ポッチ
hikari ga shinda natsu
モクモクれんさん原作の『光が死んだ夏』のノベルズ版は、通常版と特装版が同日発売されました。小説自体はどちらも同じものですが、特装版には小冊子がついてきます。
この小冊子は、『光が死んだ夏 特装版』についてきた小冊子。
本誌代とは別に550円(税込み)が必要な有償特典です。
ページ数は48P。
中身はというと、
・モクモクれんさんの描き下ろし8Pコミック
・額賀澪先生書き下ろし短編「秋の栞」
が収録されています。
漫画の内容は、というと。
よしきの願いなら何でもかなえてあげる、というヒカル。
「何でも」ってなんだよ、と思うよしきだったが、ふと口に出した願いをヒカルがかなえてしまったら…?
あー、これこれ。
そう、思わず感じてしまう『光が死んだ夏』の世界観がここにあります。
にこにことしながら、さらっと行動する(と言うと語弊がありますが)ヒカルの中にいる「何か」を端的に読ませる、そんな内容です。
描き下ろしSS「秋の栞」。
時系列は、光が死んでしまった夏の、その前の年の秋。
よしきの妹のかおるが不登校になり始めた時のお話です。
あとがきでモクモク先生も書かれていますが、『光が死んだ夏』は、そのほとんどが夏の時期の描写で占められています。光が、「ヒカル」になってしまったときが夏だったから。秋、という、本編とはちょっと違う時空軸のお話で、そこに今まではほぼ登場してこなかったよしきの両親のエピソードが盛り込まれています。
ノベルズ版「光が死んだ夏」は原作に忠実な造りになっていますが、こういった「原作にない部分」、というが原作では見えてこない部分を、原作の世界観を壊すことなく読ませる額賀先生の手腕に脱帽しました。
よしきの家族、彼らを取り巻くクビタチ村の人たちとの関係や閉鎖的な村、という描写を、原作とは違った側面から魅せてくれます。
「光」と「ヒカル」の描き分けもお上手で、これからのノベライズも非常に楽しみになる、そんな小冊子でした。