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koou ha kagami no kuni no omega wo katsubousuru
攻めのエリクの溺愛が気持ち良かったです。
力のある者は体に動物の耳と尻尾が出る異世界が舞台となるこちらの作品。
獣人…というかケモ耳もので耳が4つあると気になってしまうタチなのですが、今作は人間の耳がない仕様だったのが個人的にうれしいポイントのひとつでした。
するすると読みやすい文章で楽しめる、甘めの異世界トリップオメガバースといったところでしょうか。
バース性の名称は異なりますが、特に混乱せずに読めるかなと思います。
主人公である優羽が暮らしている日本では抑制剤の質やオメガの地位もかなり良いものになっていて、1度もヒートを起こさないことも可能なようです。
最近はオメガが蔑まれない作品も増えてきて良いですよね。
お見合いでサクッと結婚をするオメガも多い中、昔絵本で読んだ運命の番に強い憧れを持つ優羽は、ある日突然異世界に召喚され…と続きます。
召喚先のヴァロワ国もオメガが大切にされている国で、どうやら優羽は運命の相手である国王の番になることに。
相手となるアルファで国王のエリクが、終始甘くて一途な溺愛攻めでなんとも良かったです。感情がすぐに出てしまう尻尾がかわいいんですよ。
まだ自身が幼い頃から異世界が写る鏡を覗いては、運命の相手である優羽の成長とこれまでの生き方をずっと見てきた人。
とにかくやさしい・無理強いはしない・優羽のことが愛おしくて仕方がない・焦らず少しずつ触れ合う。そんな攻めです。
彼は国王という立場ではありますが、正式な王として認められるためには番を持つことが第1で…要するに人が見ている前で優羽と番わなければ微妙な立場。
元老院とのこの辺のゴタゴタが物語に絡んでくるのですけれど、初めてのヒートなんて大切なものを人前で見せるなんて!とエリクは大反対。
ずっと鏡で見てきた愛しの子な訳ですから、それはもう年季の入った溺愛っぷりなんです。ヒートが起こるまで待つのだと優羽の気持ちが何よりも大優先。
読み手的には、おやおやすごく相手想いの良い攻めじゃない?と思うものの…でも優羽には運命に強い憧れがあって、なぜ早く噛んでくれないのだろう?と誤解をされ見事にすれ違ってしまうBL摩訶不思議現象。
正直、優羽の飲み込みの早さと前向きそうなところ以外の…特に警戒心のなさにはあまり惹かれるものがなかったのです。
攻めのエリクは長年想っていたのが分かる分、優羽はただ運命の相手だからエリクが気になったのかななんて、ちょっと気持ちが薄めに感じられました。
お話もなんとなくするっとまとまりますが、エリクの溺愛が良かった分優羽との気持ちの比重が気になったり、後半になるに連れてややバタつく展開が勿体ないかなとも思えたり。
もう少しゆっくりのままでも良かったかなあ。
とは言え、あと味は良かったです。オメガが大切にされるやさしい世界なのは好みの世界観ですし、閨でのシーンはどれも甘くて良いものでした。
ちらっと描かれていたサブCPも気になるところ。こちらも読んでみたいなあ。