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asisuruhito wa dokuiri
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
「愛する人は毒入り」、なんとも魅惑的なタイトルです。
山藍作品のカタルシスはといえば、凌辱とそれに溺れる美しいひと、
そして結果的には身も心もベタベタなほどの相思相愛っぷりが
強烈なクセのある文で綴られていることでしょうか。
しかしこの作品はいささかその持ち味を欠いていると言わざるを得ません。
肉環(アヌス)、頭冠(クラウン)男茎(シャフト)といった山藍用語ともいうべき
ルビの振り方がほとんど見られないのもさることながら、
物語の起伏がなく、ダラダラダラーとフラットなんですよ。
強烈なトゲがない。
文章もやけにスッキリしすぎていて、硬質で淫靡な盛り上がりに欠けるーー。
話のそこここにばらまかれた神秘的な謎にはふくらみを感じますが、
謎めいた期待に見合うだけの結末ではない。
スタンレー・ホークシリーズでもしばしばこういうハシゴを外した感は見られますが、
あれは強烈なキャラクターがあって、キャラ愛で視線で進むからこそ楽しめた。
本作はものすごい憎たらしいキャラもないかわりに
ひどく魅惑的でとろけるほど惚れてしまうようなキャラもない、
中途半端さが残ります。
山藍作品であれば、こうした無理なボーイズラブ臭のするものではなく
果てしなくバロック的な作品のほうをおすすめします。
トゲがないとはいっても、さすがに文章の安定感だけはありますが
非常にもやもやする作品。
あいかわらず、山藍氏の様式美、健在です。
食用花の温室での秘め事…なんて、さすが!というべきでしょう。
手違いで園芸家の養子になった少年、若菜君。
(ここは赤毛のアンと同じパターンね。)
少女と見まごう美少年、馨。
(彼は、BLの王道をいってます。)
しかも馨君は生まれながらに、花の香りの体臭を漂わせ、
エロスと色香を放ちます。
セレブな園芸家、宇治谷氏は鬼畜系眼鏡ですし…。
萌えと耽美の種は、あらゆる部分に散りばめられているのですが…。
問題は挿絵かしら、この場合。
彼らの姿がどうしても、普通のキレイな少年にしかみえないのです。
これは実にもったいない!
エディブルフラワーとエロスなんて…
どうせならパトリック・ジュースキントの「パフューム」くらい、
耽美にしてほしかった。
少ない山藍既読作品が好みだったから、こちらも期待してました。
でも、タイトルに妄想し過ぎたかも知れないです;
セレブメガネ・宇治谷の元に、間違って嫁として引き取られた若菜が、先に引き取られていた美貌の馨と宇治谷の同性のエロスを目の当たりにし・・・といった内容です。
宇治谷と若菜に共用される馨は山猫みたいにしなやかです。
女王様だったり性奴隷だったり、芳香を放ちながら変幻自在。
宇治谷はというと如何にもセレブで、女じゃなかった若菜も養子にするし、若菜と馨とやっても良いとか変に大らかで。
登場人物のそれぞれのキャラが強くて面白く、多いセックスシーンも「さすが山藍センセ!」なんです。
美しい背景に映えるお道具も淫美で、尿道に挿すのは“なでしこ”だし拘束具もグッジョブでした!
だけど、、いつも二次元の世界に怒ったり笑ったりと同調しまくる自分を恥ずかしい奴と苦笑いしているのに、本作には入れなかったー!
馨の共用は宇治谷と若菜だけじゃなく、樽腹オヤジ他多勢っていうのも、それに馨は応えてしまうのも、自分にとって上級の苦手!
若菜が好きなのに、この人だけっていうの?執着が見えない、変に大人な馨に引いてしまった!
同調できないから、まるで擦りガラスの向こうの演者を見ている感じで、引き寄せられること無く終わってしまった感が・・・
ファンタジー(に入るでしょ?これ)が苦手ってのもあるし、文章も挿絵も好みではなかったので、このような評価になってしまいました。