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数年ぶりに何回目かの読み直しです。
もう20年前の作品なんですね。
初めて読んだ時はハラハラとともに、二人の駆け落ち同棲生活にうっとりしました。
御曹司やその周りの人達の傲慢ぶりも気にかかったものの。
業務命令で駆け落ちかリストラかの二択。
もらった資金はひとまずの10万円。頼みの連絡先は消され着の身着のままで、なんとか駆け落ちを遂行していく二人というより受け。
必死に働き日払いの稼ぎでお弁当を買って、四畳半のぼろアパートでも温かい空間で。
いつの間にかお互いに本当に駆け落ち同棲中のように愛し合い…。
しかしその暮らしも突然終わり…。
良いお話なんです。何回も読み直すくらい。
読むたびに思い出すんですよ。御曹司がそんなに偉いの?会社辞めれば他人ですけど?
財閥系の大企業の御曹司のためと振り回され何も知らされず騙されて、受けの人権!!
送金も連絡先も消えた理由も、貴様か〜!
まあ最後はラブラブハッピーエンドです。
全ては御曹司の一目惚れから始まったのですね。あの狭いアパートでの暮らしを忘れないで幸せになってね。
タイトル見てどんなトンデモ?って思ってたんですがなんか可愛い話でした。
平々凡々な会社員、加津樹が突然本社出向になって副社長に呼び出され香椎家御曹司と駆け落ちする事を命じられちゃう。
何やら御曹司には不利益な婚約や、不審分子も居るらしく駆け落ちで一気にそれらを処理してしまう、らしい。
クビか駆け落ちか、という事態に迫られ香津樹は駆け落ちを選びます。
まあ色々あるっぽいんですがそこはさわり程度に止めておいて、この話は単純に御曹司と駆け落ちする事になってしまった平凡会社員の生活っぷりを楽しむ部分がミソかと思うのですよ。
そうやって駆け落ちとなった訳ですが、御曹司匡史は最初は全く使えない。
何を聞いても「任せる」「その様に」と言うばかり。
困った加津樹は彼に自分の希望はちゃんと言って欲しいと告げます。
それ以来、匡史は少しずつですが自分の希望や感想を返す様になるのですね。
しかし駆け落ちして直ぐにアクシデントが。
副社長からある筈の駆け落ち資金の入金が無い、電話をしても取り次いでもらえない上に、加津樹には今使い込みの噂が出ていて自宅にも戻れないといった状況に陥ります。
所持金数千円に陥った2人は野宿をし、親切なお祖母さんが経営しているボロアパートに匡史のタイピンを預けて家賃は後払いで住まわせてもらう事に。
そこの住人達は全員貧乏だけれど気は良いヤツばかりで、臣史の駆け落ちしてきたという言葉を聞いて同情し、ちょっと傾いてる机や冬まで使わない布団、等々を貸してくれ一気に生活用品が無料で揃っちゃいます。
その中の1人が加津樹に日払いバイトを紹介してくれ、いつの間にか臣史もレストランのバイトを始めます。
レストランといってもランチ850円の様な小さいお店で、完璧なサービスを成し遂げる臣史はちょっと浮いてたり。
話前後しますが臣史の御曹司っぷりが何とも可愛いのですね。
牛丼を始めて食べて面白い味だと言ったり、アパート全体を借りるのだと思って小さい家だがまあ良いだろう的な事を言ってのけたり、銭湯の入り方が分からなかったりと色々ボケをかましますが好奇心が強くて面白がりなのでこれが実に微笑ましい。
臣史の順応性が大したもので最初は全く使えなかったのに、一緒に暮らす内にバイトでもアパート住人にも信頼され頼もしい~って感じになって行きます。
風呂無しボロアパートでの貧乏だけれど幸せな駆け落ち暮らしが続く内に、加津樹はその生活とそして臣史に魅かれ始めます。
それは臣史も同じで、元々は男2人駆け落ち感を出す為にやっていたペッティングは想いが通じた時に愛し合う2人のセックスへと変っちゃうんですねー、ラブラブ。
そんな生活の中、突然臣史を取り戻しに警察と親戚がやってきてごたごたあるんですが結局、業務命令だった「駆け落ち」はそこで終わってしまいます。
残されて大泣きする加津樹が切ない。
最後はハピエンです。
結局なんか上手く片付いたらしくその辺は分かるよーな分からんよーななんですがともかく貧乏な駆け落ち生活シーンが良かったんでそれだけでいいかーって気分になりました。
初めと最後の展開はなかなかよかったと思います。
ですが、社会人である主人公たちを描くにはちょっと浮世離れしすぎな感じでした。
とにかく御曹司が「ええ、なにをしてらっしゃるの!?」と言いたくなるような性格だと思ったのは、私だけ…かな?
夢見すぎな攻め設定で、リーマン物が好きな方には「ん?」な内容かもしれません。
最後はちょっぴり切なく、でも安心して読める内容ではあります。
ほんわか、ほのぼのした内容でした。