ボーイフレンドをきわめてみれば

boyfriend wo kiwamete mireba

ボーイフレンドをきわめてみれば
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神10
  • 萌×22
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
2
得点
58
評価数
12
平均
4.8 / 5
神率
83.3%
著者
ライリー・ハート 

作家さんの新作発表
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イラスト
ZAKK 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
モノクローム・ロマンス文庫
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784403560583

あらすじ

思ったことを心に留めることができずなんでも口に出してしまうマイロ。ある日存在も知らなかった祖母の死と、遺産として残された書店のことを知らされた彼は書店のあるリトルビーチにやってきた。受け継いだ建物の隣はタトゥショップで、オーナーのギデオンは素敵な笑顔で彼を迎える。住居に困ったマイロはギデオンの部屋で一緒に暮らすことになるが——!? 優しさにあふれるリトル・ビーチに咲いた小さな恋。

表題作ボーイフレンドをきわめてみれば

マイロ・コープランド,自閉スペクトラム症の青年,元会計士,24歳
ギデオン・バーロウ(ギド),タトゥパーラーの経営者,26歳

レビュー投稿数2

地に足のついた優しい物語

多種多様な人間が溢れる世の中で、「普通」であることを重んじる傾向にある世間にはどうにも溶け込むことが出来ず、なんだかしっくりこない生きづらさを感じている人々にフォーカスを当てた作品。
とっつきやすいか否かで言うと、読み始めは主人公・マイロの独特な表現にとっつきにくさを感じたのです。
ですが、読み進めていく内に全く気にならないどころか愛おしさを覚え、リトル・ビーチでの穏やかで優しい生活と、人と人の心のやり取りに心地良くなっていくではありませんか。
しっかりと地に足のついたお話で読み応えがありました。

細かすぎるほど細部に渡ってこだわりが強く、自分の中で筋道が通らないことには納得がいかない頑固者。
本音と建前の違いや、白と黒の間にある微妙なニュアンスのグレーな行間が読み取れず、額面通りに言葉を受け取ってしまったり、口にしてはいけないタイミングで本音を口に出してしまう冗談が通じないタイプの人。
逆を言えば、100%本音でいつも嘘がない気持ちの良い人とも取れますね。本音で話せば本音で返してくれますし。
そんな特徴を持つ、自閉スペクトラム症の青年・マイロが主人公の今作。
レビュー冒頭に書いた通り、マイロのキャラクターがやや個性的なので、彼独特の言い回しに慣れるまで少々時間がかかりました。
でもですね、自分の欠点もきちんと分かっていて、その上で自立心や向上心が強い彼のことをそっと見守っていきたくなるんです。じわじわと愛着が湧くキャラクターでした。

存在も知らなかった祖母の死をきっかけに、リトル・ビーチと呼ばれる島の書店とその一角を相続することになったマイロ。
島へ移住し、相続した建物に隣接するタトゥショップを経営するギデオンを中心に、少しずつ島民たちと交流を深めていくことになります。
マイロとギデオンの両視点で語られる島での暮らしは優しくも心地良く、ちょっぴり居心地が悪いところもあり…
2人の友情と愛情の狭間にあるグレーな部分をメインに、おおらかな小さな島で育まれる人間関係と人としての心の成長や思いやり、家族愛が描かれたとびきり優しい作品です。

なんと言っても、マイロとギデオンの関係性が良くて。
マイロは島に来てから自分が自閉スペクトラム症だとは一言も言っていないのです。
島の中にはマイロの突飛な発言に怪訝な顔をする人ももちろんいて、それがまたフィクションの中のリアルを感じて良いところかなと。
ただ、マイロが持つ独特の感性や表現はギデオンにとってはそのどれもが新鮮で好ましいものだったというのだから、これはもうお互いにカチッとはまるピースのような2人だったんじゃないかな。
すんなりとすぐにピタッとはまる2人ではなく、時にはすれ違いながら時間をかけて少しずつ相手のことと、相手を想う自分のことを深く知っていくのもすごく良くて。
「自分はこうだけれど君はこうでもいいと思うよ」「世の中はそう思うかもしれないけれど、自分は君のそこが素敵だと思う」と、ストレートに言い合える2人で好感が持てました。
あらゆることにこだわりが強いマイロのことを自然と尊重して、過度に手を回さずにあくまでも自然体で接するギデオンのキャラクターが好きです。
マイロのペースで良いんだと、マイロのことをおおらかに愛するギデオンが本当に良かった。

自分が嫌だと感じる物事って、どうしたって嫌じゃないですか。
けれど、ギデオンと接する中でマイロの中に強くあった「嫌悪を感じるもの」がどんどん薄れていって「やってみよう」と行動し始めるのが気持ちが良くて、初めてだらけのマイロの成長にうれしくなってしまうんです。
ギデオンと出逢ったからこそ理解が出来なかったことを理解出来たり、相手のことが好きだからこそ、自分もこうしてみたいと思っていく。
読み始めと読み終わりでまるで別人のような成長っぷり。
性的な接触から恋、そしてそれぞれ形が異なる愛情や心の歩み寄りも描かれた優しい作品でした。
サブキャラクターも魅力的な人物ばかりで、リトル・ビーチ島に遊びに行きたくなってしまいますね。
ZAKK先生の挿画も異国情緒あふれる作品の雰囲気とぴったりと合っていて本当に素敵でした。

※公式から発表がありましたが、ZAKK先生のイラストと共に記載されているキャラクター紹介のクリスとオーランドのキャプション位置に誤りがあったところだけが残念です。今後修正されると良いのですが。

4

二人の会話がコミカルで楽しかった

とても面白かった。
自閉症のマイロは会ったことも存在も知らなかった祖母から本屋を相続し、母親の故郷である小さな島へと移住を決める。そして本屋の隣でタトューサロンを営むギデオンと出会う。

マイロにはこだわりやマイルールが沢山あるし、社交辞令やオブラートに包んだ物言いは苦手で初対面の人にギョッとされがちなんだけど、ギデオンはそんなマイロを楽しい人だと思ってくれる。お互いがどんな人なのかを徐々に知り、仲を深めていく様子が楽しい。

友人にしては仲を深めすぎているのに恋人になるまでが焦れったいのも面白かった。マイロは自分は恋人にするには厄介すぎると自覚していて、ギデオンと恋人になるなんて高望みはしないと決めている。一方ギデオンは事ある毎にマイロに恋人になりたいとは思っていないと釘を刺されて振られた気分になっている。なのにマイロからは超特別扱い(ギデオンには不意に触られても平気とか)を受けまくるので、こんなの好きになちゃうに決まってるじゃん!という状況なのが面白かった。傍から見ると恋人すぎる二人。

恋人になってからの二人の喧嘩のエピソードも良かった。マイロの、例え失敗するとしても挑戦する選択肢や経験を奪わないで欲しいという気持ちが素敵だった。

そしてマイロの祖母のエピソードも良かった。祖母のパートナーだった男性とマイロが祖父と孫のように仲を深めていく様子や、祖母について話しているシーンでウルっとしちゃう。

0

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