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「可愛らしい方。こんなに震えて」
shitsuji no yuuwaku
思った以上によかったです。
読み終わった後に、思わず、この作者さんの書いた他の話を読んでみたい! と思うくらいに。
まず、蒼がしっかりと芯の通ってるけど、ピュアで可愛い。
実際の場面であれば、そんなに簡単に伊織を信じていいわけないような気もしますが、他に頼れる人がいなくて、魔法のように優しい言葉をかけてもらったら、ついうっかりフラフラしちゃっても仕方がないかなー、と。
それにそんなに不自然ではなかったですし。
ただちょっと本当、催眠術的な感じはありましたが。
攫われて、あれよあれよと言う間に、遺産相続に巻き込まれてしまう。
そして、振り回されてるうちに、無事に落ち着くんですが。
その間にちらほら垣間見える
なんだか催眠術みたいな伊織の優しいやり方と。
蒼の素直でまっすぐな心のゆったりした動きと。
わかりにくい伊織の嫉妬が。
とってもいい雰囲気の小説になっていたと思います。
状況だけ見れば、いきなり攫われて監禁されている、というかなりハードな状況であるにも関わらず。
伊織が緩衝材になって、かなりおっとりした状況にさせてるなー……と思います。
さし絵とも小説の雰囲気がよくあってて、すごくよかったです。
全体的に調和がとれている話でした。
弓月さんのパターンである『薄幸・不憫な健気受(もちろん女装付き)』に『敬語(丁寧語)攻』でした。
私は健気受は大好きですが敬語攻には別に興味ないので、正直なところ『あ~、またか』としか感じませんでしたが。←ホントに多いんだよ!大抵は『お金持ちの貴族・セレブ(外国人率高し)』だけど。
相変わらずベタです。王道です。でも、弓月さんはそれがいいと思っているので、別に構いません。
両親を早くに亡くし孤児院で育った蒼(受)。ある時、いきなり誘拐されて大富豪の孫だと告げられるんですね。
しかし、弓月さんの受はこの『孤児院(施設)』がセットになってるんじゃないかと思うくらい多いです。
ただ、この蒼はなんと病弱・虚弱じゃないんですよ!弓月さんの受ではちょっと意外に思うくらい、普通の元気な男の子なんです。優しくて健気ではありますが。
ただ、伊織(攻)の不思議な・怪しげなキャラクターや言動が、(いい意味で)なんとも言えない雰囲気を作り上げています。
私は『執事』も『敬語攻』も別に好みじゃないんですが、このストーリー全般に漂う雰囲気はよかったですね。
あと脇キャラクターは、悪役はどこまでもわかりやすく悪いヤツでちゃんと報復を受ける。これは大事なんです。弓月さんの作品は、このあたりが半端でどうもなあ、ということが多いので(私は)。
そして、蒼の亡くなった母(大富豪の娘)の婚約者だったという志貴が、いやもう素晴らしい脇キャラクター(当て馬?)でした。
こういうちょっとすっとぼけた、でもよく考えるとすごく気の毒な気がするキャラクターはいいなあ。この人がいるといないで、まったく評価が変わっただろうとさえ感じました。少なくとも『萌』以下だったのは間違いないでしょう。
トータルでは、確かにベタな王道ではあるんですが、独特のムードで、綺麗に纏まっていたと思います。
結構好きですね。
あとはイラスト。申し訳ありませんが麻生さんの小説挿絵はものすごく苦手で今までいいと思ったことはただの一度もなかったのですが、これは本文のモノクロに限っては初めて、そして現時点で唯一『まあ悪くない』と思いました(カラーは相変わらず無理です)。
それでも決して『いい』までは行ってないし、やっぱり苦手には違いないんですが。
執事です(笑)
主役は執事じゃありませんが、執事好きな方も結構多いのではないでしょうか?
私はギャグ系の執事ものしか読んだ事がなかったので、BLだとどんな感じなんだろう、と思っていましたが、敬語攻めにちょっと近いような?
学校帰りに突然拉致された蒼(あおい)。
孤児の自分が実は日本有数の企業の唯一の跡取りだという。
それを利用しようとした幹部に誘拐されたのだった。
色々あって、蒼の会った事もない祖父は蒼の事を女の子だと思っており、女の子として会わせる為に淑女教育を受ける事を強要される。
そこに現れた、祖父の屋敷で執事をしているという伊織。
自分の死んだ母親の事を知っているとの事で少し絆されていく蒼だったが――――。
大筋はこんな感じです。
殆どが伊織と蒼しか出てこない上に、割と最初の方に手を出してしまうため(笑)Hシーンは結構多いほうじゃないかな~、と思います。が、割とあっさりしてるかな、とも。
伊織は、学生時代から成績・運動常にトップで、冷静で、頭も切れて完璧タイプ。それでいて嫉妬もしちゃったりする可愛いところもあったり。
そんな人が傅いてくれるのはちょっといいかもしれませんね(笑)
オマケの短編は、騒動の収まった後のほのぼのした?話。
お隣さんで会社社長、蒼の母の元婚約者の志貴さんも結構いい性格してて好きなタイプです。
富豪の家の執事伊織と、実はその家の跡取りだった孤児蒼。
蒼に淑女教育と称してエッチなことをしてしまう伊織ですが、これが結構いきなりなんですねwでもその流れがそれほど不自然ではありません。
受けが完全に女の子の扱いなので、読み進めるうちにこれBLじゃなくてもいいよなぁとか思ってしまいました。所謂「男の娘」ですよね。
なんとなく成人向け乙女ゲームみたいな雰囲気です。エロもあんまり生々しくないっていうか・・
挿絵の影響が大きいのかな。とても綺麗なのですが、この手の絵柄は可愛らしすぎてどうもエロさを感じません(^^;)
お話としてはしっかりまとまっていますのでたぶんこれは本当に、自分には合わなかった、ってやつだと思います。
受けの蒼、会って4日そこらでそこまで好きになる?
しかも無理矢理やられて。
早々に喘ぎまくるようになるし、かと言ってエロも萌えず。
125Pで蒼から母のことを好きだったかと聞かれて、攻めの伊織が「ええ、愛してました」と答えて傷つける。
さらに「あなたは紅美様の代わりです」「あなた個人など誰も必要としていない」と冷たく突き放す意図がわからない。
自分がどこか読み飛ばした?
136Pでは「この淫乱ーーー……」と罵る。
おまえが襲って何度となく性行為を強要していたくせに………。なんなのこいつ。
終盤になり昔会った時から好きだったと言いますが、この罵倒の意味は解明されない。
5〜6歳の頃からってそれはそれで引くけど、まだ16歳なのに襲うか。
本当に好きならあと2、3年は待てなかったのかと。
敬語と執事攻めが好きなので楽しみにしてたんですが、この伊織が酷すぎて萌えませんでした。
葛城も伊織も、自分たちと同い年だった紅美(蒼の母)の、その子供に好き好き言ってておかしいと思わないのか。
これが男女、女男であってもだいぶキモい。
最初から一貫して蒼を大事にしていたら執事萌えなんですが、いかんせん途中で侮辱して傷つける意味がわからなくて、モヤモヤが晴れないまま終わってしまった。
母の代わりでもいい、好きだ、ずっと一緒にいて。と言う蒼ですが、そこまで魅力があるように見えず、いったいどこが良くて惚れてるんだと冷めた。