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君に包まれてると、ほっとする。
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
如月先生と洸太くんのシリーズも3作目です。
この本の出版、前作の刊行から5年経っていますね(私はぶっ続けで読んでいますが)。剛さんもお気に入りだったのでしょうか。
もうこの巻では完全に『長く連れ添った夫夫』の様な2人です。連係プレーの様になっていること!
剛さんの書く『大人と子どもの境目の年代』というのが、読んでいてなんかとても悲しくなるのです。
今回のクライアントは有田英くん。
担任教師に「拒食症では?」と疑われています。
この子、子役だったんですよ。それも『ちょっとばかり名が売れた子役』。
で、父は単身赴任、母はステージママ。だけど今は仕事がない状態なんです。
英くんはその理由を「太っているからだ」と思っています。
オーディションに受かって、もう一度、母の関心を自分に引きつけようとするこの子が悲しいのよ。
そんでもって、その所為で更に大変な事件に巻き込まれていってしまうのですけれども。
このシリーズで、私が「面白いな」と思うのは、クライアントが抱える問題解決によって、如月先生と洸太くんの人生の方向性というか、生き方みたいなものが少しずつ変化すること。
本当に少しずつなんですけれど、洸太くんが元々やりたかったことに向けて動き出したり、ぼーっとしていた如月先生が『楽しむ』ことに積極的になったり。
大人が一方的に子どもに対して与えるだけではなく、関わった子どもからも大切なものを持っているんだなぁ、と思える物語の運びが素敵だと思いました。
前作で出てきた燿くんと博史くんも如月先生をバックアップしてくれて、ちょっとした『チームもの』の雰囲気も楽しめます。
シリーズ三作品目という事ですが。
前作『水の記憶』『炎の記憶』を読んでいなくても充分、楽しめます。
ちなみに私は前作を読んでいませんが、支障はありませんでした。
主人公の精神科医・如月(33歳)は、10歳年下の恋人・佐々木と同居して一年。
まだまだ新婚状態でラブラブです。
二人の出会いは10年前。
彼らは十年越しの恋を実らせたカップルなんですね。
作品中に佐々木の成長を待ち続けた如月、
如月の為に急いで大人になった佐々木の心情が描かれていて。
二人の馴れ初めや気持ちを育ててきた過程がもっと知りたくなり、
過去のシリーズも読んでみたいと思いました。
さて如月は思春期の若者を主に診ている精神科医という設定なので。
如月や佐々木の生活には、悩みを抱える若者が何らかの形で関わってきます。
今回の悩みを抱える若者は、拒食症の少年でした。
母親に気に入られたくて自分を追い込む少年。
彼のモノローグが痛くて切なくて。
家族の愛情、食事の大切さを実感しました。
巻末の短編『それから』。
佐々木が不在で家事がなんにもできない如月が、可愛すぎてニヤけます。