BLコミック&BL小説、業界最大級の品揃え!
yume no iro
読後になんともいえない哀愁を感じた。深層を見てはいけない、歪な形の三人家族のお話。崩れそうで崩れない、でもいつか壊れそうな気配がなくもない、という状態でぶった切られるのが心地良かった。おすすめはできないけど、私は好き。
地雷注意な点は、これが赤ん坊のころから育ててきた甥に欲情する叔父の話ということ。決して手は出さないが、恋人に抱かれながら甥を想う描写がある。実際に関係を結ぶ三角関係と、想いの三角関係は矢印の向きが違う。
序盤から子供を捨てる親が次々出てきて、戸惑う。何かと思ったら、修也が歩夢を育てるに至った経緯の説明になっており、さくっと舞台を整えた感じ。そこには日和もいて、ずっと修也を想い続けている。
一つ屋根の下で暮らすようになった三人は、表面上はとても上手くいっている。修也と日和で歩夢を育てる日々。日和は修也を抱きながら、修也に愛されていないと気付いてる匂わせがあり。歩夢は修也に執着し、親代わりへの感謝以上の感情を持っているのが分かる。そして修也は……。
切なかったのは、修也が日和を褒めたことに歩夢が驚いたシーン。長く家族でいて初めて聞いたなんて、修也はどれだけ歩夢しか見ていないんだろうと。それが親としてだけならまだ良いが、そうではないし、日和の扱いが酷い。
ラストの修也の独白は怖かった。淡々とした日常の空気が、いきなりダークなものに。ゾクっとする闇堕ち感。ノンケだった修也が日和という男を受け入れた背景を考えると、さらにゾクっとできるかも。当時歩夢は何歳だったか。
楽しいとか萌えとかプラスの感情を誘発される作品ではないけれど、この内容でじっくり心理描写を読んでみたい。こういう作品に出会えるから、同人系も止められない。