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fly me to the moon
いいお話だなあ、というのが率直な感想です。
親を事故で亡くして15歳でコンビニでバイトをしながら生計を立てる主人公の悠。
引き取られた先で迷惑がられて自立して、被害者なのに加害者側にお金を請求され、学校に通う学生を羨ましく思いながら、バイト先の店長にレジのお金を盗んだと疑われながら、「まだ大丈夫」とか「いつか学校に行きたい」とか頑張る姿を見て、頭の片隅でべただと思いながらも健気さに苦しくなる作品でした。
ストーリーだけでいうなら最初は神評価をつけたいと思っていたのですが、後半は少し盛り下がった感じがしました。
そしてラブストーリーとして萌えたかと言われたらちょっと違うかもしれません。
偶然知り合った弁護士の浅羽と、毎週夕食を一緒に食べることになってから、それを楽しみに生きる悠。ある意味足長おじさん的な設定なんですが、悠の心の支えになっているという事は十分すぎるほど伝わってきます。しかし、前編の最後の方で「君に恋してる」と言われた時に急にラブストーリーにシフトした唐突感がありました。
これは足長おじさんと不遇な子供という設定でも終わらせられるお話になってしまっていて、いいお話なんだけどラブストーリーである必然性が薄い気がします。
悠が、一人で働いて健気に頑張ってきた、外見が女の子のような子供、という印象付けだったので、最後に「キス以上のこともしてほしい」「触ってほしい」「セックスしてほしい」というのが、どうも初心な子供の台詞とは思えず、急にこんなキャラだっけ・・・という気もしてしまいました。
しかし、2話入っているのですが、後編はちゃんとラブストーリーっぽかったです。
しかしながら、浅羽という弁護士はいい人だなあと思いながら、私はいい人だなあと思うだけで終わってしまったと言うか…。攻めキャラとしての個性がもう少しあればよかったと思います。
悠が身寄りがいなくて寂しい思いをしていると知っていながら、自分に会うのを楽しみにしていると知っていながら、悠の両親の事故の弁護士とかかわりがあるという理由で「もう会わない」と言い出しだしたり、ちょっとややこしい揉め事にまきこまれた所為で悠を自分から遠ざけたりと、かなり言葉が足りないと感じます。
理由を一切話しておらず、その所為で悠を泣かせてばかりで少し勝手だと思いました。
浅羽の印象は「普通の大人」という感じでして、友人の吉住のほうがまだ面白いキャラだったかも。そのあたりが少し残念でした。
しかし、不憫な境遇の受け、大人と子供の恋、という設定では王道の良作だと思います。
帯『俺のこと「大人」にしてください―。』
天涯孤独になっても健気に頑張る少年をエリート弁護士が助けてくれるちょいシンデレラストーリー風の年の差カップルモノ。
後半は弁護士としての事件が絡んでくるのでちと捻りが入ってくるんだけど、前半はほぼ王道テンプレなんですが、そこがテンプレだけにならない所が良いんですね。
そのテンプレに一味加えているのが、悠〔受〕が持っていて食べるお菓子という存在。
お菓子といっても高級なケーキとかじゃなくって、コンビニで売ってるプリンやチョコだったり飴だったり、そんな直ぐに買えるお菓子を食べる事が悠にとっては小さな幸せ、なのです。
ほんの数百円で買える小さな幸せが、決して恵まれているとはいえない悠にとっての幸せで縋るべきより所なのですね。
そこがいいのだなー。
後半で浅羽〔攻〕に見捨てられたと思ってしまった悠が悲しくて食べなくなっていたお菓子に手を出してしまい小さな包み紙が散らかる。
切なさできゅんとなっちゃうシーンです。
辛い時でも甘いお菓子を食べればそれだけで幸せ、そんな風に自分も考えられる様になるといいなーとか思っちゃいました。