読ませていただきました。
青を抱くというタイトル、読了後に
登場人物みんなが青を抱えていたと感じました。
靖野そのものが海で、みなが靖野を待ち、
待つ泉を宗清は好きになる。
海の深く青い場所に潜んで息をしてるような雰囲気の中に居ます。
泉と宗清を交換して育てる恋人2人は
愛と秘密の取引をした、と解釈しました。
女性同士でしか成し得ない愛のやりとり。
宗清の母親にとって、
かつて愛した女性のこどもだからこそ
生きる糧だったのではないかと思います。
皆がおもっていた物語の中心であった靖野。
目覚めたあとがかなしすぎます。
善行の後に水難事故に遭い、
長い眠りから覚めたら
ずっと想っていた泉は実兄と結ばれていた。
尽くしてくれた泉に「忘れた」フリをして身を引く。
良い子すぎて、辛い。
宗清にだけでも悔しさをぶつけてくれてもよかったのでは、
と思いました。
読了後おもわず靖野のスピンオフを探してしまうくらい、切なかったです。
以前フルール文庫ブルーラインの作品として出版された作品ですが、角川文庫として再文庫化されるにあたって大幅に加筆修正されたとのことです。
でもカテゴリー的には非BL作品となってもBLであることに変わりはないです。私はフルール版を読んだことがないので、どこがどう変わったのか比較は出来ないのですが、とりあえず商業BLらしくラブとこってりとしたエロがあるのは確かです。
といっても冒頭からBLっぽくない感じで、本編の最後まで一般文芸の雰囲気。BL作品は基本的にメインカプの2人のラブに収斂していくため、他の部分が削ぎ落とされる傾向があります。しかしこの作品では主人公・泉が長引く弟の介護により疲弊し心がささくれだっている様子など、恋愛以外の感情描写も細やかで豊富です。
なので、それがいいという人もいれば、リアル過ぎてしんどいとか不安になるという人もいるかもしれません。
ラブ要素以外の部分も歯応えのある読み物をBLでもじっくり読みたいかどうかで、評価は違ってくるかもです。
個人的には、本を読むからには読み応えがあるものが読みたいので、こういう作風は大歓迎です。